住宅の内壁といえば、石膏ボードの下地にクロス張りが最も多く採用されています。
普段は壁クロスしか見ることはできませんが、その下で内空間を形成しクロスを支えているのが石膏ボードです。
しかし、何らかの衝撃によってクロスを突き抜け、壁に穴があいてしまったということもよく起こります。
今回は、
石膏ボードの壁の補修方法や業者に依頼する場合のメリット、費用などを解説します。
石膏ボードの特徴
石膏ボードという名称は誰もが知っていると思いますが、しかし石膏ボードがどのような性能や特徴を持っているかまでは詳しく知らない人がほとんどではないでしょうか。
DIYを始めるにあったては、まず石膏ボードの特徴なども理解しておきましょう。
石膏ボードとは
石膏ボードとはプラスターボートとも呼ばれ、図面などにはPBと略されています。
焼石膏を主成分とした材料を水で練り2枚の厚紙の間に流し込んで板状に成型したもので、
主に壁や天井の下地材として多用されています。
石膏ボードには、表面に化粧紙を張った仕上げ用の「化粧石膏ボード」や、表面の紙と芯材に防水加工を施した「シージング石膏ボード」、無機質素材を混ぜて防火性を高めた「強化石膏ボード」、吸音のため小さい貫通孔を連続的に開けた「吸音用孔あき石膏ボード」などがあります。
石膏ボードの厚みは、9.5mm・12.5mm・15mm・21mm・25mmなどがありますが、
一般的な住宅では、壁は12.5mm厚のもの、天井には9.5mm厚が多く使用されています。
石膏ボードのメリット・デメリット
石膏ボードのメリットは、軽量で施工性が高く安価なこと。また比較的防火性が高いことなどが挙げられます。
デメリットは耐水性が低く、衝撃に弱いことです。そのため、外部や浴室・床などの施工には適さず(一部外壁に使用できるタイプも登場している)、物をぶつけたりすると簡単に割れたり穴があいたりします。また、ネジが効かないこともデメリットの一つといえるでしょう。
さらに、
一般的な石膏ボードは湿気の多い場所などに使用したり雨漏りなどが発生したりすると、石膏ボードが湿気を含み膨張し脆くなり、カビが発生することもあります。
石膏ボードの補修方法と手順
石膏ボードの損傷の違いによって、補修方法も異なります。ここではネジ穴程度の小さな穴から、ひび割れや10cm程度の穴埋めの方法や手順を解説します。
ネジ穴は補修キットで補修
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ネジ穴程度の小さい穴や隙間などは、画像のような補修キットで簡単に補修することができます。
〈補修手順〉
①穴うめ材のノズルを外し、ボトルに圧力がかからないよう注意しながら中栓を外す。
②穴うめ材にノズルを取り付け、ノズルの先端をネジ穴に当てボトルを軽く押して中身を出して埋める。
③付属のヘラを使用して余分な穴うめ材をすき取り、はみ出た部分は水で濡らした布やスポンジなどで拭き取る。
ひび割れはパテで補修
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地震が発生した際などにできた石膏ボードのひび割れにはパテを使用して補修します。
〈補修手順〉
①補修する箇所のゴミや水・油汚れなどをきれいに除去して乾燥させる。
②パテベラなどでパテを容器から適量取り出し、補修箇所に撫でつける。
③ヘラを使用して空気を押し出すようにパテを埋め込む。
④充填後、余分なパテはヘラでかき取り、表面を平に仕上げる
⑤完全に硬化した後(24時間以上)、必要に応じて研磨や切削加工・塗装などを行う。
※深さが5mm以上の補修場所は凹みが目立つため、充填作業を繰り返すようにします。
10cm程度までの穴埋めはパテセットで補修
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10cm程度までの穴の補修には、穴埋めパテセットを使用して補修します。
〈補修手順〉
①石膏ボードの補修部分に付属のアミテープを左右・上下に穴を塞ぐように貼る。
②粉状のパテ400gに水160cc程度を加えてよく練る。
③付属のヘラを使用して練ったパテをアミテープの上に擦り込むように塗り込む。
④硬化・乾燥後(約3時間程度)、施工面の凹凸をサンドペーパーで平滑に仕上げる。
※この補修セットでは10cm以上の穴の補修はできません。練ったパテは30分以内に使い切るようにしましょう。
石膏ボードの張替え補修方法
