家とともに齢を重ねる無垢フローリングは、独特の風合いや雰囲気を味わえます。
無垢材は手入れさえ怠らなければ、千年を超えても使用できます。無垢のフローリング材も同じです。
この記事では、無垢のフローリング材使用の方なら絶対しておくべきお手入れ方法を解説します。
また補修が必要となった場合の方法も紹介していますので、フローリング材の経年劣化によるリフォームを考える前に、無垢材フローリングを再生するヒントになれば幸いです。
無垢のフローリング材とは
無垢のフローリング材とは、無垢材をフローリング材に加工したものです。無垢材は、天然木から取り出した自然素材のことで、接着剤などを使用せずに製材品として利用する木材をさします。
無垢のフローリング材は、天然木を切り出し乾燥させます。切り出した木材の含水率を10%以下にまで下げた後、15%~18%で安定させることで反りや変形などが起こりにくくなるのです。
【含水率とは】
含水率は木材に含まれる水分の量です。木材を乾燥させた後の重量に対して、水分がどれくらいあるかを示す指標であり、低いほど乾燥しています。以下の計算式によって算出されます。 木材の含水率=(木材の乾燥前の重量-乾燥後の重量)/乾燥後の重量×1 |
無垢のフローリング材のメリット・デメリット
フローリング材は、大きく分けると無垢材と複合材になります。それぞれに特徴があり、メリット・デメリットがあります。ここでは、無垢材のメリットとデメリットについて解説します。
【無垢材のメリット】
・調湿性が高いため、部屋の湿度が高いと吸湿し、低いと放湿する効果がある
・保温性が高く、暖色系の色調であるため、暖かさと温かみを感じられる
・肌触りがよい
・接着剤を使っていないためシックハウス症候群になりにくい
・木材特有の良い香りがする
【無垢材のデメリット】
・乾燥に手間がかかり適切な乾燥ができていない場合は、反りや変形などが起こりやすい傾向がある
・針葉樹の木材は柔らかく傷がつきやすい
・定期的な手入れが必要である
無垢材を人の暮らしに適合させるためには、少し手間がかかります。しかし、適切なメンテナンスを怠らなければ、経年とともに天然木の長所が増していき、多くの恩恵を人に与えるのです。
無垢フローリング材の手入れの仕方
無垢フローリング材の表面塗装は大きく分けて2種類あります。1つはオイルステイン塗装、もう1つはウレタン塗装です。針葉樹などの柔らかさが特徴の無垢フローリング材であれば、無塗装のまま使用するケースもあります。
ここでは、塗装別の日常のお手入れ方法とオイルステインによる手入れ方法、ウレタン塗装による手入れ方法について解説します。
日常の手入れ方法
無塗装 | オイルステイン | ウレタン塗装 | |
掃除機 | ○
掃除機先端ローラーは回転させない |
◎ | ◎ |
ドライシート | ◎ | ◎ | ◎ |
雑巾での乾拭き | ◎ | ◎ | ◎ |
雑巾での水拭き | △
汚れがひどい場合のみ |
○
固く絞って拭き乾拭きする |
◎
固く絞って拭く |
ワックス | 使用しない | オイルステイン | ウレタン塗装専用ワックス |
【塗装別注意事項】
無塗装:ささくれなどができていないかよく注意して手入れすることが大切です。塗装をしていないため、ダメージを受ければ塗装済みのフローリング材よりも破損などがひどくなります。
オイルステイン:表面にオイルが塗布されているため、水拭きの頻度は少なめにしましょう。化学薬品は使用しないでください。
ウレタン塗装:日常の手入れでの注意事項はありませんが、水分や液体が染み込まないように注意しましょう。
無塗装ならオイルステインを使用
無塗装のフローリング材は、ささくれなどができやすいため、子供やペットのいる家庭では細心の注意を払わなければなりません。できればオイルステインで塗装し、無垢材の風合いを損なわずに耐久性を上げることがおすすめです。オイルステインによって、日常の手入れもしやすくなります。
メンテナンスとしては、定期的にオイルステインを塗布する必要がありますので、おすすめのオイルステインと塗装方法を説明します。
【おすすめのオイルステイン】
日本の有名メーカーのオイルステインであり、6色カラーの中から選ぶことができます。この記事では、ウォルナットを選びました。
【無塗装の無垢フローリングにオイルステインを塗装する方法】
- 壁にマスキングテープを貼ってオイルがしみ込まないように養生する
- フローリング全体にヤスリをかける(仕上がりがよくなる)
- 塗り残しがないようにオイルステインを塗る
- 20時間程度乾燥させる
- フローリング全体を軽くヤスリがけする
- 再びオイルステインを塗る
- 乾燥させる
1年に1~2回程度、オイルステインを塗布することで、無垢のフローリングを保護できます。
しっかりコーティングするならウレタン塗装も
ウレタン塗装の無垢フローリング材を選んだ場合は、ウレタン樹脂でしっかりコーティングされているため、基本的にワックスの塗布は必要ありません。
しかし、経年とともにウレタン樹脂に無数の微細な傷ができて、ツヤ感がなくなるため、定期的にワックスをかけることをおすすめします。
上記の画像は、「リンレイ フローリング専用ワックス」の使用例です。ワックスをかけることで、微細な傷にワックスが入るため、表面がフラットになり、ツヤがでます。フローリングの保護効果も高められるため、1年に1度はワックスをかけるようにしましょう。
