新築の家を建てて10年ほど住めば建具に様々な傷がついているものです。玄関ドアの小さな擦り傷や子供部屋のクローゼットの扉の落書きなど、家中を見渡せば気になる箇所が…。どこかのタイミングで一気に建具の傷を補修しなければ、傷は増えるだけです。
今回は建具の基礎知識から、建具の傷をDIYで補修する方法や専門業者に依頼した場合の費用相場などを解説します。気になる建具の傷を補修する際の参考にしてください。
建具とは
建具は聞き慣れた言葉ではありますが、どのようなものを指すのかわからない方もいます。ここでは建具についてどのような種類があるのか、どのような素材が使われているかなどを解説します。
建具の種類
広辞苑では建具を、「戸・障子・襖ふすまなど、室を区切るために取り付けて開閉するもの」としています。実際には柱や巾木、欄間なども建具です。建具は大別すると外部建具と内部建具に分けられるため、代表的なものを次に記します。
【建具の代表的な種類】
・外部建具:玄関ドア・勝手口のドア・掃出し窓・出窓・雨戸・網戸など
・室内建具:室内ドア・室内窓・間仕切り戸・襖・障子・欄間・クローゼット扉など
外部建具は家の出入りと防犯の役割があります。季節によっては、風や光、熱を遮ったり、取り込んだりする効果があります。内部建具は部屋を分けたり、空間を仕切り冷暖房の効果を高めます。
建具の材質
建具の材質には適材適所があります。基本的な材質は金属や木材、樹脂ですが用途によって異なるため、傷を補修する際は材質を調べてからにしましょう。代表的な材質は次のようになります。
【外部の建具や玄関ドア】
・アルムニム
・スチール
・木材
外部建具には、金属系は防錆加工が施されているものを選ぶことをおすすめします。木材は柔らかい針葉樹を避けて、広葉樹で堅いものが長持ちします。
【外部建具や掃出し窓・窓】
・アルミニウム
・樹脂
・スチール
・木材
外部建具は前述したように金属系を選びましょう。防錆加工を施したものが長持ちします。樹脂系は複層に適しているため、断熱効果を重視する人に向いています。木材を用いる場合は、堅牢性の高い広葉樹を選びましょう。
【内部建具や室内ドアなど】
・木材
・紙
・アルミニウム
室内では堅牢性よりも居住性が重視されます。大半は木材が使われますが、室外のような広葉樹ではなく、針葉樹が使われる傾向があります。針葉樹の柔らかさや肌触りの良さ、コストパフォーマンス良さなどが要因です。襖や障子などには木材と紙が使われます。加工しやすいアルミニウムも内部建具に重宝されています。
もしも建具がなかったら
荒唐無稽な話ですが、もしも建具が存在しなかったらどのような生活になるのでしょうか。雨や風、雪は家の中に入り放題になるでしょう。泥棒や強盗も入りやすく、家に貴重品は置いておけません。冷房や暖房を最大限に使用しても無意味です。
人が通れば家の中は丸見えで、お風呂やトイレも丸見えです。話し声や生活音も外部に筒抜けになるでしょう。実際にはあり得ないことですが、建具により人は守られ、家も守られている根拠になります。
建具の傷をDIYで補修する方法
建具の傷の補修は、専門業者に依頼することがベストですが、軽い傷であればDIYで直すことも可能です。ここでは、建具の傷の大きさによって異なる補修方法について解説します。
小さな傷は補修キット
建具の傷の中でも、小さな傷ならDIYで簡単に補修できます。補修方法は多種多様ですが、手軽に保守できるのは補修キットです。
画像のキットはマーカーとワックススティックのセットであり、微細な擦り傷ならマーカーで補修します。もし色が合わない場合は重ね塗りで調色しましょう。
少し深い傷の場合はワックススティックを使用します。傷の周りのバリをとり、汚れを拭き取りましょう。もし、傷の中にホコリなどがあれば、それもきれいに拭き取ります。ワックススティックで傷を埋めれば完成です。
もし、色が合わない場合はワックススティックを混ぜて調色できます。上手に仕上げるコツは、ワックススティックで埋めた傷をヘラなど利用して平行にし、周囲となじますために指で軽くこすることです。これだけで傷の境目が目立たなくなります。
大きめの凹みや傷はパテと塗装
建具に着いた大きな傷は、深さもあるためパテを利用してDIYします。難易度が上がるため自信のない人は専門業者に補修を依頼しましょう。
【準備するもの】
・パテ
・養生材
・ヘラ
・カッター
・サンドペーパー
【補修方法】
・補修箇所の周囲を養生する
・補修箇所の汚れや油分を拭き取り乾燥させる
・穴埋めパテをよく混ぜる
・ヘラで傷口にパテを埋め込む
・完全に乾くまで乾燥させる
・サンドペーパーで余分なパテを取り除く
パテと建具の色に違和感を覚えなければ完成です。もし色目が違ったりすれば、マーカーで調色して着色すれば周囲と馴染みます。
擦りキズや塗装剥げは補修用のシートが有効
建具の表面に擦り傷や塗装ハゲがある場合は、表面に補修用のシートを貼るだけで簡単にDIYできます。補修用のシートはシート式になっているため、のりやボンドなどは不要です。
【補修方法】
・汚れやホコリを綺麗に取り払って乾燥させる
・補修箇所のサイズに合わせてシートを切り取る
・補修箇所にシートを合わせて罪の方から剥離紙を剥がす
