引越しの準備も万全でいよいよ退去。でも家具を移動するとへこみを発見!
とてもこのまま引き渡せる状態ではない…敷金はどうなるのか?高額のリフォーム費用を請求されるかも?
どうしよう…
もし、フローリングのへこみを見つけた時は、少なからずショックを受ける人が多いだろう。特に賃貸物件の場合、退去時にどれくらいの費用がかかるかが大きな心配になる。
フローリングはどんな時にへこむのか?自分で補修できないか?業者に依頼するとどれくらい費用がかかるか?
そんな疑問にお答えすべく、フローリングのへこみについて補修方法や業者の選び方などを交えてご説明していきたい。
フローリング床へこみ(凹み)の直し方について
まずは、当サイトのリペア職人による補修の様子をご覧頂きたい。
フローリングのへこみの直し方について、当サイトのベテラン職人による実際のリペア現場の様子を、順番に画像を交えて解説しておこう。必ずしもプロのように上手く元通りに直せるわけでは無いが、ホームセンターなどで販売されている市販の商品でも対応は可能である。
まずはプロの技を確認して、凹みがどのように修復されるか知っておこう。
比較的広範囲なへこみ。このまま退去したら張替え費用として数十万円の請求の可能性大。
マスキングテープでフローリングの溝を確保する。
筆で着色する。先に色を塗るのがポイント。
接着剤で凹み部分を盛る。
深いへこみは、ハードワックスで埋める。この時色も周囲と合わせる。
やすりで全体をフラットにする。
スプレーで艶を周囲と合わせる。
約3時間程度で完成。凹み部分は全くわからない。
フローリングへこみの補修様々な事例(リペアスペース実績)
へこみの原因について
床に使われているフローリングは硬そうに思えるが、材質は木製で柔らかく、足に優しく音を吸収する反面、へこみやすいものである。
重いものを落としたり、家具を移動させた時にカドを床にぶつけてしまったりすることもある。小さいお子さんがいるお宅では、遊んでいるうちにおもちゃを床にぶつけてしまうことも多いだろう。
また、家具を長期間、同じ場所に設置しているだけでも、動かした時にくっきりへこみ跡が残っていることもある。
そのため、気付かない内にフローリングがへこんでいることは珍しいことではないと言える。時には家具を動かしてみて、へこみがついていないか確認してみる必要がある。
へこみと傷の違いについて
フローリングで気になる点は、へこみのほかに傷がつくことである。
へこみと傷の違いはなんだろうか。浅い傷が表面的な部分に起こることに対して、へこみは深さが発生すると考えるといいだろう。
浅い傷だけなら自分で簡単に目立たなくするような方法や商品も多いが、へこみは立体的に損傷しているので、修復がより大変そうに思える。
フローリングのへこみを自分で補修することはできるのだろうか?
種類別修復方法/アイロンやドライヤーも活躍
フローリングには大きく分けて、複合フローリングと無垢フローリングの2種類がある。
種類によって修復の方法も違うので、解説しておこう。
合板などを貼り合わせた複合フローリングの修復方法
日本のアパートやマンション、一般的な住居などで最もよく用いられるのが「複合フローリング」である。
複合フローリングは合板や集成材など、複数の木製の板を貼りあわせて加工した床材だ。
比較的安価で、施工性がよく、デザインも豊富な為よく使われる。
仕上げに薄く削った突き板と呼ばれる天然木を貼ってあることが多い。また、特殊な加工をしてあるシートを張っていることもあり、木目のデザインや色などが豊富である。表面にコーティングの塗装がされている。
複合フローリングは、表面にツヤがあり、触るとひんやりしていることが特徴で、一枚の無垢材でできたフローリングかどうか見分けることができる。
へこみの修理は、表面の素材によっても異なるが、小さな浅いものなら市販の修理キットを使用して修復も可能と言えるだろう。
修復の手順は、
①へこみ部分に粘土状の素材を埋め込む。
②表面をフローリングに合わせて削る。
③傷かくしのクレヨンや補修材で色合いを合わせる。
