家は経年とともに少しずつ劣化していきます。水回りや使用頻度の多い場所ほど劣化のスピードが早くなります。お風呂のドアはお湯や水がかかり、常に湿気も高い場所に設置されていて使用頻度も多い場所です。
今回はお風呂のドアについて、トラブルや交換のタイミング、リフォームの方法などについて解説します。自宅のお風呂のドア交換の参考にしてください。
お風呂のドアのトラブル
お風呂のドアが壊れたり、開閉しにくくなったりすることは珍しくはありません。お風呂は家の中でも湿気が多くトラブルが生じやすい場所であり、ドアも例外ではありません。ここでは、お風呂のドアに生じるトラブルについて解説します。
開閉しにくくなる
お風呂ドアによく使われているタイプは、折れ戸や引き戸、開き戸です。近年は、折れ戸を採用されるケースが多いのですが、築古住宅などでは引き戸も開き戸も使われています。
お風呂のドアが開閉しにくくなるとは具体的には、開閉が重くなる、開閉時に異音がして開閉が嫌になる、開閉時に引っかかりがあって開閉しにくいなどです。このような症状はお風呂のドアが壊れる前のサインと受け止めましょう。
無理に使い続けると壊れてしまい修理ができなくなる恐れがあります。できるだけ早く専門業者に修理を依頼するか、DIYで修理することをおすすめします。
ドアノブやレバーの内部が錆びて動かしにくい
お風呂のドア本体ではなく、お風呂のドアのドアノブやレバーの内部が錆びて動かしにくくなるケースがあります。お風呂用のドアノブやレバーは、当然ですが内部に水が入らないように製造されています。
しかし、経年とともにパッキンやネジなどが劣化して、内部に湿気や水分が入るケースも出てきます。ドアノブやレバーの内部が錆びれば機能不全となり動かしにくくなります。放置すれば、錆が酷くなりドアノブやレバーが動かなくなる恐れがあるため、早急に対応するようにしましょう。
脱衣所に水が漏れてくる
お風呂のドアは通常のドアと異なり、水や湿気が漏れないように密閉性が高く、脱衣所に水が漏れないようになっています。
しかし、お風呂のドアが故障したり、経年劣化によりパッキンなどが損傷したりすれば、本来の性能を発揮できなくなるため脱衣所に水が侵入します。脱衣所の床が湿気や水分で腐る可能性もありますので、少しでも水や蒸気が漏れていれば早急に補修の手配をしなければなりません。
カビが発生する
お風呂は湿気の溜まり場といっても過言ではありません。湿気の多い場所には、カビがついて回ります。最新のシステムバスであっても、手入れを怠ると隅からカビが発生する可能性があります。
お風呂のドアの場合は、ドア枠とドアの間や、折れ戸のレール部分などの隙間に水分が溜まって、カビが生えやすくなるのです。引き戸や開き戸の溝や底も同様にカビが生えやすい環境です。カビは見栄えも悪く、人に悪影響を与えますので見つけたらすぐに退治することをおすすめします。
お風呂のドアの交換のタイミング
お風呂のドアを交換しようと決断するには、タイミングが重要です。お風呂のドアが開閉しにくくなった場合は、早急にリフォームしたほうが良いでしょう。お風呂に閉じ込められる、又は中で家族がもしも倒れてしまった時に救助できなくなれば大変です。
ここでは、お風呂のドアを交換するタイミングについて、故障以外の理由を解説します。故障する前に交換することで未然にトラブルを防げるでしょう。
風呂ドアの耐用年数を参考に交換
国土交通省は、さまざまな浴室設備について耐用年数を公表しています。そこで
発表している浴室設備の期待耐用年数は、15年から25年です※1。使い方やメンテナンスによって、この耐用年数よりも早く使えなくなる場合もあれば、耐用年数を超えても使用に差し支えないケースもあります。
お風呂のドアが壊れてしまえば、お風呂から出ることもお風呂に入ることも困難です。そのような状態になる前に、耐用年数を参考に交換を済ませておくと、安心してお風呂に入ってくつろげるでしょう。
※1 国土交通省:期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について(13P)
劣化サインを発見して交換
お風呂のドアには劣化のサインがあります。代表的なものは下記のとおりです。
【お風呂ドアが劣化しているサイン】
・パッキンが外れる
・蝶番が壊れた
・脱衣所へお湯や水が漏れている
このような場合は部品の交換で済む場合が多いので、できるだけ早く交換しましょう。問題はパッキンにカビが生えたり、ひび割れが生じたりした場合です。
パッキンの交換だけで済めばよいのですが、経年劣化だけでなく、カビの繁殖が重なれば、ドアの交換を決断しなければならないでしょう。お風呂のカビはできるだけ早く除去しないと人体にまで影響を与えます。
