一見丈夫に見えるドアも、ちょっとした衝撃で穴が空いてしまうものである。引っ越しや模様替えで家具をぶつけてしまった・・・子どもが遊んでいてボールやおもちゃをぶつけてしまった・・・などなど。そんな時、あなたはどうするだろうか?
生活に支障はないからと、ダンボールやガムテープでふさいでしまう人もいるかもしれない。しかし、見栄えも良くないしぶつかった時にケガをしやすい。
また、賃貸物件の場合は退去時に補修費用が発生してしまうので心配な人も多いだろう。ドアの穴を補修するには、どんな方法があるのだろうか?リペアのプロの事例を見ながら最もベストな解決策を解説していく。
扉、ドアの穴補修事例
扉の穴補修事例(単色)
子供同士の喧嘩で空いてしまった3つの穴。戸建て住宅の扉は大きな力を加えると簡単に穴が空いてしまうほど強度は弱いので要注意だ。
まずはカッターで下地を整えて接着剤で固めていく。
ポリパテで穴を埋めていく。
カッターの刃で盛り上がりを削っていく。
ヤスリでフラットにしていく。
パテで穴を埋めた状態。穴は埋まったが色が周囲と馴染んでいない。
しっかりと平らになっているかチェック。
平でない部分を削っていく。
スプレーで調色する。
色々な角度で見て色と艶をチェックする。
ガンで艶を調整する。
最後に綺麗にクリーニングして。。
完成!!
扉の穴補修事例(木目)
大きな穴と小さな穴が2箇所。通常なら取り替え(費用じ10万円以上)だが、リペアであればそこまで費用は必要ない。
遠目だとわかりにくいが、木目がある。この繊細な評定を再現するのは難易度が高い。
空いた穴の部分に下地を新たに設置する。
割れてしまった欠片を下地に貼り付けて元に戻す。
隙間部分にパテを埋め込む。
筆に色を付けていく。
スプレーで艶を調整する。
再度筆で周囲の色と合わせる。
ガンで色&艶を調節する。
細かい溝を作って、木目を描いていく。
穴が空きやすいドアの構造
一般的な住宅の室内ドアは、「フラッシュ構造」で作られているものが多い。
フラッシュ構造のドアとは、角材などでドア枠を組み、表面に平らで薄いメラミン化粧板やポリ合板などを貼ったものである。
内部にも木枠が組み込まれてあるが、木枠と木枠の間は空洞になっている。無垢材を使用して一枚の板からできているドアならそう簡単に穴は空かないが、フラッシュ構造のドアの場合、合板と合板の間に空間があるため、衝撃に弱く穴が空きやすいのである。
ただ、内部に空間を作ることによって、重量を軽くして収縮を抑えるなどの効果がある。
また、穴が空いた場合でも、内部に損傷がなく表面的な破損で済むため、比較的補修もしやすいというメリットがある。
自分で補修は可能?
ドアに穴を空けてしまった時、まずは自分で直せるかどうかを検討することだろう。
自分で補修をする方法はあるが、壁や床の補修に比べて難易度が高く、きれいに仕上げられる確率も低い。
なぜなら、ドアの内部が空洞であるため反対側から押さえることができず、下地も入れにくいからである。
また、木目調のドアなら自然に見えるように模様を描かなければならないので、素人には至難の業であると言える。
持ち家で多少失敗しても構わないのなら、試してみるのもいいかもしれないが、賃貸物件の場合は被害がひどくならないように自分で補修するのは控えたほうが無難である。
自分でドアの穴を補修する方法
自分でドアの穴を補修するには、サンドペーパーやパテ、塗料などの材料のほか、エアブラシや絵筆などの仕上げに使用する道具も必要である。
材料はそれほど高額ではないが、エアブラシの機材をそろえるには10,000円以上かかるので、絵筆で自然な木目を描けるか、ドアの色味に合う塗料を探せるかどうかなどを事前に調べておいたほうがいいだろう。
それでは、基本的な補修方法をご紹介しよう。
1.まず、穴の空いている部分の破片を取り除き、作業しやすくする。
ひび割れ程度で穴が空くまでいかない場合は、できるだけ平らにならしてそのまま補修することも可能である。
ドアの向きがそのままでは作業しにくいので、蝶番を外してドアを寝かせておいたほうがいいだろう。
2.穴より大きいサイズの下地材を合板の裏側から貼る。
中が空洞のため、下地となる板を合板の裏側に貼り付ける必要がある。
横か縦のサイズが穴より大きい板に、あらかじめ接着剤を塗っておいて、穴からうまく通してしっかりくっつくまで合板に押さえつけなければならない。
