慣れ親しんだリビングのフローリングが黒ずんでいると来客に指摘されたら、貴方はどうしますか?
フローリングの黒ずみの原因は様々です。原因が判れば自分でDIYできる場合もありますし、プロにしか修復できない場合もあります。
今回は、フローリングの黒ずみに焦点を絞って解説します。手間をかけず、コストパフォーマンスに優れた修復ができるよう、役立つことができれば幸いです。
フローリングの黒ずみは落とすことができる
フローリングの黒ずみは、よほどひどい状態でない限り落とすことができます。DIYで落とせるレベルから、プロに依頼するしか方法がない場合もありますが、基本的に落とせることをご理解ください。
プロの業者の中には、簡単に落とせる黒ずみでもリフォームを進めてくる業者もいます。しかし、この記事を読んでいただければ、そのような悪質な勧誘に騙されることもなくなります。
まずは、フローリングの黒ずみが落とせるものであると認識しましょう。
黒ずみの放置は被害拡大
フローリングの黒ずみが落とせるからといっても、放置は厳禁です。フローリングが黒ずんでいるだけでも印象はよくありません。
セカンドハウスや使わない部屋の黒ずみを放置した結果、画像のような状態になれば、補修・修復は不可能です。土台から壁までリフォームで取り替えるしか方法がありません。
フローリングの黒ずみは発見したら、できるだけ早く補修する必要があります。黒ずみの原因にもよりますが、被害が拡大するスピードはかなり早いと認識していただくと良いでしょう。
フローリングに黒ずみができる原因
フローリングの黒ずみには原因があります。黒ずみの原因を理解せずにむやみに清掃や補修すると、返ってフローリングに大きなダメージを与えてしまいかねません。
補修する前に黒ずみの原因を知ることから始めましょう。
黒カビによる黒ずみ
黒カビが原因でフローリングが黒ずんでくることがあります。窓際のフローリングや家具の下・直に敷いている布団の下などに多く見られる現象です。
どれも、湿気や水分が原因です。窓際のフローリングは結露によるものであって、家具の下は空気中の水分、布団の下は汗や湿気です。
木材の調湿作用を超えた水分で、木材が常に乾燥されない状態ですと腐食が始まります。そこにカビ菌が繁殖すると目に見えて黒ずんできます。
カビの中には人体に有効なものもありますが、黒カビをはじめ、家に生えるカビは全て有害です。黒ずみの原因の中で、最も早急に対処が必要です。
生活動線は皮脂汚れ
家の中で人がよく通るルートを生活動線と呼びます。玄関からキッチンやリビングからトイレなど自然と人の動きが集中している場所は、いつのまにかフローリングが黒ずんでいることがあります。
この原因は皮脂汚れの可能性が高いです。子供やペットがいたり、家の中は裸足という習慣があったりすれば、黒ずみの発生頻度は高くなるでしょう。
無垢材のフローリングで、自然に黒ずんでくるものを受け入れて味として楽しむ術もあります。しかし、根本は汚れですし、生活動線に集中しますので、味あうことなく綺麗に落としましょう。
ワックスが劣化
フローリングの保護膜であるワックスですが、劣化すると黒ずみの原因になります。劣化は、紫外線の当たる場所や人がよく通る場所から始まり、微少に塗膜が剥がれ始め肉眼で判別しにくい段差が生じます。そこに溜まる汚れが黒ずみの原因です。
また、ワックスが紫外線で変色して黒ずむケースもありますが、どちらの場合でもワックスを剥離させて、再塗装するとフローリングが蘇りますので安心してください。
犬や猫の小便
ペットの小便は、黒ずみの原因だけでなく強烈なアンモニア臭も伴います。やっかいな黒ずみの原因と言っても過言ではありません。
小便も水分ですので、黒ずみの直接原因は腐食やカビです。ペットの排泄は、毎日のことなので蓄積すると酷い状態になり、臭いも取れなくなる恐れがあります。
しっかり躾ができない場合は、ドッグトレーナーなどに協力してもらうことも選択肢に入れてください。
また、できるだけ早急に補修することを強く推奨します。
油汚れや水・液体汚れ
キッチン周辺の黒ずみは油汚れの可能性があります。揚げ物や焼き物などの調理をしていると知らない間にミクロの油分が飛んでいます。それが、フローリングに付着し劣化したり、汚れが付着したりすることで黒ずみとなるのです。
