キャスター付きの家具は便利ですが、フローリングにとっては大敵です。重量のある家具や人が座っている状態のチェアで移動すると傷がついたり、へこんだりすることがあります。
今回は、キャスターでついたフローリングのダメージを補修し、フローリングを保護する方法を解説します。
経済的な手法でありながら、フローリングをベストな状態で維持できるように説明を進めますので、最後までお付き合いください。
フローリングはキャスターに弱い
キャスター付きの家具は便利ですが、フローリングと相性が良いとはいえません。フローリング材の注意書きにキャスターの使用を制限している場合もあります。
キャスターは丸いので見た目はとフローリングの接地面が広いように見えるかもしれませんが、実際は線で接しているだけです。そうすると、負荷が線にかかるので想像以上にフローリングを傷めることになります。
例えば、キャスター付きのチェアで座ったまま移動するとします。体重が80kgでチェアが4kgならば、4本の線に84kgの負荷がかかることになります。均等にかかっても1本に付き21kgで、バランスを崩して移動すると1本に負荷が集中して21kg以上かかることになり、最大で84kgもかかる場合があります。
1本の線に大きな負荷がかかれば、フローリングにかなりのダメージを与えることになります。
キャスターで受けるフローリングのダメージとは
キャスターによるフローリングのダメージでもっとも多いのが傷や擦り傷です。理由は、キャスターにゴミなどが絡まっている状態で無理に動かすとキャスターが回転せずフローリングを傷つけるからです。また、キャスターの向きが進行方向に向いていないものが1個でもあれば突っかかる感じがして、そのまま動かすとりフローリングに擦り傷等を与えることになります。
次に多いダメージはへこみです。キャスターとフローリングの接地面は狭いことは前途しました。キャスター付き家具である程度以上荷重があるものを、長時間移動しなかった場合にフローリングがへこみます。
あまり目には見えませんが、移動を繰り返せば塗膜が剥がれることにも注意が必要です。ワックスやウレタン塗装などは、知らない間に塗膜が剥がれていてフローリングを保護できていない場合があります。
UV塗装は耐摩耗性や耐久性が高いので簡単に剥がれませんが、剥がれると再塗装が非常に難しいためプロに再塗装を依頼するかリフォームとなります。
素材によってもダメージを受けやすいものと受けにくいものがあります。木質系フローリングでは、杉やパインなどの針葉樹の無垢材が最もダメージを受けます。次に、突板合板で突板が針葉樹のものです。
広葉樹の木材は堅いので、傷を受けることがあってもへこみにくい素材です。合板でもキャスター対応のシート合板が市場に出回るようになっていますので、キャスター付きチェアなどを多用する部屋に使用すると良いでしょう。
クッションフロアの場合は、へこみができても浅いうちは自然回復する可能性があります。擦り傷などは付き難いのですが、表面を引っ掛けてしまえば破れる恐れがあります。
フローリングの損傷は放置してはいけない
どのようなダメージであってもフローリングの損傷を放置してはしけません。
まず、危険です。擦り傷などでささくれだったフローリングを人間やペットが歩くことになります。ペットの肉球に棘が入ったり、自分の足の裏にささくれが刺さったりする可能性も高くなります。
フローリングのダメージは、放置すればするほど酷くなります。補修しない限り良くなることはありません。
フローリングのダメージに水分が入ったりすれば腐食やカビの原因にもなります。家庭内で足元に危険があれば安心して暮らせませんので早急に補修することを強く推奨します。
代表的なキャスター付き家具
働き方改革で、テレワークが浸透してきています。テレワークとは、会社に出勤せずに自宅やカフェ・レンタルオフィスなどで仕事をする働き方です。
テレワークでは、在宅ワークの比率が高いので、デスクとキャスター付きチェアを自宅に導入する人が増え続けています。
現在、在宅ワークでキャスター付きチェアを使っている方がいましたら、フローリングをよく見てください。知らない間に擦り傷が増えているかも知れません。キャスター付きチェアがフローリングにダメージを与える割合は非常に高いのです。
キャスター付き家具の中でも最も多いのがキッチンワゴンです。収納ケースも片方にキャスターがついているものや前後両方についているものがあります。
最近では、本棚にもキャスター付きがあります。このようなほとんど移動せず、重量があるものにはへこみ対策が必要です。
キャスターによるへこみや傷は補修できる
フローリングが、キャスターで受けてしまったへこみや傷は補修できます。比較的浅いものならDIYで補修可能です。目安として、傷の長さが15cm以上あるものや、深さが1mm以上のものはプロに任せるほうが無難です。
