窓を開けて室内に心地よい風を取り入れることができるのは、虫の侵入を防止する網戸のおかげです。網戸は住宅には欠かせない大切な設備のひとつといえるでしょう。
しかし網戸が破れたり、網戸がきっちり閉まらず隙間ができてしまったりすると、そこから虫が侵入するため、網戸の効果は失われてしまいます。
今回は、さまざまな網戸トラブルの修理方法や必要な部品などをご紹介します。
網戸の修理はDIYでも意外と簡単!
網戸でよくある不具合は、ネットの破れやたるみの他に、網戸がきっちり閉まらなくなったり、網戸の開閉がしにくくなったりすることです。
ネットの破れやたるみの場合は、ネットの張替えや張り直しでDIYでも簡単に修理が可能です。
また、網戸の開閉がしにくい場合は戸車の劣化や傷が原因になっていることが多く戸車の交換が必要です。
網戸がきっちり閉まらない場合は、戸車の高さが原因の場合もあれば網戸のフレームそのものが歪んでいることが原因の場合もあります。
また、網戸の位置がきちんとサッシの右側で使用しているかも確認してみましょう。
網戸はサッシの右側で使用するように調整されているため、左側で使用すると隙間が開くことがあります。
いずれにしてもサッシの歪み以外は自分で修理や調整することができます。
網戸のたるみを直す方法
網戸のネットに多少たるみが出ても、張替えることなくたるみを直すことが可能です。
網戸のネットの端部は、サッシの溝に押し込まれるような形でゴムやプラスチック製のパッキンで留められています。たるんだ場合は以下の手順で直しましょう。
①網戸を外して床に置く(外れ止めが付いている場合は、ネジを緩めて固定する部分を下にスライドさせて外す)。
②たるんでいる部分の押さえゴムをマイナスドライバーなどで持ち上げ、ネットを引っ張って溝に入れ込む(目打ちなどを使用)。
➂網を押さえ込むようにして押さえゴムを溝に引き込む。
網戸の修理(張替え)方法
網戸が破れた場合は張替え修理を行います。網戸の張替え前に準備する物と張替えの手順を解説します。
準備する物
網戸の張替えを行うには、張替え用のネット・押さえゴム・網戸用クリップ・ローラー・カッターなどが必要になります。
上図のような網戸張替えに必要なアイテムが5点セットになっている便利な商品もあります。
この商品の便利なところは、押さえゴムの太さが変えられること。最初の状態では5.5mmの太さがありますが、網戸の溝が細い場合は片側の表面を剥がすことで4.5mm相当の太さに、さらにもう片側の表面を剥がすと3.5mm相当の太さになります。
また、仮止めのストッパーも場所によって厚みが異なっているため、ゴムの太さが2.8mm~6.8mmまで対応できるようになっています。
〈セット内容:ワンタッチローラー・専用カッター・押さえゴム(7m)・網ストッパー・DVD〉
網戸のネットを選ぶ際は、網目の大きさとネットの色に注意しましょう。
網戸用ネットには「24♯(メッシュ)」といった表示がされていますが、メッシュは1インチの中に何個の網目があるかを表しています。
したがって、数が大きくなるほど網目が細かいということですが、防虫対策として推奨されているのは24メッシュ以上になります(網目が細かい程風通しは悪くなる)。
また、ネットのカラーは一般的にブラックとグレーがありますが、ブラックの方が網目は見えにくく景色がクリアに見えます。その分、外からもクリアに見えてしまいます。
近年は室内からはクリアに見えて、外側から室内は見えにくい「マジックネット」という商品も市販されています(外側が銀色、内側が黒)。この商品を採用する際は裏と表があるため、張替えの際も注意が必要です。
張替えの手順
①網戸を外して床に置く。
②古い押さえゴムの端(切れ目)を探し、浮かせて取り外す。
➂古いネットも取り外す。
④サッシの枠や溝に溜まった埃をきれいに拭き取る。
⑤新しいネットをサッシの上に広げクリップで留めて、サッシの大きさに合わせて大まかにカットする。
