フローリングの建材は、頑丈に見えますが、木材を主としているので鉄製品を落としたり、花瓶などを落としたりするとへこんだり、えぐれたりしてしまいます。
傷なら目立つのですぐにわかりますが、へこんでいる場合は、ちょっと目を凝らさないとわからない場合あります。凹みやえぐれは、表面コーティングが剥がれやすく、そこから水分が入り込み、シミや劣化につながることがあります。
今回は、初めてDIY補修する方でも可能なフローリングのへこみ修理法や、プロのリペア業者に依頼した場合の出来栄えと費用など徹底的に解説します。
ぜひ美しいフローリングの維持に役立ててください。
フローリングの種類別!DIYへこみ補修方法
フローリングのへこみやえぐれ傷にはDIYで直せるものもあります。中には家庭にある家電で直すことが可能なへこみもある為、チャレンジする価値ありです。
ここでは、フローリングの材質に応じて、小さなへこみキズを簡単に直す方法を解説していきます。
無垢材はアイロンで補修
無垢材のフローリングにへこみ傷がついたらアイロンでの修復がお勧めです。無垢材のへこみ傷は、荷重による木材の圧縮なので、膨張させることができたら修復が可能です。
家庭のアイロンがスチームアイロンな場合
- 画鋲などや縫い針など先の尖ったものを用意する。
- へこみ傷のゴミやホコリを取り除く
- へこみ部分に画鋲や針で数箇所穴を開ける
- フローリングから数センチ離してスチームアイロンの蒸気をあてる。
フローリングが熱くなりすぎないように注意しながらスチームを何度かあてます。補修が終われば水分を拭き取ることを忘れないようにしてください。
スチームアイロンではない場合
- へこみ傷のゴミや誇りを取り除く
- タオルに水を含ませて固く絞りへこみ傷の上に置く
- タオルの上にアイロン3~5秒程度をのせる。タオルが乾けば水分を加える。
何度か確認しながらアイロンをのせる作業を繰り返し、補修が終われば乾拭きして水気をなくしてください。
アイロンによるへこみ傷の修復は、無垢のフローリング材にのみ有効な手段なので、フローリングの材質を確認しておく必要があります。
また、無垢材の中でもウレタン塗装やUV塗装を施している場合は、塗装が剥げることがあるため、その場合はアイロンでの補修は行わないでください。
複合材は補修キットで補修
複合フローリング材のへこみ傷をDIYするなら補修キットがお勧めです。
複合材は、基盤部分が熱による伸縮を防ぐように工夫されているのでアイロンによる熱や蒸気ではほとんど復元できません。
また、表面材にヒビが入っている場合も多いのでパテやクレヨンで埋めるほうが適しています。
ここでは、イージーリペアキットを紹介します。へこみ以外の傷や家具なども補修できるので便利なグッズです。
えぐれ傷を補修する場合
- えぐれ傷のバリや汚れを取り除く
- 補修箇所の色に近いスティックを選びホットナイフで溶かして傷を埋める
- 付属のゴシゴシスクレーパーのギザギザ面を使って埋めた傷を平らにする
- ゴシゴシスクレーパーの先端部を使ってさらに平らにする
- 完成、やり直す場合は2と3の工程を繰り返す。
補修箇所と色が合わない場合は複数のスティックを混ぜ合わせて調整すると良いでしょう。
クッションフロアならドライヤーで補修
クッションフロアであればドライヤーで補修することが可能な場合があります。クッションフロアは、木目をプリントしたクッション性のあるシートを床の表面に貼っています。
クッションフロアは柔らかい分だけへこみ傷がつきやすく、家具などを置くだけでもへこみ傷になる場合があります。
クッションが潰れて凹んでしまった部分を温めることで、凹みを戻す方法です。ただし、熱をあてすぎるとシートが柔らかくなりすぎる、または溶けてしまう為、30センチ程距離を開けて様子を見ながら、長時間熱を与えないように注意しながら行ってください。
リペアのプロに補修依頼した方が良いへこみ
アイロンで直る程度のへこみ傷ならDIYで十分かもしれませんが、広範囲のへこみやえぐれ傷、フローリングの凸凹などはプロに依頼することをお勧めします。
補修キットなどでは追いつかない傷を自分で直した結果、労力と時間の無駄になることが多いです。
そうならないように下記の記述を参考に賢明な判断でプロに任せることもご検討ください。
へこみの長さ15cm以上・深さ1mm以上の場合
へこみの長さが15cm以上、深さが1mm以上なら迷わずプロに補修を依頼するべきです。
また、相当な傷でないならリフォームまで選択肢に入れる必要はありません。フローリングの場合のリフォームとはフローリングの張替えです。