DIYの上級者でもフローリングの傷を直して調色することは時間を要します。不慣れな作業であれば、労力や時間の無駄になる可能性もありますので、賢明な判断が必要となります。
ダメージをDIYで補修する
比較的に傷やへこみが浅いフローリングのダメージはDIYで補修可能です。最近はフローリングや家具などの木質系製品のダメージを補修できるグッズが販売されていて、手軽にDIYできるようになっています。ここでは、そのグッズを使ったDIY方法を解説します。
傷・擦り傷にはクレヨンとマーカー
フローリングの傷や擦り傷はクレヨンとマーカーで簡単に補修しましょう。擦り傷などで傷の深さが微小ならマーカーを使用します。少し深さがあればクレヨンで埋め込んでからマーカーで調色すれば補修できます。
使用する前に目立たない場所でテストして色が合っているか確認しましょう。フローリングの他にも木質系のものであれば同様に補修できる便利なグッズです。
へこみにはリペアの達人シリーズ
フローリングにキャスターのへこみができた場合は、スティックで埋め込み方法が有効です。少し難易度はあがりますが、チャレンジする値打ちはあります。
使用方法
- へこんでいる部分を綺麗に掃除
- 電気コテを温める
- フローリングの色にあったスティックを選ぶ
- スティックを溶かしながらへこみに埋め込む
- やや盛り上がり、へこみが見えなくなるまで流し込む
- カラースティック除去クリームを塗る
- 電気コテを手前に引きながら余分なスティックを取り除く
- 木目の方向に合わせて平らになるまで取り除く
- スチールウールで余分な光沢を取る
- 木目ペンで木目を書いて仕上げる
フローリングと色が合わない場合は、複数のスティックを混ぜて使用しましょう。電気コテで火傷しないように注意してください。
このキットで補修できないものはプロに依頼するしかありません。
広範囲な損傷はリペアのプロに依頼
プロに依頼する場合はリペア業者が最適です。聞き慣れない方もいるかも知れませんし、リペアと聞くと楽器や車の修理と思われる方もいるでしょう。
ここで解説するリペア業者は、建具や家具、内装材など家に関するダメージを修復するプロ集団です。中には、高い技術力を駆使して車や楽器を修復する業者もいます。
リペアとは?
リペアとは修復です。ここでは家の中にある建具や家具・電化製品などを修復することを指します。修復できるダメージは、傷やへこみ、剥がれ、欠けなどです。電化製品の内部などは修理となり専門外です。
また、リペア業者は、どのような素材でも修復可能です。木材はもちろんですが、金属や天然石、樹脂など家庭で扱われているものならどのような素材でも対応します。
リペア業者は、修復後に調色を施して修復箇所が判別できないほどの仕上がりを実現します。アンティークな家具に合わせた調色や、経年に合わせた調色を施しますので、修復箇所に生じる違和感はありません。
リペア業者の技術を紹介
画像は、フローリングの所々あった傷を修復したものです。傷を修復した後、周囲と同化させる調色を施しているので修復箇所は判別できません。
こちらの画像はフローリングの割れを修復したものです。割れを修復後、周囲に合わせて調色を施しましています。あえて、黒ずんでいる調色に仕上げることで、周囲の経年と同化させています。
本来なら、この部屋全てのフローリングを再塗装すれば新品のように蘇ります。しかし、施主が望む他の部屋とのバランスや予算を考慮してこの仕上がりとしました。
このように、施主の要望に対して忠実に取り組み、要望以上の修復を行うのがリペア業者の技術力です。
フローリングの再塗装については詳細な記事がありますので参考にご一読ください。
フローリングの手入れを徹底解説!再塗装で新築の輝きを取り戻す方法も→
https://teigakurepair.com/caring-for-the-flooring
リフォームは最終手段
家の修理はリフォームとの概念を持っている方が多いのですが、リフォーム業者とは建材や建具を交換する業者です。
今回は、キャスターによるフローリングのダメージなので、フローリングを交換するまでもありません。DIYとリペアで充分に対応可能です。
リフォーム業者のフローリング交換は、全部張替えとなります。キャスターで傷ついた場所だけ部分的に張替えてほしいと要望を伝えても難しいでしょう。
理由は、補修箇所と同じ素材で同じ経年を経たフローリング材が無いからです。一部張替えとなると、張替えた場所だけが違う色合いで違う木目になります。リフォーム業者は調色の技術を持ち合わせていないので、張替えて終わりです。
張替えた跡がくっきり判るフローリングは見た目も良くありません。ですので、リフォーム業者は、いろいろ理由をつけて部屋全てのフローリングを張替えるように提案するのです。そのほうが、売上も上がりますし、技術も必要ありません。
しかし、地球温暖化でゴミの削減を謳われている現代において、使えるものまで廃棄して高額な費用を支払うのはいかがなものでしょうか。修復できるものはDIYやリペアで修復し、それでもダメなら最終的にリフォームという道順がエコロジーで経済的な補修方法であると推奨しています。