⑥サッシの上にネットを置いた状態で、押さえゴムをサッシの溝に押し込む(ゴムの入れ始めはヘラなどを使ってサッシの角にL字型に入れ込む)。
⑦ローラーを使用して、右利きの人は右回りに押さえゴムを入れ込んでいき一周させる。
⑧押さえゴムをカットし、端部も浮かないように押さえ込む。
⑨カッターナイフで余分なネットをカットする。
網戸の戸車の交換方法
網戸のすべりが悪くなり網戸の開閉がスムーズでなくなったという場合は、戸車が摩耗しているため、戸車の交換が必要です。
戸車の交換で最も注意したいことは、戸車の種類です。網戸の戸車には多くの種類があるため、違った型のものを購入すると交換ができません。
購入する際は現物を持参するなど、必ず同じ型のものを購入しましょう(左右一対でワンセット)。
準備する物
同じ型の戸車・プラスドライバー
戸車は、同じメーカーの純正品が望ましいですが、以下のような汎用戸車で代用することもできます。
購入の際は、適用する溝幅と溝の高さを必ずチェックしましょう。
戸車交換の手順
①網戸を外し、左右の戸車を取り外す(網戸の下に段ボールやシートなどを敷いて、網戸を90度横に倒して行う)。戸車には「ねじ止め式」「はめ込み式」があり、「ねじ止め式」の場合はネジを緩めて戸車を引き抜く。「はめ込み式」には、ドライバーで引き出して外すタイプのものや、両端にツメが付いていてツメを押さえると外すことができるタイプもある。
②新しい戸車を取り外した戸車と同じ位置にはめ込み、ネジ止め式の場合はネジを締めてセットする(はめ込み式の場合ははめ込むだけでよい)。
外れ止めの交換方法
近年の網戸は外れ止めが付いたものが多くなっていますが、外れ止めが破損した場合は交換が必要です。外れ止めの交換に必要な道具はプラスのドライバーのみです。以下は作業の手順になります。
①網戸の上框に付いている外れ止めの調整ネジを緩め、網戸を外す。
②外れ止めの調整ネジを左に回し、外れ止めを取り外す(一度に両方取り外さないで必ず片方ずつ交換する)。
➂新しい外れ止めを付属のネジで取り付ける(外れ止めは下げられた状態で取り付ける)。
④網戸を取り付け、建て付け調整を行う。網戸が傾き隙間ができる場合は、戸車の高さ調整ネジで調整する。
⑤開閉に支障がない程度まで外れ止めを上げ、調整ネジを締める。
⑥網戸がスムーズに開閉できるか、サッシ枠から網戸が外れないか確認する。
あると便利な網戸修理キット
網戸がほんの少し破れた程度で網戸全体を張り替えるのは面倒なことです。そこで便利な網戸修理キットをご紹介します。
上図のテープは軽く耐久性のあるガラス繊維素材でできています。付属の曲がり針と糸を使って破れたネットを縫い、縫った箇所のサイズに合わせて切ったテープを貼り付けるだけ。簡単・きれいに補修できます。
こちらの商品も片側から貼るだけです。大きさは100mm×100mmなので、10cm以下の破れや穴に対応できます。
こちらの商品は修理キットではありませんが、ペットのいるご家庭などに便利な商品なのでご紹介します。
玄関や勝手口に取り付ける網戸も色々ありますが、一般的なものは設置工事が必要で価格もわりと高額になります。こちらの商品は網戸のカーテン。カーテンといってもマグネットとマジックテープによってバッチリ虫除けができ、ペットも自由に出入りが可能。強力なマグネットによって自動開閉します。
工事も不要で、玄関や勝手口などの開き戸に最適。お手頃価格でおすすめの商品です。
※購入の際は設置場所のサイズ確認が必要です。
業者に依頼した場合の料金は?
網戸の修理は、ガラス店や畳店・リフォーム業者などに依頼することになりますが、気になるのがやはり費用でしょう。
一般的な費用相場を以下にご紹介します。
・網戸の張替え:3000円~4000円/枚
・特殊ネットの張替え:1万円~/枚(特殊ネットとはペットがよじ登っても破れないように強化したネットなど)
・戸車の交換:5000円~/枚
・網戸の交換:3万円~5万円/枚
賃貸物件の網戸の修理はどうすればいい?
