木製ドアの補修やメンテナンスを徹底解説!木材がもつ驚異の性能とは!
ドアや扉は、建具の中で最も頻繁に使用します。当然、傷もできれば汚れもつきやすい建具であることは間違いありません。
特に玄関ドアに傷があればあまり印象は良くありません。
今回は、自分でドアや扉の傷を直すノウハウやリペア業者に依頼する場合の相場、そして、木材がもつ特異な性能を解説するので、大切な住居のメンテナンスも含めて参考にしてください。
ドアや扉に使用する木材の種類と特性
木材には、他の建材にはない特性が備わっており、その特性は、人が暮らすのに適しているので幅広く使用されています。
木材が人間に与える良い特性には、まず湿度調整が挙げられます。多湿の場合は湿気を吸収し、乾燥すると湿気を放出する湿度を調整する性能が備わっているのです。
また、紫外線を吸収し目の疲れを緩和する効果や、丁寧な加工を施した木材は非常に肌触りがよくリラックス効果も人間に与えます。
木材を生み出す木は、広葉樹と針葉樹があるそれぞれ特性があります。
広葉樹(カリン・ケヤキ・シナ)
広葉樹とは、名の通り扁平な葉の木を指します。
木材としては材質が硬いので「堅木」ともよばれており、種類が豊富でその特性を活かして家具や建材に多く使われています。
色が樹種によって異なるので、その特色を活かしたドアは高価ですが人気が高いです。
例えば、カリンやケヤキなどは褐色の色が特徴で耐久性が高い木材です。シナは、淡い黄白色が美しく木肌が緻密なので手触りが非常に良いという特徴があります。
針葉樹(杉・檜・アガチス・イエローパイン・スプルス)
先が尖った細い葉を持つ木が針葉樹です。
針葉樹は「ソフトウッド」ともよばれるように軽量で柔らかいのが特徴です。ソフトウッドといっても木材のもつ基本的な特性である頑丈さは変わらないので、加工しやすい分、多くの建材に利用されています。
ドアとしては広葉樹よりも色目の薄いものが多く、代表的なものに檜や杉があります。檜は弾力性に富み柔軟なので加工もしやすいが、耐久性が高いことでも知られています。
杉は、非常に認知度の高い木材で柔らかく軽いので加工がしやすく、ある程度の耐久性も保持しているので人気も高いです。
木製ドアの種類と特徴
木製のドアにもそれぞれ役割があり、種類が豊富です。
玄関に使用するドアや屋内で使用するドア、また、浴室や洗面所などで使用されるドアなど、家の間取りや使用目的に対応できるようにさまざまなドアが用意されています。ここでは、ドアの種類を解説していきます。
片開きドア
片開きドアは、最もポピュラーなドアでアプローチに合わせて右開き、左開きのどちらでも対応できます。建材によって、屋外や屋内を問わず採用できるドアです。
親子ドア
片開きのドアに小扉を組み合わせたドアです。小扉も開閉可能なので大きな荷物であっても出し入れすることができるので玄関ドアによく採用されています。
方軸FIXドア
片開きドアの袖に窓があるドアです。光を取り込み、玄関を明るく演出することができます。また、外観も見栄えが良いので採用している家が多いドアのタイプです。西日が強く当たる間取りであれば葦簀の工夫が必要です。
両開きドア
両開きドアは、左右ともに扉が開くので開口が大きいことが特徴です。重厚なイメージなので、教会や大きな洋館など玄関ドアによく採用されています。
袖付きタイプの引き戸
袖の採光部分が大きくなっているので明かりを十分に取り込むことができます。ドアは、室外側をスライドするので室内側の壁を有効に利用することが可能です。
外引込みタイプ引き戸
外引き込みタイプは、室外側をドアがスライドするので、室内側壁を有効に活用できます。洗面所や押し入れ・パントリーなどによく採用されています。
引違い戸
引違い戸は、主に玄関ドアとして採用されています。和風建築などでよく見られるドアです。
2枚建てのものや4枚建てのものがあり、4枚建てのものは大きな開口をとることができるので、荷物の出し入れが多い家や商店などで役立つ扉です。
木製ドアで補修が必要な場合とは
木製のドアはデザイン性が高く、断熱性に優れている特徴がありますが、金属に比べると硬度や耐久性は劣ります。衝撃を受ければ傷やへこみができ、場合によっては穴があくこともあります。ここからは、木製のドアで補修が必要な場合や原因を解説していきます。
