ドアの要とも言えるドアノブ。
ドアノブが壊れたり外れたりするとドアの開閉ができなくなる上に、ほかに出口のない個室にいる時にドアノブが壊れてしまうと、外に出ることができなくてとても困ったことになる。
家に家族がいればいいが、1人の時にトイレや浴室などに閉じ込められると連絡も取れないので、命の危険にもつながるおそれがある。
事前にドアノブが壊れる原因を知っておいて、壊れた時にドアを開ける方法や修理する方法などを把握しておこう。
1.ドアノブが壊れる原因を知る
ドアノブは突発的に壊れることはあまりなく、経年劣化やふだんの使い方などによって、徐々に調子が悪くなっていくものである。もしドアノブが完全に壊れてしまうと、ドアの開閉ができなくなり、生活に支障をきたすだろう。
材料や道具をそろえるまで時間がかかるし、修理方法を調べている時間も惜しいので、調子が悪くなってきたと感じたら早めに修理しておくことをおすすめする。ドアノブの故障でよくある症状は、
・ドアノブが回らない。
・ドアノブがガタガタする。
・ドアノブが空転してドアが開かない。
・鍵がかからない、かかりにくい。
などである。
これらの主な原因は、
・ドアノブの内部の部品が摩耗している。
・ネジがゆるんでいる。
・ドアノブの部品が錆び付いている。
・経年劣化により部品が消耗している。
・乱雑な使用により、内部の部品が壊れてしまった。
などが考えられる。
基本的に内部の部品が原因であるので、外から見ただけでは故障しているかどうか、どこが壊れているのかわかりにくいものである。
一般的に、ドアノブの耐久年数は10年〜15年程度と言われているので、特に不調がなくても長年使用しているのならば定期的にメンテナンスしたほうがいいだろう。
特に、湿気の多い浴室や、開け閉めの頻度が多い部屋、扱いが乱雑な子ども部屋などのドアノブには注意したい。
2.ドアノブが壊れた時の対処法
ドアノブが壊れた時、まず困るのがそのドアを開けられないということだろう。
もし、開いた状態で壊れたならゆっくり直せばいいが、その部屋に用がある、もしくは部屋の中から出られないという場合には、とにかくすぐにドアを開ける必要がある。
まずは、ドアノブが動かなかったり空転してドアが開かない時に、なんとかドアを開ける方法を覚えておくといいだろう。
・ドアが閉まる仕組み
まず、簡単にドアノブの構造についてご説明しよう。
ドアを開け閉めする時にポイントとなるのは、「ラッチ」という金具である。
ラッチは、通常出っ張った状態であり、ドアノブを回すことで引っ込むようになっている。
ラッチは基本的に、ドアの閉まる方向が斜面になっていて、ドアの開く方向は垂直になっているので三角形のような形状である。
ラッチは指で押すと簡単に引っ込み、ドアノブを回さなくてもドア全体を閉める方向に向けて押せば、ドア枠に当たって自然と引っ込み、ラッチ受けに収まるようになっている。
つまり、ドアノブが動かなくてもラッチが動けばドアを閉めることはできる。
・ドアノブが壊れた時のドアの開け方
ドアノブが動かなくてもラッチが可動するなら、ラッチを直接引っ込めれば、ドアを開けることができる。
ドアの閉まる方向、たとえばトイレならば基本的に内側にいれば、簡単なアイテムがあればドアを開けることは可能である。
それは、テレホンカードや診察券のような薄くて折れにくいカード状のものである。
ドアとドア枠には少しだけすき間があるので、ドアノブの位置に合わせてカードを滑りこませれば、ラッチの斜面になっている部分が押されてドアが開くのである。
もし、ドアの反対側から開けるのならば、針金をくの字に曲げたものなどをすき間に入れて、ラッチの反対側に当てて引くようにすれば開くようになるだろう。
ただし、ラッチが四角形で、自然に閉まらないようなタイプの場合は開けるのが困難なので、ドアノブごと外す必要がある。
3.壊れたドアノブの直し方
ドアノブは、基本的にドアに差し込んでネジ止めされているだけなので、取り外したり交換することは比較的容易である。
ネジがゆるんでくると、ある日突然ドアノブが外れてしまうこともあるので、ネジを締め直すだけでも調子が良くなることもある。
ただ、取り外してみてもどこが悪くなっているのかわかりにくいので、10年以上使い続けているのなら新しいドアノブに交換するのが無難である。
