フローリングのメンテナンスといえばワックスですが、年に何回ワックスがけしていますか?フローリング材やワックスの種類にもよりますが年に2~3回の方が多いようです。
科学や技術の進歩でワックスの事情も異なってきました。そもそもワックスが不要なフローリングや、ワックスでフローリングのダメージを修復できるものまで登場しています。
今回は、正しいワックスがけの方法から最新のワックス事情や再塗装までフローリング&ワックスを掘り下げて解説します。フローリングメンテナンスの参考にしてください。
フローリングにワックスがけをするメリットと方法
フローリングは、住宅の洋式化に伴い、現在では最も使用されている床材です。フローリングの素材は、無垢材・突板合板・クッションフロアの3種類に分かれていて、それぞれに特徴があります。
フローリングの利点は、和のものに比べて掃除が簡単で汚れがつきにくい点です。
しかし、新品当初は輝いていたフローリングもメンテナンスをしないと月日とともにくすんできて輝きを失います。
メンテナンスの中で最も一般的なものがワックスです。
ワックスがけのメリット
ワックスがけするにもメリットを知っておくと楽しく作業できます。いくつか代表的なメリットを紹介します。
- ツヤと美しさを取り戻せる
くすんだフローリングが生き返り、新品のような光沢を取り戻すことができます。 - 耐久性が向上
フローリングの傷を防いだり、乾燥によってささくれたりするのを防ぐ効果があります。他にも日焼け防止や、衝撃による凹みや欠けを緩和できる効果も期待できます。 - 汚れ防止
フローリングをワックスの塗膜で薄く覆うので、フローリングに直接汚れが染み込みにくい状態になります。 - 汚れを落としやすい
汚れが目立つようであれば、ワックスを剥離すると同時に落とすことができます。剥離後は、新しいワックスをかければ綺麗な状態を保てます。
悩ましい無垢材のフローリング
無垢材のフローリングには注意が必要です。自然の風合いを活かすために無塗装のまま使用しているならばワックスをかけることはできません。
理由は、木材の特性にあります。木材は、吸水性が良いので水分を吸い込みます。ワックスも液体ですので、塗っても吸い込まれてしまっては意味がありません。しかも、色が変わるおそれもあるので注意が必要です。
無垢材のフローリングでも天然油脂(オイル)塗装をしているものがあります。そのフローリングであれば塗装しているオイルと同一メーカーの無垢材専用ワックスで、定期的にワックスがけが必要です。怠けると色あせしたりくすんだりします。
無垢材の中には、UV加工などを施しているものがあります。これは、ワックスがけすると白濁したりムラができたりしますのでワックスをかけることができません。
無垢材のフローリングは、自然を感じられて人間の身体にも良い効果を与えてくれるので人気が高いです。無垢材にどのような加工が施されているのか、何も施されてないのかをよく確認してワックスをかけましょう。
簡単で正しいワックスのかけ方・道具
それでは、ワックスに必要なものからワックスのかけ方を解説します。
まずは道具を準備しましょう。
- 掃除機
- 雑巾
- 床用洗剤
- バケツ
- ウエス
- 自宅のフローリングや自分の用途に合ったワックス
ここで重要なのが自分に合ったワックスです。ワックスにも種類がありって、大凡3種類に分かれています。
- シートタイプ
シートタイプのワックスは、始めからシートにワックスが染み込んでいます。フローリングワイパーに装着して掃除感覚でワックスがけができるので簡単便利なアイテムです。ただし、本格的なワックスがけには向いていません。 - スプレータイプ
スプレーでワックスがけをするので、狭い範囲やピンポイントのワックスがけに向いています。 - 液体タイプ
本格的なワックスがけに適しています。初めてワックスをかける人には少し難しいかも知れませんが、仕上がりやワックスの耐久力は他の2つよりも優れています。
自分に適したワックスが決まれば、いよいよ作業開始です。
- フローリングをキレイに掃除します
床の隙間や継ぎ目、床と壁の接地面など丁寧に掃除機で吸い取りましょう。 - ウエスにワックスを染み込ませる
ウエスを手のひらサイズにたたんで、全体に均等にワックスを染み込ませましょう。 - ワックスをかける
ワックスをかける部屋の突き当りから横方向に一筆書きの要領で部屋全体にワックスがけしていきます。最後はドア付近になるようにしましょう。
- 乾燥させる
乾燥するまで歩いたり触ったりしてはいけません。ワックスの種類によっても異なりますが、暑い時期で20分程度、寒い時期で30分程度はかかりますので、予め時間を確保してワックがけに臨みましょう。完全に乾くには24時間必要だと認識してください。
【注意事項など】
すでにワックスを何度かかけていて、汚れが目立っている場合は、剥離剤を使って古いワックスを全て取り除く必要があります。その後、十分な時間をかけてフローリングを乾かしてからワックスがけの作業を開始してください。
ワックスがけは、寒い日や湿度が高い日は乾きが悪いので避けたほうが無難です。好天で風の強く無い日を選ぶと順調にワックスがけができるでしょう。
フローリングにワックス掛けが不要な場合もある?