デザインを一新して気分転換に交換
お風呂のドアがまだ使える状態であっても、家や部屋のデザイン一新を図るために交換することも少なくありません。
お風呂のドアは年々改良が進んでいる建具です。家の間取りやデザインに合わせて交換することで、お風呂が快適な空間になることもあります。
お風呂のドアの材質もガラスや樹脂だけでなく、木材や金属も選べます。各社が競い合うデザインから、自分の好みを見つけることも、気分転換のきっかけになるでしょう。
お風呂のドアのリフォーム方法
お風呂ドアのリフォームには3つの方法があります。リフォームですので、修復ではなくドアの交換やドアと外枠の交換です。ここでは、それぞれの特徴を解説します。
お風呂のドアの交換
お風呂のドアだけを交換する方法は、コストを抑え簡単にリフォームできる方法です。現在使用しているドアと同じものや同じ規格のものをリフォーム業者が入手できた場合は、さらにコストとリフォーム時間を抑えることができます。
外枠に傷みがあり、ドアを交換しても開閉に障害があるようなら、外枠も交換しなければなりません。またお風呂のドアが古い場合には、同じ規格のドアが生産されていない場合もあります。
お風呂のドアは密閉性が重要です。少しでも隙間があれば、脱衣所への水漏れ原因となり、カビの発生原因となります。同じ規格のドアがない場合は外枠も交換することになると認識しておきましょう。
お風呂のドアと外枠の交換
お風呂のドアと外枠の交換は前述したように、ドアの規格が合わない場合や外枠にも経年劣化や損傷がある場合に行います。大掛かりなリフォームとなるため、この機会にお風呂のドアの種類を変えるケースも少なくありません。
お風呂のバリアフリー化も、この際に済ませておくと安心してお風呂に入れます。バリアフリー化の場合は行政から補助金が出る場合もあるため、確認してからリフォームしましょう。
カバー工法
カバー工法とは、既存の外枠に新しい外枠をつけて、ドアを交換する方法です。新しい外枠で既存の外枠をカバーするため、カバー工法とされています。
カバー工法にはコストを大幅に削減できて、短期間にリフォームできるメリットがあり、仕上がりも美しいことが特徴です。
カバー工法は、お風呂のドアのリフォームの主流になりつつあります。しかし、既存の外枠が経年劣化していたり、大きなダメージがあったりする場合は、カバー工法の施工はできません。
また、カバー工法でリフォームした場合はカバーの分だけ開口部が小さくなるデメリットもあります。
お風呂のドアの交換はDIYでも可能?
お風呂のドアをDIYで交換することは難しいですが可能です。しかし、お風呂はしっかりした密閉性が大切になるので、DIYに失敗すると水漏れや開閉がスムーズにできないなどのアクシデントが発生することもあります。
またDIYできるのは、既存のドアと同じドアが入手できた場合のみです。1人での作業は難しいため、2人以上でDIYに取り掛かりましょう。
外枠の交換やカバー工法はDIYでは難しいため、プロ並みの技術力があっても、リフォーム業者に依頼することをおすすめします。
DIYに失敗したあとでリフォーム業者に依頼することになると、コストの無駄遣いだけでなく、自由にお風呂に入れない期間も長くなります。
お風呂のドアリフォームの費用相場
お風呂のドアをリフォームする前に、知っておきたいのは費用相場です。リフォームは建具や現状、施主の要望によって費用が大きく異なるため、あくまでも目安にしかなりませんが紹介します。
【お風呂ドアのリフォーム相場】
・カバー工法…5~15万円
・ドア本体のリフォーム工事…7~36万円
(詳細)
ドア本体の交換…7~22万円
ドア本体とドア枠の交換…11~26万円
開閉方法の違うドアへの交換…21~36万円
・ドアノブや蝶番の交換・修理等部分的な修繕…1万円~
お風呂以外のドアに適した補修方法はリペア
お風呂のドアのリフォームでは、ドアや外枠の交換、ドアの種類を変更など大掛かりになりがちです。リフォームは建具や建材を交換して新しくしますが、家の修理にはリペアという方法もあります。
リペアは建具や建材を交換しません。画像のように浴槽に空いた穴を埋めて、元の状態に修復する技術です。
お風呂のドアはリフォームで交換することが一般的ですが、お風呂以外のドアでしたらリフォームで交換する前に、リペアでの修復を検討してください。
ドアを交換しないのでエコロジーですし、慣れ親しんだドアを廃棄することもありません。ドアを購入しないので、家計に優しいことも大きな特徴です。