壁に穴が空いたり、凹んだり。普段の生活の中で、あまり起こるケースではないと思いがちだが、意外にそういうアクシデントが起きることがある。椅子が倒れて壁に当たったために凹んだり、穴が空いたり。持っていたゴルフクラブや掃除機が当たってしまい、大きな穴を開けてしまう場合も。ちょっとした日常生活の中でも壁に穴を開けてしまったり、大きな凹みをつくってしまう要因がある。では、穴や凹みができたとき、どうすればいいか。補修をする際、どのようなことを知っていれば、トラブルなくきれいに直せるのだろうか。
そもそも壁にはどんな素材が多いのか
普通、壁はしっかりとした素材でつくられていて、家を守っていると考えてしまう。もちろん、それは事実で、壁が丈夫であれば住まい全体もしっかりとしていて堅牢だと思われる。
しかし、現代の住まいは昔の日本家屋の作り方とはずいぶん違うものになってしまっていて、壁の素材も違うものになっている。昔の日本家屋は壁の芯になる部分を木で組み上げ、上から漆喰などを左官職人が塗ってつくる塗り壁だった。
そのため、ちょっとしたことで凹んだり、穴が空いたりすることはあまりなかった。しかし、現代は住宅需要の増加によって安価で工期の短いクロス壁が使われるようになってきたため、多くの住宅がクロス壁になっている。昔の漆喰壁が簡単に工事ができるクロスやボードを使った壁になったため、破損が起きやすくなっている。
<現代の壁の素材>
クロス壁 下地にベニヤ板か石膏ボードを貼り、その上からいろいろな色合いのクロスを貼っていく方法。カラーが豊富にある。住宅の洋風化により、障子や襖からドアへ、畳からフローリングになっていくにつれて、多くなっている。
石膏ボード・ベニヤ板 漆喰壁と比べて、取り扱いやすく軽量である分、強い衝撃に対して弱い部分がある。それが、比較的簡単に、壁に穴が開く原因になっている。
壁を補修せずに放置するとどうなるのか。どんな方法で補修するのか
ちょっとした壁の凹みや小さな穴も、室内の目立たないところだったりすると、放っておいても大丈夫と思うかも知れないが、放置したままにすることはおすすめできない。そのまま放っておくと、知らないうちに穴が大きくなったり、凹みから穴が空いてしまう危険性がある。
持ち家でももちろん放置は良くないが、賃貸住宅の場合は、そのまま放っておくと、退室時にトラブルに発展することがあるので注意が必要だ。
一般的な修理の方法
石膏ボードの修理
クロスが貼ってある一般的な壁の下地の多くは石膏ボードになっている。石膏ボードは基本的には丈夫だが、一点に加わる力には弱く点で衝撃が加わると簡単に砕けてしまう。
石膏ボードが破損したときは破損部分を取り除いてから詰め物をしたり、別のボードを移植して平らにする。穴が空いた状態でクロスを貼ってごまかすのはNG。補修は一般的にはパテで補修するが、大きく崩れているなら新しいボードを小さく切って、その部分に移植する必要がある。
小さな穴の場合
① 穴の幅より一回り大きいアルミテープを用意して貼る。
②次にメッシュテープという目の細かな網目のテープを貼る。
③テープで補修したところに、石膏パテをつくって塗る。テープが隠れる程度にし、あまり盛らないように。
④パテが乾いたら、80〜100番のサンダー(やすり)で表面がなだらかになるまで削る。
大きな穴の場合
テープ+パテ補修では対応しきれない、大きいサイズのボード補修は以下の通り。
①補修用のボードを用意する。補修箇所のサイズを測って、新しいボードを切る際に何cm×何cmで用意すればいいかを割り出す。
②既存の破損したボードを切り取り、①で切った新しいボードをはめ込んでみてサイズがちょうど良いか見る。
③新しいボードを貼るための下地をつくる。角材を壁内のサイズに合わせて切り、ビスで固定する。
④つくった下地に、ボードをビスで止める。新しいボードと既存のボードの継ぎ目が平らになるように、新しいボードの端を少し削って面取りをする。
⑤上からパテを塗る。
