ソファのダメージは千差万別であり、少し補修すれば使用に問題がないものから、プロフェッショナルに依頼しないと補修できないものもあります。
今回はソファのダメージをDIYで補修する方法を解説し、補修に役立つツールを紹介します。
どうしてもDIYで補修できない場合、買い替えか張替えか補修か、どこに頼めば良いかなどの情報も解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
ソファの素材&ダメージの種類と原因
ソファの素材は、本革・合皮・布です。細分化すれば、革の種類や布の素材など細かく分かれていますが受けるダメージには大きな違いはありません。
ソファの代表的なダメージは次のようになります。
・破れ
・引っかき傷
・色落ち・色あせ
・クッション性の劣化・へたりなど
・摩耗(布ソファ)
今回は、上記のダメージに対して素材別の補修方法を解説します。
DIYでソファの破れを補修する方法
ソファのダメージの中で多いのが破れです。破れは目立つだけでなく、放置しておくとダメージが一気に大きくなりやすい損傷です。まずは本革の破れ補修方法を解説します。
本革ソファの破れ補修方法
本革は余程のことがない限り破れません。本革ソファの破れで多いのは縫い目が裂けることです。よって、本革ソファの破れは縫い合わせなければ補修できません。
すぐに縫い合わせる補修にとりかかれない場合は破れを拡大させないために応急処置が必要です。その際に利用するのが合皮シートです。
破れた箇所に合わせて切り貼りするだけなので簡単に応急処置が可能です。合皮シートを貼って応急処置すれば対応をじっくり考えられる時間を得られます。
応急処置ではありますが、合皮シートも丈夫なので、しばらく様子をみることもできます。ただし本革ソファ独特の質感や風合いはシートにはないため、どこかで本格的に補修しましょう。
【本革ソファの縫い目を補修する方法】
・ソファを分解する
・革部分のタッカーを外す
・同じ穴にソファに適した糸を通す
・縫い目の破れを確認する
本革ソファの場合、縫い目部分だけではなく本体部分が破れていたらDIYでの補修はより一層難しいでしょう。
上記工程の中で難易度が高いのがソファの分解し補修した後、もとに戻す作業です。手先が器用で、DIYを得意としていたら可能ですが、リペアのプロフェッショナルが補修した下記画像のようなレベルの補修はDIYでは難しいです。
リペアの技術で、縫い目部分だけではなく本体部分のダメージも修復しています。本革ソファは高額であり、何代にも渡って使われているものが多いのが特徴です。アンティークとしても貴重であり、希少価値を有するものも少なくないため、価値を知って取り扱うことをおすすめします。
合皮ソファの破れ補修方法
合皮ソファの破れには合皮補修シートがおすすめです。
貼るだけなので、だれでも簡単に補修できます。合皮は本革のように縫って補修することは基本的にできません。できるだけ色目や風合いが合うシートを選んで購入しましょう。そうすれば補修後もそのまま使用して差し支えないかもしれません。
このシートならストレッチ性が良いため、貼るだけで補修完了です。もし補修した部分が気になるようでしたらソファカバーの活用を検討しましょう。合皮生地を張り替える方法もありますが補修費が高額になるため、買い替えのほうが良いかもしれません。
布ソファの破れ補修方法
布ソファの破れの場合は、小さな破れと大きな破れで補修方法が異なります。小さな破れは縫い合わせて補修するため次のようなツールが必要です。
・シーリング材
・カーブ針
・ナイロン糸
【布ソファの小さな破れの縫い合わせ方法】
・破れの深さや幅、縁のほつれ具合などをチェック
(縫い合わせが難しいと判断したら張り替えを検討する)
・破れ目の縁にシーリング材を塗って、これ以上ほつれないように保護する
・シーリング材が乾けば破れ目の縁を折り、マチ針で固定
・生地の両縁を合わせて指でつまむ
・丈夫なナイロン糸とカーブ針で破れ目の縁をしっかり縫う
・破れ目の縁が織り込まれているかを確認しながら縫い合わせていく
・最後まで縫い合わせたら輪ができる程度にたるみを残して糸をひく
・輪をつくり輪の中に針を2回通して引いて結び目をつくる
・結び目から2針程度縫い返し、生地に近いところで糸を切る
ほつれ部分をできるだけ、内側に織り込んで縫い合わせることがポイントです。破れの場合は生地を張り替えましょう。張り替えに必要なツールは、小さな破れで使ったツールにプラスして、次のツールが必要です。
・布地
・タッカー
【布ソファを張り替える方法】
・ソファの生地を剥がす
・ソファに新しい布をかけてカーブしている場所や角をキレイに折りたたむ
・折りたたんだ場所はマチ針でとめる