・シートをヘラや定規で均等に圧着する
・全面に貼ることができればカッターで余分な部分を取り除く
ポイントは少し余分を持って切り取ることがシートを上手に貼り付けるポイントです。貼り終わった後で気泡を見つければ、針で小さな穴を開け、空気を抜いて圧着させましょう。
建具の補修を専門業者に依頼した場合の費用相場
建具の傷を専門業者に依頼する場合は、リフォーム業者とリペア業者に分かれます。建具のダメージが大きくて交換しなければならない場合は、専門業者はリフォーム業者です。
建具を交換せずに補修する場合の専門業者は、リペア業者になります。「交換はリフォーム」、「補修はリペア」と覚えておくと業者選びが簡単です。
ダメージの種類によって補修の費用相場が変わるため、補修方法による費用相場を解説します。相場はあくまでも目安ですので実際には見積もりを取ってから依頼しましょう。
へこみ補修の費用相場
小さな傷やへこみであればDIYも可能です。しかし高級な建材を利用している場合やDIYが苦手なら無理にチャレンジしないで、専門業者に補修を依頼しましょう。無理なDIYは傷口を広げる結果になりがちです。
小さなキズやへこみの補修の費用相場は、補修箇所1箇所あたり1万5,000円からです。複数の補修をする場合や難易度が高くなれば費用も高くなります。リペア業者の場合は、交換する建材や建具がないため、費用のほとんどが技術料です。
仕上げシート張り替えの費用相場
木目調に見える建具であっても、木目調の仕上げシートを貼り付けてあるケースが少なくありません。仕上げシートは基本的にビニール系の素材が多いため、経年劣化により剥がれや変色などが起こります。仕上げシートの張替えはリフォームでもリペアでも問題ありません。
仕上げシートをDIYで張り替えることは、おすすめできない為専門業者に依頼しましょう。仕上げシート張替えの費用相場は1㎡あたり8,000円から1万円程度です。張り替える面積が広いほど単価が安くなるため部屋の模様替えなどで、まとめて依頼すると割安になります。
建具を塗装する費用相場
建具に使われている合板の突板が剥がれたり、色あせたりしている場合は、全面塗装することで新品のようになります。補修用のシートでDIYできない場合は、全面塗装を利用することで、室内や屋内が生まれ変わるでしょう。
全面塗装の費用相場は、木製ドアで3万円から10万円程度です。木目を活かした仕上げの場合は工程が増えるため費用が高めになります。アルミのドアの場合は、基本的に塗りつぶしで済むため費用は、3万円から5万円程度です。柱の塗装や階段の塗装などは、別途見積もりを取るようにしましょう。
賃貸住宅でのDIYは注意が必要
賃貸住宅にお住まいであれば、DIYには注意を払いましょう。賃貸住宅の場合は、DIYやリフォームする場合に貸主の許可が必要となります。借主がDIYしたりリフォームしたりすることは、契約で認められていないケースがほとんどです。稀な例ですが、古民家などの賃貸では、リフォームやDIYが認められているケースもあります。
いずれにしても、貸主に無断でDIYして失敗した場合は、多大な費用を貸主から請求されるおそれがあります。借主には、原状回復の義務があるため、転居時に転入前の状態に戻さなければなりません。経年劣化や人が生活する上で仕方がない摩耗や汚れなどは、考慮されるため補修やリフォーム費用は請求されません。
しかし、DIYやリフォームは借主の勝手な判断で行った結果であるため、原状回復の義務を負うことになります。賃貸住宅にお住まいの方で、建具の補修が必要な場合はすみやかに貸主に相談するようにしましょう。
もしかしたら火災保険が適用される場合もある
持ち家にお住まいの方の場合は、建具の補修で火災保険が使える可能性があります。火災保険は、不測かつ突発的な事故の場合であれば補償されます。不測かつ突発的な事故とは、予測できない事故であり、突発的で繰り返し起こらない事故で、事故の原因や日時ははっきりしている事故です。
【不測かつ突発的な事故の例】
・子供が遊んでいて、故意ではなく窓ガラスを割った。
・重たい荷物を運んでいるときにつまずき、フローリングに落としてしまいフローリングが割れてしまった。
・テーブルを運んでいるときにバランスを崩してドアにあたってしまい、ドアが外れてしまった。
上記のような場合は、故意による事故ではなく、不測もできないため火災保険が適用されるケースです。建物が保険の対象になっている場合に限りますが、保険会社に問い合わせてみると良いでしょう。
定額リペアで賢い建具の補修を
建具の補修ではリペア業者の出番が少なくありません。しかし、1箇所の補修のたびに1万5,000円以上の出費となれば、負担に感じる方も少なくないでしょう。
そこで提案したいのが定額リペアです。定額リペアは時間制であるため、複数箇所の補修であっても時間内なら余分な費用が発生しません。6,000円からの定額料金であるため、安心して補修を依頼することができます。1級建築士監修の元、腕の良いリペア業者が、ユーザーの希望を叶えるように努めていることも、大きな安心材料です。
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