大きく壊れてしまった石膏ボードは、その部分の石膏ボードを切り取り補修用の石膏ボードを張って補修する必要があります。
〈準備する材料や工具〉
張り替え用石膏ボード(既存のものと同じ厚さ)・ボード用ノコギリ・カッター・定規・鉛筆・板材・補修用パテ・パテベラ・石膏ボードビス・サンドペーパー・電動ドライバー
〈補修手順〉
①補修箇所の大きさを測り(補修箇所は円形でも切りやすくするために補修箇所よりも一回り大きな四角形の寸法で測る)鉛筆で目印(線)を付けておく。
②補修用石膏ボードを測った大きさに切る(石膏ボードは定規を当ててカッターである程度切り目を入れると両面から折ることができる)。
③補修部分(既存)の石膏ボードの線を引いた部分に定規を当て破損部分をきれいに切り取る。
④切った張り替え用の石膏ボードと切り抜いた既存の石膏ボードの縁を、サンドペーパーをかけて凹凸をなくしておく。
⑤このときに出た細かいゴミや粉は掃除機で吸い取る。
⑥補修する石膏ボードを固定する下地を作るため、木材を穴の幅よりも長めに切る(上下に2本必要、穴が大きい場合は適宜増やす)。
⑦切った木材を補修箇所の内側に入れ込み、ビスで固定する。
⑧補修用石膏ボードを補修箇所に入れ込み、下地にした木材にビスで固定する。
⑨補修用石膏ボードが角張っている場合は角を削って面取りする。
⑩継ぎ目の部分にパテを均一に塗り、乾燥させてからサンドペーパーで平滑に仕上げる。
業者に依頼するメリットと費用相場
石膏ボードに穴があいてしまった場合は、そのまま放置しないで一日でも早く補修することをおすすめします。
外部から壁の内部に入った害虫などが室内にまで侵入してしまう恐れがあるからです。
とはいっても、DIYに慣れていない人は必要材料や道具を揃えるのも大変でしょう。
DIYが得意でない人や忙しい人は、早々に業者に依頼しましょう。
また、石膏ボード損傷の大きさによって、素人のDIYでは難しいケースもあります。
市販の補修キッドや補修セットで補修可能な穴の大きさは10cm程度です。それ以上の損傷となると、石膏ボードの張り替え補修が必要なため、かなり難易度が高くなります。
やってできないことはないかもしれませんが、仕上がりの違いは一目瞭然です。
補修部分と他の部分とがわからないように、平滑に仕上げる作業は技術を要します。
さらに、仕上げには同じ壁紙を見つけなければなりません。
同じものを見つけても、既存の壁紙と新しい壁紙では微妙に色やテクスチャの違いが目立ってしまうこともあります。
「定額リペア」では、高い技術を持った熟練スタッフにより、補修した箇所がほとんどわからないように修復します。
補修箇所1箇所に付き(3時間程度)35,000円~(損傷の大きさによって異なる)になります。
石膏ボードの寿命と長持ちさせるコツは?
従来の日本の住宅の内壁は土壁や漆喰などが多く採用されていましたが、現在は石膏ボードが内壁の主流となっています。
石膏ボードは施工性・経済性・遮音性・防火性・寸法安定性に優れた壁材ですが、どのくらいの寿命があるのかも気になるところではないでしょうか?
国が定めた石膏ボードの耐用年数は20年です。しかし、これは建物の評価額を公平に判定するための基準であり、20年を過ぎてもまだまだ問題なく使用できます。
物理的耐用年数(寿命)は30年~50年程度だと考えられます。
年数に開きがあるのは、石膏ボードが使われている環境によって差があるためです。
石膏ボードは耐水性が低く衝撃に弱いことは前記しましたが、衝撃は常に注意することである程度避けることができます。また、地震などで発生したひび割れもきちんと補修を行うことで問題なく使用できます(ボードだけの損傷の場合)。
しかし、問題は湿気です。
湿気が多い場所に施工している場合や結露などによって寿命が短くなるケースが出てきます。
石膏ボードの強度を低下させることなく長持ちさせるためには、換気には十分に注意しましょう。
どうしても結露が発生しやすい場所や湿気がこもりやすい押入れやクローゼット内は、調湿機能性を付加した製品に張り替えることも検討してみましょう。
調湿機能付きの石膏ボードは、湿度が高いときは湿度を吸収し低いときには放出して室内を安定した湿度に調整し、結露の発生や部屋の乾燥を抑制する効果があります。
まとめ
石膏ボード壁の補修方法を解説しましたが、DIYでの補修は損傷の程度や穴の大きさが大きくなるほど難しくなっていきます。
面倒でも損傷が小さいうちに補修を実施することをおすすめします。
DIYが苦手な人や、自信のない人は「定額リペア」へご相談ください!