ドアノブには、丸い握り玉のものや、レバータイプなどいくつかの種類があるが、基本的な構造はほぼ同じである。
<ドアノブの外し方>
ドアノブを外すのに必要なものはプラスドライバーとマイナスドライバー、それにドアノブの構造図もネットなどで調べておいて、見ながら行うといいだろう。
1.室内側のドアノブから始め、ノブやレバーの側面に小さなネジがある場合は、まずそれを外す。
2.ドアの表面にノブを取り付けるための、丸座についているネジを外す。
丸座にカバーがついていて外れにくい場合は、マイナスドライバーなどを差し込んで外しやすくる。
※ドアを傷つけないように注意。
3.室外側のドアノブも同様にネジを外して、ドアノブと丸座ごと引き抜いていく。
4.ドアの側面にあるラッチの金具を止めているネジを外し、ラッチの金具ごと外す。
ラッチが外れにくい場合は、ドアノブがはまっていた穴からドライバーを差し込んで、ラッチを押し出すようにするといい。
外したネジはなくさないようにし、どの部分に必要かわかるように置いておく。
<ゆるみやガタツキの調整>
ネジをゆるめてドアノブ一式を取り外すことができるが、まだ部品が新しく交換する必要がないようなら、再び元通りにはめ込んでしっかりネジを締めることによって、ガタツキやドアノブがゆるんで抜けるような事態は避けられるだろう。
木製部分のネジ穴が大きくなっていて、どんなにネジを締めてもゆるんでしまう場合には、つまようじなどをネジ穴に詰めて余分な部分をカットし、そこにネジを締めることでゆるみをなくすことができる。
ドアノブの不調の原因がわからない場合は、新しくドアノブとラッチを購入して付け替えれば安心だろう。
<ドアノブの付け替え>
ラッチには型番が刻印されているので、同じものを金物屋やホームセンターなどで購入する。
ドアノブは、同じタイプのものを購入してそのまま付け替えるのが簡単である。
しかし、丸いノブが持ちにくいならレバー式のものへ交換したり、静電気を避けるために違う材質のドアノブにしたいなど、自分の好みのドアノブに交換することもできる。
ただし、それにはドアノブの付く位置が重要になる。
ドアノブを交換する前に、
・ドアの厚さ
・ラッチの付いているドア端からドアノブの中心までの距離(バックセット)
・ラッチが取り付けられている金属の板(フロント)の幅や長さなどの形状
・ドアの開き方が右勝手か左勝手か(室外側から見て蝶番が右にあれば右勝手、左側にあれば左勝手)
を事前に調べておき、それに合致するものであれば付け替えることが可能である。
この情報がわかれば、ネット通販などでドアに合うドアノブを探せるので、ホームセンターで探しまわる必要もない。
新しいドアノブは材質などにもよるが、一般的なものなら2,000円〜4,000円程度で購入できる。新しいドアノブを付ける時には、外した時の逆順に取り付けていくので、まずはラッチの金具をネジ止めする。
この時、あまりきつく締めすぎずに仮止めをしておき、丸座やドアノブを差し込んでネジで止めてから、ドアノブを回した時に正常にラッチが作動することを確認してから本締めする。以上でドアノブの交換が終了である。
業者に依頼する場合
ドアノブは自分でガタツキを解消したり交換することもできるが、故障した原因を突き止めることは難しいだろう。
そのため、正確な故障の原因を知り、ドアノブを修理するには、プロに頼むのが確実である。
ドアノブを交換せずに修理してもらうには、7,000円〜8,000円程度、ラッチ交換なら10,000円弱、ドアノブごと交換するなら10,000円〜20,000円程度が相場である。
作業をしてもらわなくても、見積もりを取ってもらったり、交換できるドアノブについて調べてもらうなどのアドバイスが無料のところもあるので、自分で交換する場合にも問い合わせをしてみると安心である。
また、室内のドアなら自分で交換してもそれほど危険はないが、玄関ドアは防犯上の問題があるので、プロに見てもらってしっかり修理してもらったほうが確実である。
まとめ
ドアノブの交換は、ドライバーと新しい部品があれば意外と簡単にできるものである。
費用はドライバーがあれば新しい部品代だけで済むし、調整するだけならそれもかからない。
ただ、交換するほど部品が古くない、何度調整しても不調が続くなどの場合は、その原因を突き止める必要があるので、一度プロの業者に見てもらうことをおすすめする。