大理石の玄関やリビングは庶民にとって憧れの建材だ。大理石は、キッチンや洗面台・テーブルにも使われている高級感抜群の素材でもある。
しかし、大理石は傷が付きやすく汚れもつきやすいことをご存知だろうか?
知らない間に鏡のような光沢が失われていたり、傷ついたりしている場合もある。
今回は、天然の大理石や人工・人造大理石の手入れ方法から御影石との違いなど、憧れの建材のメンテナンスを解説する。
大理石を使用している方は、最後まで読んで是非とも参考にしてほしい。
自分で大理石をピカピカに磨く方法
石は丈夫だというイメージがあるが大理石には当てはまらない。大理石は石としては比較的に柔らかい建材である。廊下や玄関などの大理石は、普通に暮らしているだけでも自然と表面に傷が付き徐々に光沢が失われている。
失われた光沢を取り戻すためには研磨作業が必要である。もちろん自分で大理石を研磨することも可能なのでここで解説していく。
研磨することで光沢が蘇る理由
大理石を床に使用している家庭では、自然に大理石の表面が凸凹になっている。その凸凹も 1/10ミリ以下なので、人間の目にはほとんど凸凹が分からない。
しかし、大理石の表面が凸凹になれば、すりガラスのような状態になるので光が乱反射する。結果的に新品の時のような光沢はなくなり、くもった状態になる。
この凸凹を研磨して平らにすることで光沢を取り戻すことができる。凸凹がなくなれば乱反射もなくなるからである。
また、研磨するといっても凸凹の傷は1/10ミリ以下なので、大理石が無くなるなどという心配は不要だ。
必要なアイテム
大理石を磨くには、通常の清掃道具ではなく大理石専用の研磨・クリーニングアイテムが必要だ。
- 電動式ポリッシャー
電動式ポリシャーは、円形のブラシやパッドモーターで回転させて効率よく床の洗浄やワックスの剥離ができる清掃機械である。
玄関や通路などに敷かれている大理石を手で磨くことは肉体的にも難しい。また、無理して手で磨いてもムラができて、労力だけかかって仕上がりが美しくないのでおすすめできない。 - 大理石用研磨パッド
電動式ポリッシャーにつける大理石用のパッドが必要である。ダイヤモンドを配合していて粒度が安定しているものがおすすめだ。
目の荒い順に#400 #800 #1500 #3000 #6000 #10000と使用するので6枚セットのものを選ぶとよい - 雑巾
研磨中の水はねなどを拭き取るので複数あるほうがよい - 養生テープ・ビニール袋
他材の床や壁の汚れ防止に使用する - ドライヤー
乾かすときに必要
大理石の磨き方の手順
- 床をきれいに掃除する。特に砂が残らにように水拭きする
- 養生テープやビニール袋をつかって研ぎ汁の飛散で壁などが汚れないようにする
- 電動式ポリッシャーの速度を最低に設定し大理石用研磨パッド#400を取り付ける
- 大理石の床に水を撒く(目安は1㎡あたり300ml)
- スイッチを入れて上から軽く押さえながら磨く
- 30cmのタイル1枚につき縦に5往復、横に5往復を2回行う
- 全面が磨けたら研ぎ汁を雑巾でよく拭く。ザラザラしなくなるまで拭き取りドライヤーで乾燥させる
- 光を照らして磨きムラがないか確認する。もしあれば再度磨き直す。
- 次のパッド#800を取り付け4に戻り#10000まで磨く
一般論だが、ホワイトやグレー系の大理石なら初心者でもツヤをだすことができるとされているブラックやダークグリーン系の大理石は研磨だけでツヤを取り戻すのが難しいので目立たない場所で試して、難しいと判断したら迷わずプロに任せることをお勧めする。
天然大理石の手入れ方法
大理石は、建材として最も美しい石として知られている。しかし、傷つきやすくシミもつきやすい。
美しい光沢を維持するためにはこまめな手入れが必要である。ここでは、基本的な日常の手入れ方法などを解説するので参考にしてほしい。
【油汚れ】片栗粉を使用
油も含めて液体は、すぐに拭き取ることが肝要だ。しかし、気づかない間に油汚れがついている場合もあるだろう。
その場合は、片栗粉(コーンスターチでも代用できる)を油汚れ部分にふりかけ20~30分ほど放置する。片栗粉は、油を吸い取る性質があるのでこれで油はなくなる。
片栗粉を取り除いたあとは濡れた布できれいに拭き取る。
【シミ】重曹パックが効く
大理石にシミができた場合は、重曹を利用すると落ちる確率が高い。
- シミに水をかけて拭き取る。
- 重曹をシミの上にのせて水をスプレーしペースト状にする。その上からラップを被せて丸一日放置する。
- ラップを剥がし濡れた布で重曹のペーストを拭き取る
- シミが残っている場合は同じ工程を繰り返す
【傷・ひび】リペア業者に依頼
画像はキッチンカウンターの人工大理石に大きなひび割れができたものをリペア職人が修復したものだ。
グレーの部分は撮影者の影なので気にしないでいただきたいが、見事にひび割れが修復され何もなかったようになっている。
天然の大理石も同様にリペア職人にかかれば、ダメージは修復できることを知っていただきたい。
洗剤での掃除には注意!
