新居したての頃や入居したての頃のドアは開け閉めがスムーズにできて、とても気持ちがいいものだ。しかし年月が経つとスムーズに開閉できていたドアも、閉まる速度が速くなったり、もしくは開けづらくなったりしてしまうことがある。
このようなドアの開閉時に起きる問題の多くはドアクローザーが原因だ。今回はドアを開閉する際には欠かせないドアクローザーの調整を考えたときに知っておくべき5つのことを紹介しよう。
ドアクローザーとは?
ドアクローザーとはドアに取り付けられた装置で、開けられたドアが自動的に閉まる働きを行うものである。
またドアクローザーがあることによって、開いたドアが急激に閉まることを防ぐことができるのだ。
玄関ドアだけではなく、家にあるドアのほとんどにはこのドアクローザーが設置されている。基本的にはドアクローザーが設置されている部分はドアの上の部分だ。
実はこのドアクローザーにも寿命というものがある。ドアクローザーの寿命は定義づけられてはいないが基本的に10年から15年だ。そのため10年以上使用されたドアクローザーは安全のためにも交換した方がいいだろう。
寿命を迎えたドアクローザーは正常に働かなくなり、急激にドアが閉まったり、ドアクローザーから油が漏れたりしてしまう。ドアクローザーが正常に働かなくなると思いがけない怪我にもつながるので早めの調整・交換を行う必要がある。
ドアクローザーの油圧構造と仕組み
ドアクローザーは、扉の開閉動作を油圧で調整する本体とアーム、ブラケット、調整ネジ棒で構成されている。自動的にドアが閉まる仕組みで、それはドアクローザーのバネによるものだ。
ドアを開けたときにバネにかかる力の反発によって閉まる。しかし、それでは力が強すぎて勢いよく閉まってしまう。そのドアの開閉速度を調整するのがドアクローザーの本体だ。
本体は密封された油が入っており、その油の圧力によってドアを静かに閉めたり、ゆっくりと開けたりすることができる。
ドアクローザーの速度調整は、段階ごとに速度の調節ができてドアの閉め始めは速く、半分閉まりかけると速度が遅くなり、閉まる直後はさらにゆっくりと閉まる、というような調整ができるため、安全で静かにドアを閉められる装置だ。
また、ドアクローザーはドアを一定の角度で開けた状態でロックできるストップ機能が付いたものもある。
ただし、完全にロックするものではないため、風などドアクローザーの限界を超える力がかかると扉が閉まってしまう。そのため、強風などドアに強い力がかかる場合は、急に閉まる可能性があるので注意が必要だ。
種類:スタンダード型/パラレル型/コンシールドタイプ
ドアクローザーにはスタンダード型とパラレル型、コンシールドタイプの3つの種類がある。ドアの勝手(左開き、右開き)によって取り付ける位置が異なるので注意して選定する必要がある。
スタンダード型は、扉を押す反対側の面に取り付けられるタイプになる。このタイプはドアクローザーの本体が開く側に出っ張っているためドアを開けて90度の位置に壁や障害物があるとドアクローザーが邪魔になる。
また、ドアを180度開くことができないので注意する必要がある。
続いてパラレル型はドアを押す側に設置されるタイプになる。パラレル型はドアを閉めたときにアームがドアクローザー本体と平行状態になるため、外開きが多い日本の住宅に多く普及しているタイプだ。スタンダード型とは違いドアクローザーの本体が外側に出っ張らないので180度ドアを開きたい場合に適している。
コンシールドタイプはドアクローザー本体がドアの内部、若しくはドアの上枠の中に納まったタイプになる。ドアクローザーが外側に見えてこないのですっきりとした外観が特徴的だ。コンシールドタイプはコンパクトでありながら開閉速度の調整機能やストップ機能が付いたモデルがある。ドアクローザーの本体と薄い板のレールで構成されているため見た目を気にするデザインのドアに適している。
ドアクローザーの取り付け位置と手順
ドアクローザーの取り付け位置は、タイプによって違う。また、ドアの厚みや幅、重量、材質などの適用範囲があるので確認していただきたい。ドアクローザーの部材や取付け寸法はメーカーによって異なるのでそれぞれ施工説明書を確認すること。ここでは、一般的なドアクローザーの取り付け手順をお伝えする。
ドアクローザー取付け手順①:ドアクローザーのタイプを選ぶ
ドアクローザーを取り付ける時は、まずドアクローザーの本体がドアを押す側に取り付けるタイプ(パラレルタイプ)か、ドアを押す反対側に取り付けるタイプ(スタンダードタイプ)のどちらになるか確認し適したドアクローザーを選ぶ。
ドアクローザー取付け手順②:ドアの勝手を確認し取り付け位置を決める