穴・傷・凹みができた
木製ドアは、衝撃に弱いです。角がたったものが当たったり、鋭利な物でこすったりすれば簡単に傷がつきます。衝撃を受けた場合、無垢材なら傷とへこみで済みますが、フラッシュ構造で作られているドアは穴が開く場合があります。
フラッシュ構造とは、木材でドア枠と木枠を組み、表面に化粧板などを貼って仕上げる構造です。内部に空間ができるので、その空間に衝撃が加われば穴が空く恐れがあります。
いずれにせよ家の顔であり、各部屋の顔であるドアなので、早めに補修することが望ましいでしょう。
表面に剥がれがある
フラッシュ構造や合版でできているドアは表面に化粧板などが貼り付けられています。経年劣化や湿気などで接着剤の硬化が薄れ、化粧板などが剥がれる可能性があります。
また、雨や水分によって塗装から水が侵食し、表面がささくれて剥がれがおこる場合もあります。
剥がれは早急に解決するほうが良いでしょう。特に玄関ドアならばダメージの進行が早くなり木材が腐る場合やシロアリに侵される可能性も出てきます。
開閉がスムーズでない
開閉に関するトラブルの主な原因はドアクローザーと蝶番です。経年劣化や荒っぽい開閉で起こる場合があり、ドアクローザーなら調整すれば元に戻る場合が多いでしょう。
また、蝶番は閉め直して駄目なら交換すれば良いのでDIYで充分直すことができます。ただし、玄関ドアに関しては重量もある為、セキュリティ面も考慮してプロの職人に任せるほうが無難でしょう。
ドアノブの故障
ドアノブの不具合は、早めに直しておくほうが良いです。ドアノブの故障でトイレに閉じ込められたなどの笑い話もありますが、当人にとっては一大事です。
ドアノブの故障の場合、前兆があるはずです。音がしたり、ドアノブが緩い感じがしたりすれば、早く修理して快適な開閉を維持することをお勧めします。
ドアの端の腐食
ドアの端をよくみると腐食している場合があります。腐食の原因の大半は水分で、湿気が溜まっていたり、ペットが小便していたりする場合があります。
木材は、湿度を調整する働きがあります。湿気を吸いすぎれば吐き出す必要がありますが、その機会がなければ腐食の原因になりやすいでしょう。
家の中で湿気がたまる場所は、変動することがありません。そしてペットもだいたい決まった場所で小便をします。
このような状態が続けば無垢の木材であっても端から腐食が始まります。カビが生え広がる前に補修しなければ、ドアそのものを交換しなければいけない状態になるので、見つけたら早急に補修するべきです。
自分でできる木製ドアの補修方法解説!
木製ドアのダメージによっては、リフォーム業者やリペア業者に依頼しなくてもDIYで修理できるものがあります。簡単に修理できるアイテムの紹介もしながら解説していきます。
小さな穴の補修
小さな穴なら木材の穴埋め材を利用すれば簡単に補修することが可能です。紹介の穴埋め材は複数の色がある為、木材の色に合わせて選ぶか、近しい色が無い場合には、異なる色の材を2種以上混ぜるなど、色合わせが重要です。
【使い方】
- 穴やすき間などの周囲のささくれ等を綺麗に平らにする
- ノズルを外してボトルに圧力がかからないように注意して中栓を外す
- ノズルの先端を穴に軽く押し当て中身を押し出す
- 穴が埋まれば付属のヘラで軽くすきとり、きれいな水で絞った布やスポンジなどではみ出た部分を受け取る
浅い傷の補修
木材ドアの浅い傷も自分で補修することが可能です。このアイテムは傷そのものに直接すり込んだり、色を調合してドアのカラーに合わせたりができる便利な補修アイテムです。
【使い方】
- ささくれなどを取り除き、傷を整える
- 傷に直角に直接刷り込む
- はみ出した部分を付属のヘラで取り除けば完了
浅いへこみ
無垢の木材を使ったドアは、衝撃で穴が開くことはないがへこみが生じることがあります。小さなへこみならこのアイテムで補修することが可能です。木のように固まるパテで、10分程度で硬化しヤスリがけや塗装することができるパテです。
【使い方】
- 補修部分のホコリやゴミを取り除き綺麗な状態にして乾燥させる
- 補修部分にサンドペーパーをかけて表面をザラザラにする
- 付属の手袋を使用してエポキシパテを取り出し、フィルムを剥がしたら必要な分量を切り取る