大理石の掃除には天然成分の中性洗剤か大理石専用の洗剤を使用するように心がけていただきたい。
シミ抜きには重曹を使用したが、重曹は弱アルカリ性なので毎日の大理石清掃には向いていない。また、天然成分だからといって酢やクエン酸も使ってはいけない。酸性のものは大理石の腐食の原因になるので要注意である。
傷予防には緩衝材を使用
傷つきやすい性質である大理石を傷から守るには直接、物を置かないことが肝要である。大理石のテーブルならコースターやマットを利用するなどの工夫で傷やシミを防ぐことができる。
玄関が大理石の場合は、傘立ての脚に緩衝材を貼り付けたり、置物の下にお洒落なマットを敷いたりして工夫をすれば変色や傷から大理石を守ることができる。
大理石のダイニングやリビングなら、家具に緩衝材を貼り付けると傷を防ぐことが可能だ。特にダイニングテーブルの椅子など可動させる家具に注意をはらって傷を防ぐと高価で美しい大理石を長持ちさせることができる。
大理石と御影石の違いとは?
石材は大きく分けて3つに分類される。内訳は
- 火成岩
- 堆積岩
- 変成岩
である。
建材で使われている石材の大半は、大理石と御影石で大理石は変成岩であり、御影石は火成岩である。
大理石は内装向き
大理石が属する変成岩は、石灰岩が圧力や高温の影響を受けて変化したものである。元は石灰岩であるので炭酸カルシウムが大理石の主成分だ。
独特の縞模様が美しく、磨けば光沢がでる。しかも、加工しやすいので建材に用いられることが多くなった。
残念なことは、主成分が炭酸カルシウムのために酸に弱いことだ。炭酸カルシウムは酸に触れると二酸化炭素を放出する。故に、大理石は酸性の雨にあたると表面が風化するので主に屋内で使うことが多くなった。
ただし、風化そのものを自然の風情ととらえて、あえて磨かずに屋外で使う例もある。その場合は、外壁などには使用しない。
理由は、大理石のもう一つの特性である高い吸水性の為だ。冬に、大理石が雪や雨で水分を含んでいる状態で凍結すれば、石が膨張し模様に亀裂が入る。そうなると大理石が落下する恐れがある。大理石を屋外でしようする場合は床材のみと捉えておくとよいだろう。
御影石は屋外・水場向き
御影石が属する火成岩は、マグマがゆっくりと冷やされて固まることでできる石である。非常に硬い石材で、マダラ模様が特長だが中には大理石に近いマーブル模様もある。
硬いだけでなく耐久性も高く風化にも強い。しかも磨けば光沢も美しいので屋外で使われる事が多くなった。
また、水への耐性も高いので、屋内で使われるときは水回りで使用されることが多い。御影石の温泉なども見かけることがある。しかも大理石より価格が経済的だ。
御影石は手入れが不要!
御影石は基本的に手入れ不要である。濡れていれば拭けばよいし、ホコリがあれば掃除機で吸い取れば良い。また、磨く必要もない。
御影石の強度と耐久性・耐水性と光沢がかわれて、現在の墓石のほとんどが御影石である。年に数回の墓参りでも御影石の墓石の光沢は失われていない。しかし、お墓だけは丁寧に掃除すればご先祖様が喜ばれるだろう。
人工大理石と人造大理石の違いとは?