次にドアの勝手が右開きか左開きか確認すること。右開はドアを開いたときに右回りとなる方向になる。左開きはその反対だ。パラレル型の場合は、ドアが右開きだとドアを押す側から見て右側にドアクローザーを取り付けることになる。
ドアクローザー取付け手順③:ブラケットと取り付け板を取り付ける
ブラケットとドアクローザーの取り付け板をドアの上枠に取り付けるために同梱されている型紙をあててネジの取り付け位置をキリなど使って目印を付ける。ドアクローザーのネジ取り付け位置に目印を付けたらビスサイズに合う下穴を開ける。
ドアクローザー取付け手順④:ドアクローザー本体を固定しブラケットに結合
下穴を開けたらブラケットと取り付け板をビスで固定する。ドアクローザー本体とアームをはめ込み同梱するネジやボルトで結合する。ドアクローザーを取り付け板にビスで固定しアームをブラケットと結合し取付けは完了だ。その後はドアの開閉速度の調整となる。
ドアクローザーの主要メーカー
ドアクローザーのメーカーで一般的なのが日本ドアチェック製造株式会社とRYOBI(リョービ)、美和ロックだ。他に金物メーカーであるスガツネ(LAMP)のドアクローザーがある。
新規でドアクローザーを取り付ける時は、主要メーカーのドアクローザーを選ぶ方が後々交換する時に互換性があるのでおすすめしたい。
また、ドアクローザーを交換する場合は、既存のドアクローザーと同メーカーのものを選ぶと互換性があり取り付けがしやすくなる。
こんな時は調整が必要!ドアクローザーの故障のサイン
ドアクローザーの調整・交換が必要となる兆候というものがある。ここではドアクローザーの調整・交換が必要となる主な3つの兆候をご紹介しよう。
1つ目はドアの閉まる速度が遅くなったときである。ドアクローザーの内部には油が使用されている。油は温度によって粘着性が変わってくるのだ。
そのため冬場は油の粘着が遅くなりドアの閉まるスピードが遅くなるということもある。この場合は調節はいらない。しかし油の粘着が速くなる気温が高い夏にドアの閉まるスピードが普段より遅いようだとドアクローザーの調整が必要となるだろう。
2つ目はドアの閉まるスピードが速くなったときである。この場合には注意したい。なぜならドアクローザーの本来の機能が作動していないからだ。前述したようにドアクローザーの本来の機能はドアが急激に閉まることを防ぐことだ。もしドアがいつもより速いスピードで閉まるようならドアクローザーの調整が必要だ。
そして3つ目はドアクローザーから油が漏れているときである。これはドアがバタンとすぐに閉まることが起きる可能性が非常に高い。すなわち事故にあう可能性が高いのだ。この場合はすぐにドアクローザーを交換する必要がある。
自分でできるドアクローザーの調整の仕方!
ここからは自分でできるドアクローザーの調整の仕方を紹介しよう。
ドアクローザーの調整を行う前に1つだけ理解していただきたいのは、どんな結果になろうと全て自分の責任になるということだ。これだけは了承していただきたい。
ドアクローザーの調整を行う前に、ドアクローザーが油漏れしていないかどうかを確認する必要がある。
もし油が漏れているようなら自分でドアクローザーの調整を行うことはできない。ドアクローザーを分解して油をつぎ足すことは絶対にできない。
もし油漏れが起きているようならば、自分ではどうすることもできないのでリペア専門業者にドアクローザーの交換を依頼しよう。
開閉スピードの調整
ドアの開閉スピードの調整は比較的簡単に行うことができる。ドアクローザーの側面に速度調整弁があるはずだ。この調整弁の数はドアクローザーの種類によって異なってくる。
基本的には1~3個あるはずだ。ドアクローザーの各調整弁の横には数字がついている。調整弁が2つなら調整弁1と調整弁2、調整弁が3つあるならば調整弁1から調整弁3まであるはずだ。
調整弁1はドアが完全に開いた状態から45度の位置までの閉まるスピードを調整する。
調整弁2、調整弁3は残りの範囲の閉まるスピードを調整する。速度調整の方法は簡単だ。
ドアクローザーの調整弁を時計回りに回すとドアが閉じる速度は遅くなる。逆に反時計回りに回すと閉じるスピードは速くなるのだ。
注意点は1つだけ。調整弁を緩めすぎないことだ。緩めすぎると油漏れを起こす可能性がある。
急激にドアが閉まる場合の調整
ドアが閉まりきる手前くらいから急激にスピードがあがってバタンと閉まる場合は、ドアクローザーの取り付け方に問題があるかもしれない。
ドアクローザーにはリンクとアームと呼ばれるパーツがついている。アームはドアクローザーとつながっている長い棒で、リンクはアームと連結している長い棒だ。リンクはドアとドアクローザーを取り付ける役割を持っている。
ドアクローザーのアームがドアと平行になっていた場合は正しく取り付けられていない。リンクがアームと平行になっている必要があるのだ。