へこみやえぐれ・凸凹であればリペア業者に依頼すればフローリングを張り替えることなく傷部分を無かったことにしてくれます。フローリングの張替えと補修では、金額はもちろん、時間や部屋の荷物出しなど全く異なります。
迷った場合は、リペア業者に相談することから始めたほうが無難です。
賃貸住宅の場合
賃貸住宅に住んでいる場合、自分でフローリングを補修することはリスクを背負うことになると認識してください。
安易な気持ちで補修して失敗した場合や、DIYしたことが管理会社や大家に発覚した場合は、原状回復の費用を請求されたり保証金から大幅に差し引かれたりする場合があります。
もちろん、賃貸契約内容にもよるので、しっかり確認してからDIYするなりリペア業者に依頼するなどの判断をすることが肝要です。
良いリペア業者の選び方とへこみ修理の価格相場
建築関係では日常的なことですが、下請けに「丸投げ」ということを聞いたことがある人も多いかと思います。中には、職人がまったくいない工務店もあります。ユーザーから依頼を受けても丸投げして大幅な上乗せ利益を吸収する悪徳業者も多々います。
そんな中で、大事な家のリペアを依頼するなら、優良なリペア業者に直接依頼したいのは当然のことです。
ここでは、インターネットが普及している現代において、情報を収集し良い業者を選ぶ方法をお伝えします。
技術力があるかを確認する
ホームページすら開設していないリペア業者は実績判断しにくい為、ホームページやブログなどで、その業者がどれだけの施工事例があるかを確認できる業者が安心です。実績を確認できればおおよその技量を測ることができます。
また、得意とするリペア作業も見えてくるので業者選びの参考となります。
次は、実際に連絡して感触や相性を確認することが大切です。ホームページやブログは、アウトソーシングしている場合も多い為、メール返信や電話対応を確認するだけでも業者の姿勢を判断する材料になるので活用してみましょう。
適正な価格を知り比較する
リペア業者の価格相場は、補修1箇所につき1万3000円程度が目安です。もちろん補修部分が大きい場合や複雑ならば、料金は変動します。
また、特別な材料を取り寄せた場合や出張費は含まれていないので別途の費用となる事が多いので事前に確認しておきましょう。
先程、長さが15cm以上で深さが1mm以上ならプロに依頼することを勧めましたが、これらの点を踏まえてリペア業者に見積もりを要求すれば、その業者が高いのか安いのか判断できます。
中には、見積もりを出すことさえ面倒だと言う業者がいるかもしれませんが、そのような業者は相手にしないことです。
アフターフォローや保証制度を確認する
保証やアフターサービスについても見積もりの段階で確認が必要です。下請けに丸投げしているような業者の場合、再修理のときにまったく別の業者が来て、まったく違った修理をして帰るというケースがあります。
素人には、1回目の業者の施工方法が間違っていたのか2回目の業者の施工方法であっているのかわからないことが多いです。
このようなことにならないように業者を選ぶときは、責任の所在がどこにあって、どのような保証やアフターサービスをどのくらいの期間受けることができるのかを見積もり依頼する段階で確認しておく必要があります。
へこみ・えぐれ・凸凹の再発防止方法
フローリングのへこみ・えぐれ、凸凹の原因は荷重や衝撃です。せっかく修理しても再発させてしまっては意味がなくなるので再発防止方法を解説します。
固定家具の下に緩衝材を敷く
固定家具とフローリングの間に緩衝材を挟み込めば柔らかいフローリングであってもへこみなどを緩和することができます。
固定家具向けの緩衝材は、滑らないので家具をしっかりと固定できるメリットがあります。しかし、家具を移動する時には先に緩衝材を取り除いておいたほうがスムーズに移動できます。
可動家具にも緩衝材を取り付ける
ダイニングの椅子など可動させる家具にも緩衝材を取り付けておけば、フローリングに与えるダメージを軽減できます。
フローリングとの接地面は滑りがよくて家具との接地面には接着剤がついているものがお勧めです。可動させるのである程度消耗品と捉えて定期的に交換するとフローリングの傷を防ぐことができるでしょう。
カーペットを敷く
あらかじめカーペットを敷いておけば、フローリングの傷を大幅に防ぐことができます。
ものを落とした衝撃によるへこみ傷やペットの爪や尖ったものによる線傷、子供のおもちゃなどによる擦り傷も防ぐことが可能です。
近年のカーペットは、裏面に滑り止めがついていて、尚且、水洗いや洗濯機で洗えるものもあるので家庭の用途に応じたものを選びましょう。
マットやフロアータイルを利用する