賃貸物件にお住まいの人は網戸が破れたり壊れたりした場合、修理の負担は誰がするのかという問題が出てきます。
うっかり網戸に物をぶつけて破ってしまった場合などは、当然ながら借主の負担になりますが、何もしていないのに網戸の破れに気が付いたといった場合は、経年劣化によるものなので通常は貸主の負担になります。
しかしながら、まずは賃貸契約書を確認してみましょう。
賃貸物件では、「設備」の修理は貸主の負担、「消耗品」の場合は借主の負担となっています。
「設備」とはエアコンなどが相当しますが、「消耗品」とは電球・水道のパッキンなどになります。
網戸の場合は、はっきりした線引きがなく、物件によって「設備」としているケースもあれば「消耗品」と扱われているケースもあります。
また、「入居から2か月未満は貸主負担、それ以降は借主負担」と決められている物件もあります。
賃貸契約書に網戸に関しての記載がない場合は、管理会社や家主さんに問い合わせてみましょう。
仮に、「消耗品」として借主の負担になった場合は、業者に依頼すれば1枚につき数千円程度の負担になりますが、DIYの張替えで余分な費用を抑えることもできます(網戸のネットは消耗品なのでDIYもOK)。
プリーツ網戸・ロール網戸はDIY修理ができない!?
プリーツ網戸とは、アコーディオンのように折りたたみができる網戸のこと。使用しない時は壁側の框にコンパクトに納めることができ、スタイリッシュな見た目が人気です。
しかしデメリットもあり、ネット自体を折りたたむため壊れやすく、一般的なパネルタイプの網戸のようにネットだけを張り替えることができません。ネットが破れてもプリーツ網戸自体を交換することになるため高額な費用がかかります。
ロール網戸とは、ネットをロールに巻き取ることでコンパクトに収納できる網戸のこと。
ロール網戸にも上下に動かして操作するロールアップ網戸と左右に動かして操作する横引きロール網戸とがあります。
プリーツ網戸と同様に、スタイリッシュで開放的な窓辺を演出できますが、やはりスムーズに巻き上がらなくなるといったトラブルも多くなっています。
また、ロール網戸の張替えをするには、メーカーに送って張替えてもらうかロール網戸自体を交換する方法しかないため、やはり高額な費用がかかってしまいます。
さらに、プリーツ網戸やロール網戸はインテリアにこだわる人に人気ですが、実用面では困ったことも…。
一般的な網戸はサッシの一番外側に設置され、外側で虫をシャットアウトします。そのためもし虫が網戸に付いていても窓の開閉には全く問題ありません。
しかし、プリーツ網戸やロール網戸はサッシの内側に設置されています。窓を閉めるとき、もし虫が窓の内側や網戸に付いていた場合は部屋の中に入り込んでしまう可能性が高くなります。
このようなことからも、せっかくのプリーツ網戸やロール網戸をパネルタイプの網戸に交換する人も出ています。
サッシの歪み・破損などは「定額リペア」へ
網戸の張替えや戸車の交換程度ならば、DIYでの修理は難しいものではありません。
しかし、網戸を落としたり、物が衝突したりして網戸のフレームを歪ませてしまった場合はDIYでの修理は難しくなります。
軽いアルミでできているフレームは、ちょっとした衝撃でも簡単に歪んだり凹みが生じたりします。
フレームが歪むと、網戸の開閉が困難になったり、きっちり閉められず隙間が開いてしまったりすることが多くなります。
また、網戸の開閉が困難になるのはフレームの歪みだけが原因でない場合もあり、経年劣化によるレールの歪みや、建物自体の歪みも考えられます。
このようなサッシの傷や凹み・ゆがみ等のトラブルは「定額リペア」へご相談ください!
熟練したプロの技術でサッシのトラブルをいち早く解決します。
まとめ
今回は網戸のトラブル全般の修理方法や必要な部品・キットなどをご紹介しましたが、網戸の張替えはDIYに自信のない人でも無理なくできるレベルです。
非力な女性でも網戸自体が軽いため、外したり入れたりすることも難なく行えます。
最初はネットの張りが不足する場合があるかもしれませんが、緩くても後で調整することができるので、初めての人も是非挑戦してみましょう。
また、網戸の戸車や外れ止めの交換も、部品さえ調達できれば簡単に実施できます。
それでも、網戸のフレームやサッシに不具合が生じた場合もあるでしょう。そんなときは帆「定額リペア」へお任せください!