一枚の板では穴に通らないので、二分割にしてペンチやドライバーをうまく使って穴をふさぐようにする。
3.下地の上をパテで埋める。
市販のパテを使用し、穴の空いている部分と周りの合板部分が平らになるようにパテを塗る。
4.サンドペーパーで凸凹をなくす。
パテの塗ってある部分と、周辺の合板部分の継ぎ目がわからなくなるくらいまで平坦になるように、サンドペーパーでなめらかにする。
実際にさわってみて凸凹がなくなるまで念入りに行う。
5.下地塗料を塗ってエアブラシなどで色を塗る。
仕上げが自然になるかどうかは、この塗りが重要である。
無地ならいいが、木目のあるドアなら自然な木目調になるように、筆を使って自分で塗らなければならないのだ。
*木目調シートを貼る。DIYやリフォーム用に、木目調シートやダイノックシートというものが売られている。
もし、ドアの木目と同じような柄のシートがあれば、これを貼るだけでドアの表面が美しく自然に仕上がる。
価格は数千円で済むので、持ち家で穴の補修のついでにリフォームしたいと思うなら、お好みの柄のシートを貼ってドアを生まれ変わらせるのもいいかもしれない。
業者に依頼する場合の費用や注意点
ドアの穴の補修は、自分で行うことも不可能ではないが、安全にきれいに仕上げるにはリペア業者に依頼するのが無難である。
業者に依頼した場合のドア穴補修にかかる費用は、20,000円〜40,000円程度が相場である。
しかし、穴の大きさや材質、塗装で仕上げるかシートを貼るかなどの作業内容によっても変わってくる。また、遠方の場合は交通費がかさむこともあるので、できるだけ近場の腕の良い業者を探すようにするべきである。
作業時間は2時間〜4時間程度なので、自分で補修を行うよりもはるかに手早く無駄なく直してくれるだろう。
その仕上がりも見事で、よく見ても補修跡がわからないほどである。ただ、塗装の場合は、職人の腕によるところも大きいので、どのような仕上がりになるか知りたい場合は、業者のホームページなどの施工例をできるだけたくさん見てみることをおすすめする。
また、最初からひとつの業者に決めるのではなく、複数の業者に見積もりをしてみて、時間はどのくらいかかるか、どのような作業内容でいくらくらいになるのかをよく比較してみるべきである。
賃貸物件のドアは無理に補修しない
賃貸のアパートやマンションにお住まいの方は、あまり広くない居室で物をぶつけてクローゼットのドアなどに穴を空けてしまう人も多いようだ。
賃貸物件で穴を空けたりキズをつけてしまうと、退去時に補修費用を請求されたり敷金が返還されなくなることを心配して、それを隠そうとする人もいる。少々の傷なら、自分で補修してごまかすことも可能かもしれないが、目立ちやすいドアに穴が空いてしまっては、なかなかごまかすことはできないだろう。
自分で補修して見た目がひどくなってしまったり、勝手に業者に依頼して直してもらったことが後からバレると、大家や管理会社の心証が悪くなってしまう。
故意に穴を空けたのでなければ、保険が下りる可能性もあるので、まずは隠そうとせず正直に話したほうがいいだろう。ただ、ドアの穴だけを補修するなら、業者に依頼しても20,000円〜40,000円であることを知っておくことは必要である。
一般的に退去後の補修工事は、入居者は立ち会わず、その費用は後になって知らされることが多い。そのため、言われるがまま高額な費用を払うことがないよう、この程度なら費用はいくらくらいであるという知識を持っておいて、堂々と交渉できるようにしよう。
自分で依頼して工事をしなくとも、見積もりだけでも取っておくといいだろう。
まとめ
ドアに穴を空けてしまった時は、「とんでもないことをしてしまった」とショックを受けてしまうだろう。
どうにかして自分で補修しようとするかもしれないが、ドアの穴の補修は難易度が高いということはおわかり頂けただろうか。
仕上がりを気にしない、もしくは上からシートを貼って隠せるのならばいいかもしれないが、なんとか元通りのドアにしたいと思うのならば、迷うことなくプロへ任せることをおすすめしたい。
実際に腕の良い職人に直してもらったドアの穴は、よく見てもどこを直したのかわからないくらいの仕上がりである。
作業時間は数時間、費用もそれほど高くないので、ぜひこのサイトを利用して腕の良い職人を探してみてほしい。