・マチ針で留めたところをカーブ針などとナイロン糸で縫い込む
・座面の奥まで布を行き届かせてガンタッカーで留める
・ソファを倒して底面と布をガンタッカーで留める
ポイントは座面の奥までしっかりと新しい布が届いているかを確認して、しっかりと留めることです。場合によってはシーリング材で留めてからガンタッカーを使う方法もあります。いずれにしても、かなりの労力と時間を要するDIYですので計画的に行うかプロに依頼することを検討しましょう。
DIYでソファの引っかき傷を補修する方法
ソファの引っかき傷は意外と目立つダメージです。ここでは、本革ソファの引っかき傷の補修から解説していきます。革系のソファは引っかき傷が浅いか深いかによって補修方法が異なるため分けて解説します。
本革ソファの引っかき傷補修方法
まずは浅い引っかき傷の補修方法から解説します。
【浅い引っかき傷の補修]
本革ソファの浅い引っかき傷なら馬毛のブラシが役立ちます。人間やペットの爪などで軽く引っ掻いたようなダメージなら、ソファの革が毛羽立っている程度の状態と推測されます。その程度の引っかき傷なら、馬毛のブラシで表面を整えると引っかき傷が、周辺と上手く馴染んでダメージの箇所が分からなくなります。
革用のオイルを使用する場合は、ダメージ部分周辺だけ色が濃くなることがあります。できれば引っかき傷の補修を兼ねて、ソファ全体を革用オイルでメンテナンスをすると色ムラを防ぐことができてソファを生まれ変わらせることも可能です。
【深い引っかき傷の補修】
深いひっかき傷の補修はプロにお任せすることをおすすめします。しかし、どうしてもDIYするのでしたら、レザー用の補修クリームの中で色を合わせることができるものを利用しましょう。
本格的な補修をするまでつなぎとしての役割を果たします。あくまでもつなぎ補修ですので、根本が補修できている訳ではありません。長く愛用する本革ソファであれば価値を保つためにも、本格的な補修を早めに行うことが大切です。
合皮ソファの引っかき傷補修方法
【浅い引っかき傷の補修】
合皮ソファの場合も、浅い引っかき傷と深い引っかき傷では補修方法が異なります。浅い引っかき傷なら、レザーマニキュアで目立たなくする方法が有効です。革製品の傷を補修するレザー用塗料ですので定着が良くしっかり色が付きます。
ハケ付きのマニキュアタイプがあるため、簡単に引っかき傷に塗れて、乾燥後は色移りの心配もありません。注意事項は塗る前に引っかき傷の毛羽立ちをならしておくことです。傷口周辺の汚れも落としておくほうが、定着性がよくなります。
【深い引っかき傷の補修]
合皮ソファに付いた深い引っかき傷の補修は強度が必要です。特に座面の引っかき傷なら体重がかかるため、補修の際は相当な強度があるものを活用しなければなりません。頑丈な合皮シートであれば切って貼るだけで問題なく補修できます。
ただし色と風合いが限られているため、補修箇所が目立つ可能性があります。自分のソファに合ったものを選ぶことが大切です。どうしても目立つようであればソファカバーを利用したり全く異なる色のシートをハート型などに切り取って、利用したりする方法もいます。
布ソファの引っかき傷の補修方法
布ソファの引っかき傷は、布がほつれたり、引きつれたりしていることが多い特徴があります。布ソファの引っかき傷の補修方法は主に3つです。
【フェルト針でほつれを生地にもどす】
フェルト針は先端が折れた鋭い針です。この針でほつれた部分を生地の中に戻せば補修できます。ほつれた部分を繰り返しフェルト針で突くだけで、ほつれた部分が布の裏側に押し込まれます。ペットが付けた引っかき傷程度であれば、数分で元に戻せるでしょう。
【カミソリでほつれや引きつれの玉の部分を取り除く】
カミソリでもほつれや引きつれを補修できます。引っかき傷は玉状になることが多い為、シェービング用のカミソリをほつれや引きつれ部分に滑らせれば、玉になった部分は剃り落とされ、新たに糸が出てこなくなります。
ペット用の小さなバリカンでも同じ効果が得られます。布ソファが経年劣化して毛玉や繊維が絡まった場合でも、この方法で補修することが可能です。
【返し縫いでほつれを縫い直す】
返し縫いは手間がかかりますが引っかき傷部分を補強できるため、チャレンジする価値はあります。方法はイラストの様にほつれ部分を直線縫いで、縫い直すだけです。
返し縫いにより、ほつれた部分を生地の中に引き戻すことができて、縫い目が引っかき傷をしっかり抑えてくれます。
DIYでソファの色落ち・色あせを補修する方法
ソファの色落ちや色あせは日焼けや経年劣化によるものです。本革ソファなら、色あせも風合いとなって新品のときよりも品位があがる場合もあります。しかし、合皮と布ソファの場合は、見栄えが悪くなるだけですので補修するほうがよいでしょう。