高級でデリケートな建材である人気の大理石を安価で扱いやすくしたものが、人工大理石と人造大理石である。共に略して「人大」でと呼ばれている。
それぞれに特徴があり、手入れ方法も違いがあるのでここで「人大」を解説させていただく。
人工大理石の主成分は樹脂
大理石という名がついているが天然石は一切含まれていない。アクリル樹脂やポリエステル樹脂を主成分として作られたのが人工大理石である。
人工大理石はどのような形にでも「型」さえあれば加工できるうえに、着色性が優れているのでカラーバリエーションや模様が豊富だ。
天然の大理石と違い水にも強く、ツヤ感があるので浴槽や洗面台にも使用されている。
しかし、あくまでも樹脂なので天然大理石のもつ石独特の無機質な風合いを表現するまでには至っていない。
人造大理石は大理石+樹脂orセメント
人造大理石は、天然大理石を粉砕してセメントや樹脂で固めた半人工素材である。
人工大理石のような加工や着色の自由度は減少するが、大理石の光沢は味わうことができる。
仕上げに研磨する必要があるのは天然大理石と同じなので、複雑な形には向いていない。そのため床材やキッチンカウンターに使われている。
人工大理石の手入れ・メンテナンス方法
人工大理石の美しさや清潔感を保つには日頃の手入れが大事である。
日々の手入れは、汚れなどは水拭きする。落ちにくい場合は中性洗剤を薄めて浸した布で拭き取ると良い。
しつこい汚れがついてしまったら、クリーム状のクレンザーをスポンジにつけて優しく弧を描くように磨く。その後、クレンザーを洗い落とし、しきれいに乾拭きするとしつこい汚れも落とすことができる。
もし、漂白剤を使用するなら、一部ではなくできるだけ広範囲が良い。テーブルなら天板全てに使用したほうが使用部分を目立たなくさせることができる。
しかし、鍋やヤカンなどで焦がしてしまった場合はリペア職人に依頼することをおすすめする。
人造大理石の手入れ・掃除方法
人造とはいえ、天然大理石を含む石材なので細かな手入れが必要である。
水分はすぐに乾拭きし、汚れはすぐに水拭きしてから乾拭きする。
しつこい汚れには、メラミンスポンジが有効だ。メラミンスポンジで擦り取ったあとは十分に水拭きしてから乾拭きする。メラミンスポンジだけで落ちない場合はクリームクレンザーを併用すると良い。
人工大理石も人造大理石も共通して樹脂が含まれているため熱に弱い、熱いフライパンなどを直においてしまうとすぐに樹脂が焦げて跡がのこる。また、衝撃にも弱く強い衝撃でひびが入ったり欠けたりする。そんな場合は、プロのリペア業者に相談すると良いだろう。
大理石の補修はリペア業者へ
画像は、天然大理石の損壊を修復したものだ。見事に損壊箇所がわからなくなって元に戻っている。
天然大理石はもちろん人造大理石・人工大理石も高価なものだ。リフォームするとなると相当な予算を確保しなければならない。
ちなみにこの大理石のボウルは、ボウルだけで3万5000円ほどだ。工事費や出張料などは含まれていない。
このような高額な大理石を使用するということは長く我が家を大事にしてきたか、これから終の棲家として大事にしようと考えている方だと想像できる。
また、ここまでこの記事にお付き合いいただいたということは、大理石の放つ魅力を存分に味わっている方かも知れない。そんな方々にこそ大理石もリペアできるということをここでお伝えしたい。
リペア業者の技で大理石の損傷を修復
上の画像は人工大理石カウンターのリペアである。ひび割れと損壊がある酷い状態だ。しかし、リペア業者の技で見事に復元している。
この作業で、人工大理石のカウンターは交換しなくてもよくなった。参考ながら幅70cmで奥行き70cm・厚み1cmの人工大理石の建材のみの販売価格はアマゾンで22000円からである。
このようなL字で長さも厚みもある人工大理石の天板をリフォームしたら、数十万単位の予算を確保しなければならないことは、ほとんどの方が理解できるだろう。これが天然大理石ならその数倍の予算が必要だ。
しかし、このリペアは、5時間の作業・費用6万円で当サイトが承った事例である。
次は、人工大理石を鍋で焦がした事例だ。
この画像のように人工大理石についた鍋の焦げも綺麗に修復できる。このようにリペア業者なら天然大理石でも人大でも問題なく修理できる可能性が大きいので、大理石にダメージがあれば迷わず相談すると良いだろう。
リペアは愛着あるものを交換や捨てずに済むメリットと、リフォームより経済的に済むメリットがある。
リペア業者の価格相場
通常の場合、リペア業者の価格相場は1箇所の修理に対して1万~2万円(技術料)である。これに出張費や特殊な修理の材料費などがプラスされる。
また、補修の難易度が上がれば料金も高くなるし、高級建材の補修も価格は上がる。
見積りの安い業者には要注意だ。技術力がない可能性が高く、アフターフォローも充実していない業者が多い。
大理石の修理はかなり難易度が高いので、技術力と保証体制を確認する必要がある。
画像は、当サイトで承った大理石の補修である。水栓の位置をずらすために既存の穴を埋める補修だ。御覧いただいてわかるように既存の穴があったことが全くわからなくなっている。
このように施工事例をホームページやブログなどを確認して技術力を判断し、適正価格の見積りを出すリペア業者を選ぶことが賢明である。
大理石の研磨・クリーニングもリペア業者へ
この記事の始まりで大理石を自分で磨く方法を解説した。大理石の研磨・クリーニングは、初心者なら玄関だけで6時間以上かかると認識しておくほうがよい。
また、道具も揃えなければならない。時間・労力・費用を考えて無理があると思ったらリペア業者に相談するとよいだろう。
当サイトでも大理石の研磨・クリーニングを承っている。大理石の傷や穴さえも綺麗に修復する技術力でクリーニングを行えば必ず大理石は輝きを取り戻すことは間違いない。