となる。
ただし、木目の自然な風合いを合わせるのは、素人には難しい部分もあるだろう。
補修キットは数百円から数千円で購入でき、補修自体もそれほど難しいわけではないが、必ずしも修復跡がわからないように補修できるとは限らないのだ。
修復したことで逆に目立ってしまったり、表面がきれいに仕上げることができなかったり、トラブルを広げることになりかねない。複合フローリングの補修を自分で行う場合には慎重にやる必要がある。仕上がりがもとどおりにならない可能性が高いことを知っておいて欲しい。
一枚の木でできた無垢フローリングの修復は水を利用
無垢フローリングは、無垢の木材でできたフローリングで、1枚の単一の材料で作られている。
無垢とは、無垢材のことで、素材となる木材をそのまま使用しており、その木材の種類は豊富である。たとえば、ヒノキやナラ、桜など木材の種類によって見た目や触り心地も異なる。
複合フローリングよりも価格が高く高級感があり、経年劣化が少なく、注文住宅などに使われることが多い。
へこみの補修方法としては、木材そのものの特性を活かして行う。ここでは自分で修復できる方法を紹介しよう。
木材は、水分を吸収して膨張するという特性がある。
そこで、小さなへこみならば、へこんだ箇所に画びょうなどでいくつか穴を開け、そこに水を垂らす。木材が水分を吸収して膨らみ、へこみが元に戻る。
もう少し大きいくぼみの場合は、その部分に濡らした布を置き、その上からアイロンをかける、もしくはドライヤーで温めるという方法がある。水分と熱とで膨張しやすくなるわけだ。
スチームアイロンがあるならば、布を使わずそのままスチームも当てるだけでも良い。
表面のワックスが白化しないようにアイロンがフローリングに直接つかないよう注意して行う。
ただし、この方法は、木材の特性を利用したものなので、いろいろな加工がなされている複合フローリングには向かないので注意が必要である。
また、状況によって必ず凹みが治るわけではないので注意したい。
やわらかいクッションフロア(CF)の場合
クッションフロアとは、ビニール製のクッション性のあるシートを床の表面に貼ってあるものである。木目がプリントされたものもあるが、フローリングとは材質が違うので注意したい。
ビニール製なので加工がしやすく、木目調や大理石調などさまざまなデザインのものがあるが、フローリング材と比べて非常に柔らかいのが特徴だ。
水はけが良く掃除もしやすいことから、キッチンや洗面所など水回りに使われることが多い。賃貸物件の場合は、間取り図などに「クッションフロア」もしくは略して「CF」などと表記されていることが多い。
表面をよく見ると、ビニールに模様が印刷されているものだとわかる。クッション性があり柔らかく、ひんやりしているのが特徴だ。厚みのあるビニール素材なので、どうしても家具の跡などへこみがつきやすい。
家具の位置を定期的に動かすことで、へこみ跡の防止をすることができる。家具の設置跡などのへこみならば、数ヶ月ごとに移動すれば自然と元に戻ってくれるのである。
長期間同じ場所に置いた家具跡の凹みは、基本的に直せないと考えたほうがいいだろう。ドライヤーなどを使う方法がネットなどでも紹介されてはいるが、熱に弱い性質である為、上手くいかない場合が多い。シートそのものを張り替える検討をするべきだ。
クッションフロアの修理を自分でやるのは、リスクが高すぎるし、オススメしない。
フローリングのへこみを自分で修復することの危険性
これまで紹介したように、自分でフローリングの凹みを補修・修復することも可能だ。
最近では補修キットや、簡単にできる補修の方法などの情報がたくさんあるので、手軽にトライできる。
ただし、仕上がりに満足できるかどうかは保証できない。傷がつく前の状態と同じように戻すことは難しいだろう。できるだけ目立たないように、平坦にするのみと考えて欲しい。
よって、自分の持ち家で気になる部分だけ隠せればいい場合は問題ないが、賃貸物件の場合は安易に自分で補修するのは危険が伴う。