フローリングの中には、ワックスがけの必要がないものや、プロでなければワックスがけができないフローリング材があります。
科学技術の発展とともにフローリング=ワックスという図式が成り立たなくなってきているのが建築界の現状です。
ワックスがけ不要なフローリング材が登場
画像のフローリングは、ワックスがけが不要で、耐久年数も長いフローリング材です。今や、ノンワックスのフローリングは当たり前になってきているのかも知れません。
フローリング材の加工技術は進化を続け、無垢材ではなくても無垢材の風合いを醸し出す突板合板や木材に見えるクッションフロアも至極当然のようにラインナップされています。
新築やリノベーション・リフォームを視野に入れている方は、設計担当者に任せすぎないことです。知り得た知見を設計者にぶつけてみると思わぬ方向性を見出すことができて、より良い改装につながる可能性があります。
ワックスがけができないフローリングがある
プロのリペア業者やプロの清掃業者は、基本的にワックスをかけられないフローリング材はありませんが、DIYではワックスがけができないフローリング材があります。
代表的なものを挙げますので参考にしてください。
- ワックスフリーのクッションフロア
- UV加工・フロアコーティングされたフローリング材
- 何も加工されていない無垢材
建売住宅を購入するときは、何のフローリング材でどのような加工が施されているか必ず確認が必要です。
これから説明する賃貸住宅の内覧でも同様です。
子供が小さい場合やペットがいる場合は、なおさら気をつけてフローリングについて確認しておくことが重要です。
賃貸住宅のワックスがけは貸主?借主?
無垢材よりもさらに悩ましいのが賃貸住宅のフローリングです。契約前にフローリングのワックスがけについて貸主と借主のどちらが行うのか?どちらが費用を負担するのか明確に確認する必要があります。
一般的には賃貸の場合、ワックスがけは貸主が行うものとされています。
これは、ワックスがけが通常の生活において必ず行うとまでは言い切れず、物件の維持管理の意味合いからも貸主負担で行うことが妥当と判断されています。
ただし、賃貸住宅にお住まいであれば、家のメンテナンスについての取り決めは、契約書をよく読み返すことをおすすめします。
契約内容の確認などは面倒かもしれませんが、トラブル回避の為にもしっかりと把握しておきましょう。
ワックスはここまで来た!便利な最新ワックス
日本の科学は日進月歩していて、ワックスも例外ではありません。次々と新しい製品が開発され便利になったり、付加価値がついたりしています。
ここでは、最新のワックスの中でもプラスαのついた便利なワックスを紹介します。
フローリングの傷も擦り傷も消せるワックス
画像のワックスは、家具を引きずってできた傷や、ペットの爪でできた傷を隠してツヤも出せるワックスです。ただし、深い傷を隠すことはできません。
また、クリア色をトップコートとして使用するとワックスとフローリングの耐久性があがります。
表面乾燥時間は20~30分で、UVやセラミックス加工のフローリングだけでなく床暖房フロアにも対応しています。
日頃の手入れは、きつく絞った雑巾やモップで水拭きするか、乾式のフローリングワイパーがおすすめです。
フローリングの色あせも直せるワックス
フローリングの初期段階の色あせや汚れなどを部分的にワックスがけするときに便利なワックスシートです。
フローリングワイパーにつけて拭くだけなのでとても簡単便利です。ただし、部屋全体をワックスがけするときには不向きです。
日焼けで色あせたフローリングを修復するワックス
初期段階の日焼けや色落ちを復元できるワックスです。
着色剤入りワックスで、日焼けによる色あせや歩行量の多い所の色落ちなどのダメージを修復しつやと色調を取り戻します。また、ペットの走り傷も塗って乾かすだけで修復できるワックスです。
日焼けやペットの走り傷でフローリングがささくれていたり、傷が深かったりする場合は、プロに依頼してリペアすることをおすすめします。
ワックスに起こるさまざまな症状と対策
ワックスがけが終わるとフローリングのツヤが戻り気分も爽快です。
しかし、作業ミスや認識不足でワックスに異常な症状が出る場合があります。代表的なものをピックアップして原因と対策方法を解説します。
ワックスが白っぽくなる
塗ったワックスが白っぽくなるのはワックスの白化現象です。
主な原因は
- 清掃不足や古いワックスの剥離ミス
- 極端に悪い環境下でワックスをかけた
- ワックスをかけたあと、完全乾燥前に水拭きした
などです。
対策は、まず白化部分にセロハンテープを貼って垂直に剥がします。このときワックスの塗膜が剥がれるようなら密着不良なので、剥離剤やワックス洗浄剤を使ってきれいに塗ったワックスを剥がして再塗装する必要があります。
もし、塗膜が剥がれないなら白化部分に薄めにワックスを再塗装しすぐにドライヤーで乾かすと好転する場合があります。
もともとワックスが塗れないフローリングだった場合は、プロに依頼して再塗装することをおすすめします。理由は、ワックスを剥離するにしても元々のフローリング材の性質がわからないと状況を悪化させる可能性が高いからです。
ワックスがはじかれている