液体汚れは、ダイニングで発生することが多い原因です。ジュースや牛乳などの飲みこぼしがフローリングの隙間に入ってしまって腐食し、カビが発生し黒ずみます。
これまで、フローリングの黒ずみの原因を説明してきましたが、黒ずみ原因で最も多いのが水分→腐食→黒カビの連鎖です。フローリングにとって水分は天敵といえますので、浸透する前に、隙間に入り込む前に拭き取るようにしましょう。
原因別!黒ずみの落とし方
フローリングが黒ずむ原因が判れば、次は清掃や補修です。近年は、フローリングの黒ずみをDIYで解決する事例も増えてきています。また、科学の進歩を導入した洗浄剤なども開発されていますので、それらを取り込みながら解説を進めます。
フローリングの黒ずみの解決方法は原因によって異なりますので、5つの原因にプラスワンしています。
カビキラーは禁物!エタノールを
難敵の黒カビですが、カビキラーなどのカビ取り剤をフローリングに使用することは避けてください。
カビ取り剤は、強アルカリ性です。肌につけば皮膚が溶け出してヌルヌルしてきます。真水で丁寧に落とさないと肌が荒れます。
強い漂白成分が含まれていますので、フローリングに使えばフローリング材を劣化させる可能性があります。カビ取り剤の使用は避けて黒カビを退治しましょう。
カビに対しては、まず胞子が飛ばないように殺菌して死滅させる必要があります。そこで、人体にも使えるエタノールを使うと良いでしょう。無水と消毒用がありますので、消毒用を選んでください。
エタノールを黒ずみ部分に吹き付けて、雑巾やキッチンペーパーなどで拭き取ってください。ただし、カビは死滅しても色素が残る場合があるので、その時は中性洗剤を薄めてスポンジなどにつけて拭くと良いでしょう。
この作業で、カビによる黒ずみが落ちない場合は、プロに依頼してカビを根こそぎ退治するしかありません。
※エタノールを長時間フローリング上に留まらせると、フローリングの塗膜(コーティング系塗装)が溶けて白く変色してしまう可能性があります。まずは目立たない箇所で試していただき、もしもエタノールをこぼしてしまった場合は、すぐに拭き取ってください。
皮脂汚れは床用洗浄剤
皮脂汚れによる黒ずみには床用の洗浄剤が役に立ちます。この洗浄剤は皮脂汚れを浮かび上がらせて除去しますので黒ずみがスッキリ綺麗になくなります。
使用方法は、スプレーして拭き取るだけです。落ちが悪ければスプレー後、少し時間をあけて拭き取ると良いでしょう。
清掃の専門業者の愛用する洗浄剤ですので、市販されている床の洗浄剤の中ではかなり効力が高いものです。
ワックス劣化は剥離剤→中性洗剤→再塗装
ワックスの劣化による黒ずみを取り除くには、ワックスの再塗装しか方法がありません。古くなって劣化したワックスを取り除きましょう。
まず、作業するスペースの四方をマスキングテープで囲みます。その後、規定の使用量で希薄した剥離剤をスポンジなどでフローリングに塗ります。
暫く放置するとワックスが浮いてくるので、ヘラで古いワックスを擦りとりましょう。残さず擦りとることができたら、雑巾やウエスなどで中性洗剤を希薄したものを使って綺麗に拭き取ります。これで、フローリング材の黒ずみは消えているはずです。
もし、まだ黒ずみが残っていたら、原因がワックスの劣化だけでなかったことになりますので、プロに相談することを強く推奨します。
フローリングの黒ずみが消えていて乾燥していることを確認します。それから、新しいワックスをかけるとフローリングが再生されて新品のようなツヤ感を取り戻します。
このワックスは耐久性が良いのでワックスがけの回数を減らすことが可能です。また、ツヤ感があるのに滑りにくいように設計されています。日本に流通する約7700種類のフローリング材を研究し開発されていますので、さまざまなフローリングに適した性能を発揮する樹脂ワックスです。
フローリングのワックスについては下記の記事で詳細に解説しています。ご一読くだされば、ワックスがけの参考になるでしょう。
フローリングのワックスは本当に必要?補修も可能な最新ワックス事情
https://teigakurepair.com/flooring-wax-is-really-necessary