調整方法はとても簡単だ。まずはリンクとアームの連結を外す。その後、アームを手前に引いてリンクがドアと平行になる長さに調整しよう。長さを調整したら再びリンクとアームを連結させるだけだ。
ドアが止まらない場合のストップ機能アーム調整
ドアクローザーにはストップ機能というものがある。ストップ機能とはドアを開けた状態にしておくことができる機能のことだ。
まずはドアを閉めた状態でカムが出ているかどうか確認しよう。カムとはリンクについているセットネジの近くから出ている爪のようなものだ。
カムが出ていればストップ機能を調整することができる。ドアクローザーのストップ機能を調整するにはストップネジを調整する必要がある。
まずはドアをストップさせたい位置まで開こう。そのまま開いた状態でセットネジをスパナできつく締める。きつく締めたら手を放してストップ機能が作動しているのかどうか確認しよう。正常に作動していたら、ドアを閉じて再びセットネジを閉めよう。
ドアが閉まらない/音がする場合の調整
ドアが閉まらない場合や開閉時に音がする時は、金具同士がかみ合っていない可能性がある。その時はアームとブラケットを結合するリンクのネジを緩め、ドアを開閉しながら金具のかみ合わせを調整する。
カチッと音が鳴れば金具がかみ合ったのでネジを締め直して完了となる。また、ネジを緩めて調整しても音が鳴る場合は、ドアクローザーのアームやリンク、ブラケットに潤滑油を吹き付けてみると改善する時がある。それでも改善されない場合は、ドアクローザーの故障やドア自体が歪んでいるなどの可能性があるので、一度専門業者に見てもらうことをおすすめしたい。
自分で調整できないときにはリペア専門業者にお任せ!
ドアクローザーの調整は自分で行うべきではない場合もある。それは前述したように油漏れが起きていたり、寿命を迎えて交換・取り換えが必要となったりした時だ。
自分で行ってはいけないのなら一体誰に依頼をすればいいのか?あなたがドアクローザーの交換・取り換えを依頼すべき相手はリペア専門業者である。
リペア専門業者と聞くと工務店のことを思い浮かべる方も多いが、リペア専門業者と工務店は全く違うものだ。
ほとんどのリペア専門業者は工務店とは違い、専門的な技術と経験を持つ職人が自分で仕事をとってきて補修を行う。そのため余計な人件費や外注費は一切かからない。
一方、工務店は専門的な技術を持っていないので外注に丸投げして高額の請求をする、もしくは粗悪な工事を行うことがある。
ドアは毎日使われるもので、当然ながらドアクローザーも毎日酷使されている。寿命を迎えたドアクローザーはもちろんのこと、メンテナンスの意味でも数年に一回はリペア専門業者に調整を依頼した方がいいだろう。
リペア専門業者の手にかかるとドアクローザーの交換はスムーズに行われる。また万が一の時に備えて、ほとんどのリペア専門業者では万全の保証体制をとっている。
もしあなたのドアクローザーが正常に作動しているかどうか気になった時には、気軽に専門業者に連絡を取ってみよう。必ず相談に乗ってくれるはずだ。
またリペア専門業者に依頼するメリットとしてはドアクローザーに問題がないときでも対応できることだ。自分でドアクローザーの調整を行っても上手くいかない場合がある。もしかすると原因はドアクローザー以外にあるのかもしれない。
例えばドアがスムーズに開閉できない原因がドアクローザーではなく、ドアにある場合でもリペア専門業者はその場で対応することができる。つまり再びほかの業者を探して依頼する必要はないのだ。
ドアクローザーの調整・交換の相場は?
ドアクローザーの調整・交換の値段はドアクローザーの種類や状態等によって変わってくるので正確な値段を言うことはできない。
しかし一般的な相場としてはドアクローザーの調整は8000円程度、ドアクローザーの取り換え・交換は1万5千円から2万円程度だろう。思っていた値段よりは安いのではないだろうか?
最後に
ドアは毎日使うものだ。毎日使うからこそ、安全かつストレスフリーな開閉ができるようにしたい。
また今は正常に作動しているかもしれないが、確実にドアクローザーは酷使されていて消耗している。今回紹介した方法で基本的には自分で調整を行うことができる。
しかし自分でドアクローザーを調整しても上手くいかなかったときや、ドアクローザーの交換が必要なときにはリペア業者に依頼すべきだ。
ドアクローザーが壊れたときだけにリペア専門業者に依頼をするのではなく、年に1、2回業者にメンテナンスを頼んでもいいだろう。
リペア専門業者は数多くあり、あなたのニーズに合った業者を見つけるのは意外と難しい。
いい業者を見つけるには各業者からの無料見積もりの結果、強み、そしてあなたのニーズを満たしているかどうか比較することが必要だ。