壁紙の貼り方
①貼ってある壁紙を剥がす。
②古い壁紙を剥がしたときにできてしまった凹凸にはパテを塗って平らにする。
③壁紙を広げて天地(上下)を確認する。張り始める位置に決め印をつけ、壁紙の裏面に糊を均一になるように塗る。
④手のひらで優しくなでながら伸ばし、布などを使って空気を出すように伸ばしていく。余分な部分があればカットする。
簡単にできそうに見えるが、素人の補修は難しい
石膏ボードを固定するパテや、塗布したパテの凹凸をなくすサンドペーパー、補強する材木、木工用ボンド、ビスなどが入った補修用キットが売られているので、こうしたキットを利用することで、素人でも比較的容易に壁の穴を修理できる。しかし、広いスペースで、石膏ボードを新たに貼り直したり、下地をつくったりするのは、かなり慣れている人でないと難しい。
壁紙を貼り直す際も意外にテクニックが要るので安易に始めない方がいいだろう。また、壁面に隠れていた配線を切断してしまった、断熱材まで壊れてしまったといった場合は素人の手には負えない。
壁の補修はどこに頼むのが良いのか
「さて壁の補修を」と思ったときに、すぐに思いつくのはご近所の工務店だが、あまりおすすめできない。顔見知りで安心できるかもしれないが、工務店には、壁の補修を専門にする職人を置いているところは少ない。工務店だから安心して頼んだのに、キレイに仕上がらなかったというケースも多い。
もう一つ、依頼できる選択肢は、壁の補修リペア業者が挙げられる。こちらは壁やフローリングなど、いわゆる小さなリフォームや修理のプロで、豊富な経験とテクニックを持っている。そういったプロの頼んだ方が良い場合が多い。
料金は工務店とそんなに変わらなかったとしても、リペアの専門業者の方が、経験と知識がある分、仕上がりも美しいので、結局は長い目で見ると満足度も高くてお得な選択になるのでおすすめしたい。
リペアの専門業者を選ぶ際には、必ず現場を事前にチェックしてもらうのが良い。現場を仔細に調べて現状を把握した後に、きちんとした詳細な内容の見積をつくってくれる業者を選びたい。
賃貸の場合は、退去時に敷金で引かれるから、修理もそのときで良いだろうと思うかもしれない。しかし、退去時に管理会社の提示する金額が納得できなくても了承するしかない場合がある。
そんなことにならないためにも、住んでいる間に修理して退去した方が、敷金を引かれるよりも結果的に出すお金が少なくて済むケースも多い。
よく検討して、修理するなら早めに手配することをおすすめしたい。ただし、勝手に業者を呼んで修理するのは後々の問題になることがある。業者に依頼する前に家主か管理会社に相談し、修理する旨、報告して必ず了承を得ておく。
壁の補修料金はどのくらいか
使われている壁の素材や修理する範囲、補修の状況などによって、補修料金はかなり違ってくる。いわばケースバイケースだが、おおよそ以下に挙げた料金程度が最低限は必要だろう。
直径2cm程度の穴の補修 1.5〜2.5万円
小さな穴なので、石膏ボードの修理はテープを貼った上からパテを塗り、その後にクロスを貼る作業になる。
間仕切り壁の穴 3〜4万円
部屋の間にある壁の穴の場合も、素材や修理する箇所、大きさなどで違ってくる。壁紙やクロスに柄があったて柄合わせが必要だったり、微妙な色合いだったりというケースでは、もう少し高くなる可能性もある。
クロス、ボードの補修 3.5〜4.5万円
大きめの穴などで、ボードを補修した後にクロスを貼り直す際には、このくらいの料金がかかると予定しておこう。
まとめ
単に壁の穴を塞ぐだけでも、いろいろな行程があり、それなりに経験と専門の技術が必要なケースが多い。軽く考えて自分でやろうとしてしまい、返ってトラブルが目立ってしまうこともあるので、安易に手を出さない方が賢明だ。
壁の補修には高度な技術と豊かな経験が必要となる。近所の工務店等に依頼するのではなくリペアを専門に扱っている業者に依頼することをおすすめしたい。