ペットの小便はクエン酸で中和
ペットの小便による黒ずみは、臭いも伴うので作業も困難になります。理由は、黒ずみの原因である腐食やカビを除菌するエタノールはアルカリ性で、悪臭を放つ主成分であるアンモニアもアルカリ性ですので臭いがとれないからです。
ですので、まずエタノールで除菌して腐食やカビを拭き取ります。その後、中性洗剤を薄めたもので色素を取り除きます。ここまでは、カビ取りの要領です。その後、よく乾燥させてからクエン酸を臭いがする部分に散布して拭き取ります。
クエン酸は酸性ですので、アンモニアを中和させる効果があります。中和することができれば無臭の物質に化学変化します。しかし、フローリング材の中まで染み込んだアンモニアを中和させるには相当量のクエン酸を使って染み込ませなくてはなりません。クエン酸の酸性度は強めですのでフローリング材を傷める可能性が残ります。
この懸案事項が気になる方は、最初からプロに依頼することをおすすめします。
油汚れはアルカリ系洗剤
以前は、油汚れといえばアルカリ性洗剤が主流でした。今は、アルカリ性にプラスしてナノイオンで洗浄しナノイオンで汚れを防止するフロアクリーナーが市販されています。ナノコロイドの仕組みは下の画像を参照ください。
このフロアクリーナーなら便利で楽に油汚れによる黒ずみや皮脂汚れまで落とすことができます。
使用方法は、フローリングの黒ずみに直接吹き付けてから、湿らせたウエスで擦りとる。その後、水拭きしから拭きします。
水道水で希釈してから使用するタイプですので汚れによって希釈率を変えるとよいでしょう。ひどい汚れなら 5倍~10倍に希釈します。通常の汚れなら20倍~50倍で日常の拭き掃除に使うなら70倍~100倍です。常に原液を使わないので、経済的に黒ずみ落としができる洗浄剤でもあります。
高温スチームは要注意
スチームクリーナーは高温の蒸気を噴射して、汚れを浮かしたり溶かしたりして洗浄と除菌を一緒に行える便利な清掃道具です。
ただし、フローリングの黒ずみを除去するために使用するのなら注意事項があります。
まず、フローリングの材質と塗装を確認しましょう。無垢材で無塗装なら、蒸気を吸い込んで逆に汚れが浸透したり拡散したりする場合もあります。クッションフロアに蒸気を当てすぎると熱で耐久性を弱める可能性もあるので考慮して使用しましょう。
合版でも、突板とシートでは塗装が異なります。ワックスの場合は溶け出す恐れもあるので注意が必要です。UVやウレタン塗装なら、ある程度、熱や水分に対する耐性があるので多用しなければ便利に使えるかも知れません。
いずれにしても、木質系フローリングの大敵は水分です。スチームクリーナーを使用するということは、その水分を熱と共にフローリングに当てることになります。フローリングが水分を吸い込むと劣化の原因となります。使用するのなら劣化の可能性も視野に入れましょう。もちろん、ご自身が火傷しないように注意を払うことも重要です。
黒ずみの補修をプロに依頼した方が良いケース
フローリングの黒ずみは軽度であれば、ある程度DIYで補修できます。しかし、中にはDIYそのものが苦手な方や、どうしても落ちない黒ずみの直面する方もいます。
その場合は、プロに依頼したほうが良いでしょう。
何度やっても落ちない黒ずみ
黒カビによる黒ずみなどは、カビを退治できても色素が残る場合があります。この色素を取るためには相当の時間を費やさねばなりません。このような場合は、プロに依頼するほうが良いでしょう。時間を節約できて、綺麗に仕上がります。
広範囲の黒ずみ
広範囲の黒ずみもプロに依頼しましょう。範囲が広くなればなるほど、労力や時間が必要になります。また、広範囲の黒ずみの場合、原因が一つとは限りません。カビや皮脂汚れ・液体汚れがミックスされている場合もあり、迂闊にDIYするとかえって費用がかさむ可能性があります。
床材が劣化している
黒ずみの主たる原因である水分は、床材そのものを劣化させている場合もあります。ペットの小便や飲みこぼしなどの液体汚れが原因なら尚更のことです。
フローリングが吸い込んだ水分や油は、黒ずみだけでなくフローリング材を膨張させたりひび割れを作ったりします。