複数箇所の補修なら定額リペアへ
リペアの価格相場は、修復1箇所につき1万円から2万円です。リペアは建材や部材など交換しませんので、部品代は無くすべて技術料となります。ただし、新たに必要となった補修材や出張費は別途請求になります。
補修箇所が多い場合は、当定額リペアをご利用ください。定められた時間内であれば、キャスターによるフローリングのダメージだけでなく家の壁紙や、天井のシミ、ドアの傷など家の中で気になる箇所を修復できます。
前途のようにリペア業者は対応範囲が非常に広いので、諦めていたダメージも修復できる可能性が大いにあります。
賃貸住宅の補修は慎重に
賃貸住宅の場合は、DIYやリペアによるフローリングの補修に注意が必要です。
賃貸住宅を退去する時は、借主が原状回復の義務を負います。従って、キャスターでフローリングに傷やへこみなどのダメージを与えれば、退去後に貸主がリフォームで補修します。その支払い義務は借主となり、保証金や敷金から差し引かれたり、別途請求されたりします。
貸主は、補修=リフォームを選択する場合がほとんどです。新しいフローリングのほうが次の入居者が決まりやすく、高感度や満足度も高いからです。
借主は、リフォームとならないように退去前に補修しておこうと考えがちです。しかし、補修前に注意事項があります。それは、賃貸契約書の内容です。ほとんどの場合、補修する際には貸主の許可が必要となっています。
リペアの技術が優れているとはいえ、貸主に無断で補修する場合は、リスクを負っていることを認識する必要があります。まして、無断でDIYするなどの行為は契約違反となる可能性が高くなります。
賃貸住宅では、入居前にフローリングがダメージを受けないように対策しておくと退去時に要らぬ心配をしなくて済みます。キャスターによるダメージの防止策は次に解説します。また、フローリングのダメージ防止策をまとめていますので参考にお読みください。
家具によるフローリングの傷防止とは!ダメージの修復法も解説!→
https://teigakurepair.com/damage-caused-by-furniture
賃貸住宅のフローリングのダメージについては、下記の記事で詳細にまとめていますのでご参考にしてください。
賃貸のフローリングの傷は要注意!トラブルにならない補修とは?→
https://teigakurepair.com/scratched-flooring-for-rent
キャスターによるダメージの防止策
フローリングのダメージ防止策は多種多様にあります。その中から、今回のテーマであるキャスターによるダメージに絞って防止策を紹介します。
せっかく修復できてもすぐにダメージを受ければ、修復した意味もなくなります。また、新築や賃貸の入居前に準備しておけば、引越し時に役立つこともあるでしょう。
チェアマットでフローリングを守る
キャスター付き家具の中で、もっともフローリングにダメージを与えるのがチェアです。デスク周辺にチェアマットを敷いておけばフローリングを保護するので、傷がついたりへこんだりすることはないでしょう。
このチャアマットはキャスターの動きを妨げすに、荷重を分散するので使い勝手が良いマットです。また、吸着するのでズレたり滑ったりする心配もありません。
多用途マットも効果あり
好みの長さに切り取ることができて、クルクルと巻いて収納できる多用途マットです。キッチンワゴンやランドリーカートなどの動線に敷いておくとフローリングを保護しダメージを与えることがありません。
耐久性や耐水性があるので、水回りでも活躍するマットです。
フロアタイルで部屋ごと保護
キャスター付きの家具が多く、部屋全体のフローリングを保護するならフロアタイルが役立ちます。子供やペットがいる家庭でも重宝します。
シールを剥がして貼るだけなので、簡単に施工できます。また、カッターで簡単に切れるのでサイズ調整も問題ありません。
このシリーズはビンテージ調なので部屋の雰囲気もガラッと変えることができます。部屋全体を保護していれば、安心してキャスターを移動させたり固定させたりできます。
凹みや傷のないフローリングは安心
キャスターによるダメージであっても、フローリングに傷やへこみがあると違和感があったり、見栄えが悪かったりします。足元が不安定であれば、安心した暮らしは成り立ちません。もしもの時の障害になる恐れもあります。
キャスターによるダメージ程度と思われる方もいるかも知れません。しかし、地震のエネルギーは家の中の損傷部分に集中します。フローリングが割れたり、隙間が広がったりすれば、避難の妨げになるかも知れません。
備えあれば憂いなしです。放置すれば状態が悪化するだけですので、早めに補修しましょう。
常に安心して暮らせる状態をキープすることは、防災・減災の基礎にもなっています。