小さな傷を目立たなくさせるくらいなら、大きな問題にはならず、管理者(入居者)の管理の範囲とみなされるが、へこみを隠そうとして、きれいに仕上がらない、悪化させてしまうなどが起きると、フローリングの張替えなど大きな出費になる可能性もある。
勝手に手を加えたことがわかれば、せっかく補修しても悪い印象を与えかねない。
また、退去時の原状回復義務には、家具設置のへこみなら通常の使用の範囲内に含まれることが多いので、危険を犯してまで補修する必要もないと言える。
業者による補修の費用について知っておけば、敷金から引かれる修理の費用が適正か、どの程度の負担が発生する可能性があるかも、自分で判断することが可能になる。
フローリングのへこみを補修するための業者の選び方
フローリングのへこみを補修するためには、やはり専門業者に依頼するのが一番安心である。
業者にもいくつか種類があり、床の凹みにはリフォーム業者やリペア業者が対応してくれる。
リフォーム業者の場合、部屋全体の床材をまるごと交換するなど大掛かりな工事になることが多いが、最近増えているリペア業者は、損傷している部分だけを技術で補修してくれる業者である。
フローリングのへこみは、範囲が小さなことが多く、床材を交換するまでもなく補修することができる場合が多いから、業者を選ぶ場合には、リペア業者に依頼すると負担が少なく、きれいな仕上がりが得られる。
また、リペア業者の中でも、フローリング専門や木材などの補修に特化した業者、得意な業者に依頼するといいだろう。
ホームページなどで施工例と紹介していることや、面積などによる明確な料金設定をしていることも選択基準になる。
フローリング床のへこみ修理にかかる費用の相場
実際にリペア業者などにへこみの補修を依頼する場合、見積もりを取る必要がある。
業者によって、へこみの数ごと、範囲(㎡)ごと、作業時間など費用の単価が異なるので、依頼したいへこみの大きさや数を伝えて、見積もりを取り比較する。
一般的にどのくらいの費用がかかるのか相場を知っておくと、判断の際に役立つから簡単に紹介しておこう。
・へこみの数ごとによる費用の相場
1箇所:2万円〜3万円くらい
数カ所まとめての価格になることもあり、材質やへこみの深さによっても変動してくる。
・へこみのある範囲ごとの費用の相場
0.5㎡以内:1.5万円〜
へこみは範囲がせまいことが多いので、範囲ごとの費用が安い業者が見つかれば安く済ませることができるだろう。
・作業時間による費用の相場
2時間〜半日以内の作業:1.5万円〜4万円くらい
フローリングのへこみの補修は、数時間から半日程度で済むことが多い。複数箇所あるのなら、半日単位で依頼したほうがお得になる場合もある。
この他に遠方の業者の場合、出張費なども必要になる。
アパートなど賃貸における原状回復について
アパートなど賃貸物件の場合、もっとも気になるのが退去時に原状回復にかかる費用だろう。
フローリングのへこみの場合、どんな状態が原状回復の対象になるのか検討してみよう。
原状回復とは
賃貸物件の原状回復とは、その部屋を借りて住んでいた人が退去する時に、入居時の状態に部屋を戻すことをいう。
誤解されやすいが、基本的に入居時と同じ状態に戻すことではない。
押さえておきたいことは、通常の使用による損耗は含まれないということだ。
普通に生活していれば、ある程度の汚れや劣化、消耗などは避けられないことで、それを元通りにする義務は発生しないのである。
しかし、その定義が人によって曖昧なことが多いため、退去時の原状回復に対するトラブルは多い。トラブルを避けるためには、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が参考になるだろう。
ガイドラインによると、経年変化や通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれていると考えられるのだ。
それでは、次に「通常の使用」とはなにか、その範囲について考えてみよう。
「通常の使用」の範囲は?