フローリングのダメージも修復できるプロの依頼しておけば、黒ずみやひび割れも問題なく補修してくれるでしょう。
フローリングの黒ずみはリペア業者へ
フローリングの黒ずみを補修する業者は、リフォームやカビ専門業者、そしてリペア業者となります。カビ専門業者は、カビ以外は専門外ですので、ここでは説明を省かせていただきます。
リフォームとリペアは補修のプロです。あらゆる補修に精通していますので、こちらを解説していきます。
リフォームとリペアの違い
リフォームとリペアの違いですが、リフォームは交換でリペアは修復です。
フローリングの黒ずみの場合は、リフォームならフローリング材を全て交換します。
リペアは黒ずみを取り除いてから再塗装して修復するか部分的にフローリング材を張替えて再塗装して修復します。
また、黒ずみ以外のダメージも修復することが可能ですので、安心して補修を任せることができます。
リフォームは、部分張替えすることはほとんどありません。理由は、張替え箇所意外と同調させる技術がないからです。ですので、耐久性や強度が変わるなどと説明して全面張替えを提案してくるでしょう。
土台まで腐食しているならリフォーム以外に方法はありませんが、よく状況判断して無駄な出費を抑える賢明な補修を依頼することが肝要です。
リフォームとリペアの価格相場
リフォームの価格相場は、広さや建材によって価格が全く違いますので、詳細に説明することは困難です。そこで、一般的なフローリング材を使った根太工法でのリフォーム相場をお知らせします。あくまでも目安として捉えてください。
根太工法によるフローリングのリフォームで、一般的な突板合板を使用した場合。
- 5畳で12万から14万円
- 6畳で15万から18万円
- 8畳で19万から22万円
高級な無垢材を使用したり、工法が変わったりすれば価格は高くなります。リフォームは、まだ使えるフローリング材まで廃棄して部屋全てのフローリング材を交換することになります。エコロジーが追求されている時代に使えるものを廃棄する選択は最終手段としてキープし、まずはリペアに相談することから始めましょう。
そのリペアの価格相場は、補修1箇所につき1万5千円から2万円です。リペアは、基本的に建材を交換しませんので、技術料だけとなります。しかし、新規で必要となった補修材や出張費は別途請求されます。
また、リペアの難易度によって技術料も変動しますので、予め無料見積りなどで確認しましょう。
当サイトでは技術料1万3000円から承っています。
また、補修範囲が広かったり補修箇所が多かったりした場合は定額リペアをご利用ください。決まった時間内であれば、リペア職人のもてる技を駆使してどのような修復でもこなします。
リペア業者の技術力
黒ずみを除去するだけでなく床材の傷やひび割れも修復できるのがリペアの技術です。そして、補修箇所がまったく判別できないほどの調色を施して周囲と同化させて仕上げることもリペアならではの技術力です。
リペアは、素材も選びません。木材や金属、天然石や樹脂など家で使われている全ての素材を修復します。
また、どのような建具や家具であっても修復可能です。専門外はCPUや機械部分です。目に見える範囲のもので、もう駄目だと思った家具や建具でもリペアに相談すると蘇る可能性は大いにあります。
賃貸住宅は契約遵守で
賃貸住宅の場合は、退去時に原状回復の義務が借主に生じます。しかし、安易にDIYしたりリフォームしたりすることは難しいのです。
建具などに損傷が生じた場合は、貸主に報告し補修する場合も貸主が手配するという契約内容がほとんどです。
借主は、原状回復の義務があります。退去前に補修し保証金や敷金が少しでも返ってくるようにと思うは当然のことです。
リペア職人に依頼すれば、補修箇所は判別できなくなりますが、貸主に無断で手配するリスクを考慮しご判断ください。
綺麗なフローリングでゆとりある暮らしを
フローリングの黒ずみを見ながら過ごすのは精神衛生上も良くありません。その原因が黒カビならば、健康被害の可能性もあります。カビの胞子はアレルギーの原因にもなり肺にダメージを与える場合もあります。
清潔で裸足でも快適なフローリングであれば、足元を気にする必要はありません。綺麗なフローリングでのひとときは、住む人達の気持ちにも余裕を与えてくれるでしょう。