ワックスがけをしても、フローリングにワックスが定着しないと意味がありません。フローリング上でワックスがはじかれている状態はでは乾燥したときの見栄えもよくありません。
ワックスがはじかれている主な原因は清掃です。皮脂汚れやキッチンまわりの油汚れがきれいに落とされていないために油分にワックスがはじかれているからです。
対策は、ワックス前の清掃を徹底することです。洗剤や水拭きできれいに油系の汚れを落とせばワックスははじかれないでしょう。
電気カーペットの下がベタベタに
電気カーペットの直下は異常高温になりやすいので、長時間放置するとワックスが溶ける可能性があります。
また、最近の電気カーペットは、ダニ退治機能などがついていてダニを死滅させるために異常高温になるような機能もついています。
対策としては、異常高温になる電機カーペットを直接フローリングに敷かないことです。電気カーペットの下にタイルカーペットなどもう1枚カーペットを敷くと電気カーペットの保温効果を高めることにもつながり、ワックスが溶ける心配もなくなります。
すぐに光沢・ツヤ感がなくなる
リビングの出入り口など生活動線でよく歩く場所は、光沢やツヤ感がなくなりやすくなります。
光沢やツヤ感がなくなる主な原因は
- 摩耗による皮膜のダメージ
- 水拭きによる被膜のダメージ
などです。
対策としては、ワックスシートやスプレーワックスでツヤ感が無くなった部分を再塗装し光沢を蘇らせることです。また、裏がフェルトのスリッパを使用すれば、歩行にある摩耗が減ります。
ワックスがボロボロに
ワックスが消しゴムのカスのように黒くボロボロと剥がれてくる場合があります。考えられる主な原因は、
- ワックスの劣化
- ワックス前の清掃が行き届いてなかった
- アルカリ系の洗剤で掃除した
- エチルアルコールで掃除したり消毒したりした
などです。
ワックスがぼろぼろ剥がれてくる状態なら、ワックスを剥離して塗り直すしか方法がありません。ワックスがけに慣れた人でも労力と時間を要する作業になりますので、DIYではなくプロに相談するほうが賢明かもしれません。
床の塗替えもリペア業者におまかせ
リペア業者とは、リフォームと違って現状のものを使って、復元させる業者です。リペア業者の中には、ワックスの塗替えも行い新築のような輝きを取り戻す業者がいます。
なぜ清掃業者ではなくリペア業者なのか
一般的にワックスの塗替えなら清掃業者というイメージですが、リペア業者もワックスの塗替えは得意分野であっておすすめできる技術をもっています。
理由は、フローリングの傷や凹みなどのダメージも修復できるからです。清掃業者なら古いワックスを剥離して新しいワックスに塗り直すだけですが、リペア業者ならフローリングあらゆるダメージの修復が可能で、画像のように新築時の輝きまで取り戻せます。
リペア業者のフローリング修復については下記の記事をご参考ください。
https://teigakurepair.com/flooring-diy-repair
リペア業者の塗替え技術
ワックスをかけるのは、フローリングだけではありません。タイルや大理石なども床材の保護のためにもワックスをかけることがあります。
リペア業者が修復する建具や建材は多種多様で、家具や電化製品でも修復します。リペア業者はあらゆる素材・塗装剤・接着剤など建築に関わるものすべてに精通しているからこそ、どのようなものでも修復できるのです。
その、リペア業者が行うワックスの再塗装は清掃業が行うものとは一味も二味も完成度に違いが出てきます。
優良なリペア業者の選び方・費用
たくさんあるリペア業者の中から優良なリペア業者を選ぶ方法はインターネットの活用です。
インターネットで確認すべきことは、
- 豊富な経験があるか
- 適正価格であるか
- ホームページやブログがあって更新されているか
などです。
リペアの事例や金額を見れば大凡の検討がついてきます。それから、実際に電話をかけてみると良いでしょう。
そこで、電話の対応が悪ければ優良な業者とは言えません。次の業者を探せばよいのです。
最も重要なのが適正価格です。一般的にリペアは、傷1箇所につき技術料が1万~2万が相場です。
気をつけなければいけないのが安すぎる業者です。見積りだけ安く仕上げて、現場で何やら難しい言葉を並べて高額な価格を請求する悪質業者の可能性があります。
当サイトでは、傷1箇所につき1万3000円から承っています。
また、決められた時間内で、できるだけの補修を行う定額リペアサービスも承っていますので迷っていたり、悩んでいたりする場合は気軽にお問い合わせください。もちろんワックスの塗替えも承っています。
ワックスも甘くみないで無理せずプロへ依頼
建築技術の発展で、汚れがつきにくく傷もつきにくい新しい床材がドンドン世の中に出回っています。今までと違い簡単にワックスがけができないノンワックスの床材も各メーカーが競うように開発しています。
しかし、傷も汚れもつきにくいと謳われているノンワックスの床材であっても汚れがつけば傷もつきます。物を包んだり保護したりして長持ちさせるのは日本人の美徳です。だからといって今までのようにワックスがけしてしまったら、床材にダメージを与えることになりかねません。
労力を要し難しい技術が必要なワックスがけはプロに任せて、美しいフローリングを長持ちさせましょう。