通常の使用とは、一般的に考えて普通に生活している状態のことだ。
たとえば、部屋に日差しが当たる場合、どうしても壁紙や畳、フローリングにも多少の経年劣化が発生する。特に、長く住んでいればその分経年劣化も激しくなるので、住居年数が長ければ長いほど住んでいる人の負担は軽くなる。
フローリングの場合、家具などを設置することで、多少のへこみは発生するのが通常だと考えられる。そのため、家具の設置跡や多少のへこみは、通常の使用の範囲内として認められることが多い。
では、どういった損傷が通常の使用を超えて入居者の責任となるのであろうか。
入居者が負担するべき損傷とは
入居者の責任になる損傷は、入居者の過失や手入れ・管理の行き届かないことによる場合だ。
たとえば、床に飲み物などをこぼした場合、すぐに適切な手入れをすればシミなどになることは少ない。しかし、きちんと処理をせずに放置してシミになった場合は、入居者の責任になる。
また、フローリングの場合、なにかを落としたくらいではそれほどへこむことはないが、特に重いものやとがったものを落としてへこみが発生した場合、入居者の責任になるだろう。引っ越しの作業や模様替えなどで、家具をぶつけてフローリングをへこませた場合などがそれにあたる。
ただし、ガイドラインによるこういった線引きは、あくまでガイドラインであって、法的なものではない。入居時の賃貸契約書など、約款や条件をよく確認しておきたい。
また、入居前からあるへこみの場合、入居時に写真を取る、お互いに確認するなど必ずチェックすることも重要である。
フローリングのへこみを原状回復する費用
基本的に、入居者の過失などによる損傷の場合、フローリングは原則㎡単位で負担することになる。
もし、複数箇所にわたって損傷がある場合は、部屋全体の張り替えを負担する可能性もある。
賃貸物件の原状回復の費用は、入居者が自分で業者を選んで依頼することはあまりなく、管理会社や大家によって修復されることになるだろう。
その場合、実際にどの範囲を修理し、どれくらい費用がかかったかについて、入居者は後から請求書などで知らされて敷金から費用を引かれることになる。
その補修範囲や費用が適正であるか、知識が乏しいと、大家や不動産会社の言いなりにならざるを得ない。
もしかすると、自分の過失以外の範囲まで、あなたの敷金で補修されているかもしれない・・・。
そんな事態を避けるためにも、正しい知識を身につけることが必要なのだ。
へこみの防止方法/ワックスがけでチェック
フローリングのへこみは、ものを落としたり家具をぶつけたりすることによって起こることが多いが、日常的にへこみを防止するように心がける事がもっともコストがかからない方法といえるかもしれない。
たとえば、家具の設置によるへこみの場合は、家具を設置する箇所に転倒防止クッションなどを敷いたり、部分的にパネル式のカーペットを敷いたりする。
また、ソファなどはずっと同じ位置に置かずに、時々位置を変えることで、一点にかかる重さの負担を減らすことができる。
フローリングであれば、半年に1回程度のワックスがけが推奨されている。ワックスがけで家具を動かす際にはへこみが発生していないかチェックしよう。
へこみは大きくならないうちに対処した方が、手間も費用も抑えられるため、定期的に確認するようにしたい。
小さなお子さんやペットがいる場合は、カーペットやマットを敷いてフローリングを保護するのも効果的である。
特に賃貸物件の場合、部屋全体にカーペットを敷いてフローリングを保護することも、ひとつの手段である。
身に覚えのないへこみを、退去時に自分のせいにされないために、入居時にまず確認し、小さなへこみや傷でも写真に撮ってリストにしておくことも重要である。
終わりに
フローリングのへこみは、自分で修繕する事が難しい場合もある。その時には、専門の業者に相談する事ができると知っておいてほしい。
無理に自分でやろうとして、仕上がりがうまくいかない場合には、かえって費用がかかってしまうこともある。
賃貸物件の場合、実際には自分で補修したり、業者に依頼したりする機会はないかもしれない。しかし、今回ご紹介したような知識を持っておくことは大きな強みになるはずだ。
賃貸物件を退去する前に、自分で見積もりを依頼して、どれくらいの費用がかかるか知っておくだけでもいいのだ。大家や不動産会社に、「自分は適正価格を知っている」ことをアピールして、最大限の敷金が返ってくるようにする事ができる。
そのためにも、まず契約書の内容を確認し、このサイトや業者比較サイトなど、ネット上の情報を有効利用してもらいたい。