ワックスがけで、おすすめのツールは「リンレイ オールワックスワイパーEX」です。手軽にワックスがけができて、ワックスを均等に塗布しやすくなるワックス用のワイパーです。ワックスがけに慣れてない人でも比較的簡単に使えます。
【ワックスワイパーでウレタン塗装のフローリングにワックスをかける方法】
- 掃除機などでフローリングの埃や髪の毛砂粒などをしっかり取り除く
- 窓やドアを開けて風通しを良くする
- オールワックスワイパーEXの専用トレイに、底面の突起が隠れるまでワックスを入れる
- 一定方向に軽くなでるように塗り広げる
- 約30分乾燥させれば完成
無垢材のフローリングはダメージを受けやすいため、オイルステインやワックスなどで保護し、耐久性を向上させましょう。
無垢フローリング材を補修する方法
無垢のフローリング材には、針葉樹と広葉樹の2種類があります。広葉樹は比較的硬いためダメージを受けにくいのが特徴です。針葉樹は柔らかいため、物の落下などでダメージを受ける場合があります。
無垢のフローリングに傷やへこみなどができれば、できるだけ早急に補修する必要があります。放置しておけばダメージが広がり、家族に被害がでる可能性も生じます。補修方法は、「DIY」か「リペア」です。比較的浅い傷ならDIY で補修可能ですが、深い傷や補修箇所が複数ある場合はリペアを選ぶようにしましょう。
浅い傷ならDIY
比較的浅い傷であれば、DIYで直る可能性もあります。浅いへこみであればアイロンで補修が可能です。浅い傷ならクレヨンやパテなどのツールをおすすめします。へこみと傷の補修方法を紹介します。
【アイロンによるへこみの補修方法】
- 傷の周辺を軽くヤスリがけする(水を染み込ませやすくするため)
- 水を適量かけてフローリング材がふやけるのを待つ
- 水を拭き取ってへこみ部分に濡れタオルを置く
- 濡れタオルの上からアイロンをあてる
- へこみが治ったら再び軽くヤスリがけをする
【ツールを使った傷の補修方法】
- キズの周辺のささくれなどをカッターやヘラなどで整える
- フローリングの色に1番近いクレヨンスティックを選ぶ
- 傷の大きさに合わせてクレヨンスティックを削り取る
- 傷にクレヨンスティックを押し込んで埋める
- 埋めた部分を綺麗に整えて余分なクレヨンスティックを取り除く
- 周囲の色に合わせたリペアマーカーを選ぶ
- 木目を書き込んで乾燥させる
へこみや傷などのダメージを無理にDIYで補修するとかえって、大きなダメージになるケースが少なくありません。深さが1mmを超えたり、長さが15㎝を超えたりするようなダメージなどは次に紹介するリペアのプロに依頼しましょう。
深い傷や複数個所ならリペア
深い傷やダメージが複数箇所であれば、リペア業者に補修を依頼しましょう。簡単にDIYで済まそうとするとダメージを広げる可能性があります。そうすると返って補修代が高くつくかもしれません。
上の画像のように深くて広い傷であっても、リペア業者であれば傷の箇所がわからなくなるように補修できるのです。このレベルの補修を素人が行うことは難しく、仮に補修できたとしても、耐久性に問題があったり多大な労力と時間を要したりします。
リペアとは経済的な補修
フローリングの補修であれば、「リフォーム業者に依頼すれば良いのではないか」と思われる方もいるのではないでしょうか。フローリングの補修をリフォーム業者に依頼すれば、フローリング材の交換となります。
同じフローリング材がない場合は、1つ2つの傷のために、全てのフローリング材の交換を迫られるかもしれません。リフォーム業者は、ダメージだけの補修は基本的に行っていないのです。リペアは、リフォームと違って部材を交換しないため経済的な補修ができるのです。
リペア業者の料金体系は2つ
リペア業者に補修を依頼するとなると気になるのは料金です。リペア業者の料金体系は2つあります。1つは補修箇所ごとに料金が発生する一般的なリペア。もう一つは時間で料金が発生する定額リペアです。それぞれについて解説します。
補修箇所ごとの料金
一般的なリペアは補修箇所ごとに料金が発生します。また、補習の難易度によっても料金が異なるのです。高級家具や高級家電などのダメージの補修に適しています。フローリングで一般的なリペアに依頼する場合は、深くて大きな傷や大きな穴の補修などを依頼するとよいでしょう。
時間制による定額料金
定額リペアの料金は時間制です。契約した時間以内なら、フローリングの補修だけではなく、クロスや家具などの補修もまとめて依頼できます。リペアは、機械部分などは補修できませんが、冷蔵庫のへこみや大理石カウンターの傷なども補修可能です。気になる家のダメージをまとめて依頼すると、コストパフォーマンスがさらに高まります。
無垢フローリングの補修は定額リペアで
無垢材のフローリングは長く使えて、経年とともに深みが増し、愛着を感じられるのが特徴です。しかし、傷やへこみなどのダメージも受けやすいため、日頃のメンテナンスも大事になります。
愛着のある無垢フローリングのダメージは、定額リペアで補修しましょう。気になるダメージを残さず補修すれば、風合いが増したフローリングで、気持ち良く食事ができたり、家族団らんができたりします。