- 色むらがなくなるまで練り合わせる
- 練り合わせたパテを4分以内にへこみ箇所に埋め込む
- ヘラや湿った布で表面をならし綺麗に仕上げる
10分程度で実用できる強度に固まりますが、ヤスリや塗装は24時間以上経過してから行うようにしましょう。また、樹脂なので、気温が5度を下回るような環境には向いていないことを理解して補修作業に望んでください。
ドアの開閉をスムーズにする
ドアの開閉のトラブルは、ドアクローザーか蝶番のトラブルが大半を占めます。ドアクローザーの場合は調整だけで済むことが多いので調整方法を説明します。
【ドアクローザーの調整】
- ドアクローザーの側面の調整弁を確認する
- ネジに番号が割り振られているのを確認する
- ドアが閉じる速度を遅くする場合は時計回りにネジを回す
- ドアが閉じる速度を早くする場合はネジを反時計回りに回す。
ドアの開閉時に異音がしたり、ドア枠をこすってしまったりする場合は蝶番のトラブルが原因と考えられます。蝶番のネジが緩んでいるか確認して緩んでいればドライバーで締め直します。
蝶番そのものが変形している場合は、蝶番を交換する必要があります。室内ドアならば簡単に交換できますが、同じネジを使って締りが悪い場合は長いネジで締めると良いでしょう。DIYが苦手な人や玄関ドアならばプロに依頼することをお勧めします。
難しい補修はリペア業者に任せる
木製ドアに大きな穴が空いたときや大きな傷がついた場合、リフォームでドアを交換すると考える人も少なくありません。ドアを含めて愛着ある建具を交換リフォームすることは忍びないものがあります。
傷や穴をなかったことにできれば、多大な費用をかけてドアを交換しなくて良いのではないでしょうか。
また、DIYを失敗して傷口が広がる可能性がある補修は、リペア業者に任せることをお勧めします。
リペア業者とは
リペアとは、傷や凹みなどを修復し元に戻すことを指します。建具だけでなく家具や車なども修復するプロ集団がリペア業者です。
テレビなどでリフォームやリノベーションが取り上げられていますが、安易に取り替えるのではなく、技術で元に戻すほうが低コストでエコロジーであることを知っていただきたいです。
リペア費用の相場
リペアの相場は、1箇所につき技術料が1万5000円程度です。補修部分のサイズによって金額が変わる場合もあり、材料を新規で取り寄せや出張費などは別途かかるが、リフォームよりは格段に割安です。
傷や穴等以外の補修の相場を下記にまとめたので参考にしてください。
補修内容 | 概要相場 |
ドアノブ修理 | 1万5000~5万円 |
ドアの開閉調整 | 1万5000~2万円 |
ドアクローザーの交換 | 1万5000~5万円 |
蝶番の交換 | 1万5000~ |
ドアの再塗装 | 2万~10万円 |
玄関ドアの枠の補修 | 1万5000~3万円 |
ドアの交換 | 7万~ |
正しいリペア業者の選び方
数あるリペア業者の中から、木製ドアのリペアを依頼するに足る業者を選定するには情報が必要です。例を挙げれば
- 木製ドアのリペア実績が豊富であるか
- 丁寧な対応であるか
- ダメージに応じて適正な提案力があるか
- 適正価格であるか
- 保証や再修理の体制はどうか
このような情報をインターネットや電話などで集めれば良いでしょう。その中から自分にあったリペア業者を選ぶことが正しい業者選びです。
必要な木製ドアのメンテナンス
木製ドアをいつまでも綺麗な状態で維持させるには定期的なメンテナンスが必要です。特に注意すべきは湿気と水分です。
玄関ドアは特に手入れが必要
玄関ドアは、雨で濡れたり風にさらされたりするので、特に注意が必要です。定期的にワックスがけすることと、雨のあとは水分を拭き取り、ドアの下に雨水が溜まっていないか確認すると良いでしょう。
室内ドアも定期的にメンテナンスを
玄関ドアほどではありませんが、木製品なので定期的にワックスがけすることをお勧めします。木材は手入れすればするほど木の美しさが増す建材です。
引き戸のレールと戸車のメンテナンス
引き戸のレールはホコリやゴミが溜まりやすい場所です。それが戸車に絡めばスムーズな開閉の妨げになります。掃除を心がけるだけで長持ちするし戸車に潤滑油をさすだけで長くスムーズに開閉することが可能です。