本革ソファの色落ち・色あせ補修方法
本革ソファの色落ちや色あせを補修する場合はレザーコンディショナーで本革本来の品質を復活させて補修します。
【レザーコンディショナーでの補修方法】
・布にレザーコンディショナーを付ける
・目立たない場所で試し塗りをする
・色落ちや色あせ部分を厚めに塗りながら全体を塗る
・乾燥させる
・余分なレザーコンディショナーを拭き取る
・必要に応じて繰り返す
合皮ソファの色落ち・色あせ補修方法
合皮ソファの色落ちや色あせを補修するには、着色して周囲と同化させます。本革のように革質が復活することはありませんが、色落ちや色あせを隠すことが可能です。
【着色クリームでの補修方法】
・補修箇所周辺の汚れを落とす
・少量を布や指にとり薄く膜を作るように塗る
・12時間程度乾燥させる
・必要に応じてツヤ出しなどを行う
複数のカラーを混ぜてソファの色に近づけることができます。乾燥させた後は色落ちの心配はありません。
布ソファの色落ち・色あせ補修方法
布ソファの色落ちや色あせの補修の方法は、布の張り替えです。布の張り替えについては前述した通りです。DIYでは難度が高く、時間や費用もかかるため、ソファカバーで模様替えする方法をおすすめします。ソファカバーには種類があるので主なものを3つ紹介します。
・一体型ソファカバー
・ブランケットにも使えるマルチソファカバー
・部屋の模様替えにも役立つソファカバー
DIYでクッション性の劣化・へたりの補修方法
ソファは、長年使用しているとどうしても、クッション性が低くなりへたるようになります。へたってしまったウレタンを交換すればクッション性が蘇りますが、DIYでは難度が高いため、プロに依頼することがおすすめです。
どうしてもDIYでウレタンを交換する場合の手順は次のようになります。
・ソファの縫い目をほどく(1パーツにつき1箇所)
・古いウレタンを取り出す
・新しいウレタンをカットする
・ウレタンを好みの厚さになるまでパーツに入れる
・全体の形を整える
・ほどいた縫い目を縫い直す
ウレタンはアマゾンなどで販売していますので、好みのウレタンを選べます。
摩耗ダメージはDIY補修が難しい
ソファは毎日使うものなので摩耗によってダメージが蓄積します。本革ソファであればそれも風合いになり、手入れすれば使い続けることができて家族の思い出ともなります。
合皮や布ソファについては摩耗そのものを補修することはできません。したがって合皮や布を張り替えるか、買い換えるかになります。摩耗がある状態で、クッション性が悪くなったり、破れができたりなどの合併症まで出てきた場合は買い替えを検討する時期かもしれません。
しかし、愛着のあるソファでどうしても補修したい場合は、プロに相談することが唯一の手段となります。
ソファを補修するプロフェッショナルとは
ソファを補修するプロフェッショナルとは、家具屋・家具製作業者・リペア業者です。それぞれ特性がありますので紹介します。
・家具屋:基本的に販売しているだけなので補修を受け付けていても、家具メーカーとの取次だけです。
・家具製作業者:家具の製作と販売を一貫して行っているケースが多いため、補修を受け付けてくれます。ただし傷や色あせの場合は表面の張り替えとなります。同じ素材がない場合は、まったく雰囲気が違ったソファになることも多いので注意が必要です。
・リペア業者:リペア業者の補修は基本的に修復です。お気に入りのソファを再生させたい人に向いている業者です。補修箇所のみに手を入れる為、捨てるものもほとんどなく、エコロジーでもあります。リペアでの事例は次のとおりです。
・油分がなくなり、ひび割れた1人がけソファのリペア事例です。
・破れてひび割れたソファのリペア事例です。
・傷がついてしまったソファのリペア事例です。
まとめ
ソファの補修は自分でできる部分もありますが、時間と労力が想像以上にかかります。簡単な補修はDIYで行い、難しい補修はプロフェッショナルに依頼するとよいでしょう。
ソファの補修の考え方として、補修を諦めて買い替える場合は家具屋です。ソファの張り替えなら家具製作業者に依頼しましょう。ダメージだけを補修するなら、リペア業者へ補修を依頼すると使えなくなったソファも生まれ変わります。
リペア業者の場合は高級ソファで1箇所の補修なら通常のリペア業者に依頼するのが良いでしょう。
一方、ソファだけでなく、例えば壁紙の破れやフローリングの傷など、家のダメージを複数箇所補修したい場合は定額リペア業者へ依頼すると効率的で、コストパフォーマンスもよくなります。定額リペアは決まった時間内であれば複数箇所の補修をしてくれます。料金も定額ですので小さなダメージを一気に複数補修してもらうには経済的です。