ダイニングなどはフロアマットを敷いていると安心です。緩衝材としての効果も高いPVC製なのでへこみ傷の防止だけでなく擦り傷や水分からもフローリングを守ってくれます。
また、カットして自在に使えるので、キッチンまわりなどにも応用できます。
半透明だけでなく多彩なプリントものもあるので、好みのマットを敷くだけでお部屋の雰囲気をガラリと変えて楽しむことができます。
へこみにくい木材はあるのか?種類別の特性
木は大きく分けて針葉樹と広葉樹があり、一般的には、広葉樹のほうが堅いです。しかし、広葉樹は樹種が多く、中には柔らかくて針葉樹のような手触りの良い木もあります。
ここでは、代表的なフローリングの木を解説します。DIYやリペア、新築を建てるときなどに役立ててください。
ウォールナット
ウォールナットは広葉樹でクルミ科の木です。木材に加工すると落ち着いた色目が魅力的でマホガニーやチークに並ぶ世界三大銘木として知られています。
フローリング材としては、硬めで耐久性が高く、へこみ傷にも強いのが特徴です。色目や木目を利用してシックな部屋に使用するとウォールナットの良さを発揮させることができます。
パイン(松の木)
パインは、よく知られている松の木で針葉樹です。優しい肌触りと柔らかさが特長で、経年とともに深みを増すことが魅力の一つです。
フローリング材としては、肌触りの良さと柔らかさを活かし子供や年配者のお部屋に適しています。等間隔の赤みがある節を活かした塗料で仕上げることをお勧めします。
ブラックチェリー
ブラックチェリーは、広葉樹で木目が細かくなめらかな感触が特徴的です。広葉樹独特のしっかりした硬さも保持しているのでフローリング材に適しています。
淡い琥珀色が経年とともに深みを増していくさまを楽しむことができる名木です。
ヒノキ(檜)
檜は、日本を代表する針葉樹の名木です。木材としては油分を多く含んでいて、耐水性に優れている点でもよく知られています。また、人を惹き付けるような独特の芳香があるのでヒノキ風呂に憧れをもつ人も多いでしょう。
フローリング材としては、針葉樹であるが硬さも保持し手触りも良いので、ヒノキの芳香を好む人には最適な建材です。
スギ(杉)
杉は、最も有名な木で針葉樹の代表的な木です。花粉症の季節になると花粉情報が天気予報やニュースなどで流れるので良いイメージがない人もいるかもしれませんが、杉は柔らかくて手触りがよく加工しやすいうえに耐久性があるので、建材として重宝されています。
フローリング材としては、物流量が多いので他の名木に比べて割安です。柔らかさや手触りの良さが楽しめます。
メープル
メープルは、堅い広葉樹の中でも有数の堅さをもつ堅木です。色目は柔らかい雰囲気を持っていて、木目や節が主張しないのも特長です。
フローリング材としては、衝撃に強く、耐久性が高いうえに摩擦にも強い木材なので、どのような部屋に使用しても重宝されるでしょう。
クリ(栗)
クリは、堅いことで知られる堅木です。ただ堅いだけでなく腐食にも非常に強いので水回りなどに用いられることも多い木材です。主張の強い木目を好むひとも多く、値段は高いですが人気があります。
フローリング材としては、耐衝撃性・耐久性・耐水性に優れているので、どの部屋でも申し分なく活躍しますが、キッチンに用いられる場合が多いでしょう。
チーク
チークは広葉樹で堅いことでも知られる世界三大銘木の一つです。船にも使用されるほど耐久性と耐水性に優れているのが特長です。
フローリング材としては、害虫にも強く、衝撃にも強いので床材に非常に適しています。値段は高いが先行投資として考えるのであればお勧めの建材です。
オーク(楢)
ブナ科の広葉樹であるオークは、ワインやウィスキーの樽にも使用される名木です。木目が美しく、堅牢で耐水性に優れているのが特長です。
フローリング材にも最適であり、経年とともに深みが出てきます。最初から木目や色目を活かしたフローリングに仕上げるとその深みをより楽しむことができます。
タモ
モクセイ科の広葉樹であまり聞き慣れないかも知れませんがアッシュと英語名を聞けばご存知でしょうか。
強靭な木材で、運動用具にも使用されているほど耐久性も高いのが特長です。
フローリング材にも最適で対応年数は非常に長く、はっきりした木目を活かした仕上げにすることをお勧めします。
ローズウッド
ローズウッドは日本名で紫檀とよばれている広葉樹です。質感は緻密で磨くと美しい光沢が出ます。また、耐朽性が非常に高く加工が難しい分だけ季節変化などの狂いがないので高級家具や楽器にも使用されています。
フローリング材にも適していて、経年で明るい色目になることを計算して使用するとさらに素晴らしいフローリングとなります。