フローリングの色あせは、日光の当たる場所や生活動線で起こることが多い症状です。
色あせは、部分的とはいえ広範囲になるので、補修するにも全体的に補修するか部分的に補修するか迷うところでもあります。
また、DIYするにもワックスが良いのかニスが良いのか判断がつかない場合もあります。
今回は、フローリングの色あせについて掘り下げて解説します。色あせの原因から最新のDIYグッズの紹介、プロに依頼する場合のポイントや、フローリングメンテナンスまで盛り込んでいますので最後までお付き合いください。
フローリングの色あせを放置してはいけない理由
フローリングの色あせを「色あせ程度だから」と放置していないでしょうか?
フローリングが色あせる原因は後ほど解説しますが、家のトラブルで放置してよい症状はありません。
色あせを放置すれば劣化の進みが早くなり、合板なら突板や化粧板がはがれたり、ささくれやひび割れたりする可能性が高くなります。
また、無垢フローリングの色あせは、塗膜が損傷しているので、フローリング本体を保護する機能が失われていることを意味します。合板同様にささくれやひび割れが発生する可能性が高く、小さな子どもやペットも危険であるし、そのようなフローリングの状態でお客様を招き入れることは難しいし恥ずかしいでしょう。
クッションフロアの色あせは、シートが劣化している証拠ですので、クッションフロアの特性でもある耐水性が失われています。
放置すると土台ごと腐敗するのでリフォームが必要となります。高額なリフォーム代金を準備し長い工事期間を耐える必要が生じます。
フローリングの色あせは補修が必要というサインと受け止めてDIYやリペア・リフォームを選択し早めに修復することを強くおすすめします。
フローリングの色あせの原因を知る
フローリングの色あせを補修するためには、フローリング材と塗装方法を知る必要があります。
また、フローリングが色あせる原因も知識としてもっておくことが賢明です。
たとえ業者に補修を依頼するにしても、それらを知っておくと間違った補修で多額の請求を受ける可能性を減らすことができます。
フローリング材と塗装方法は、住宅やマンションの購入時に確認しておきましょう。また仕様書などを保管していれば見るだけで判ります。
賃貸の場合は、大家さんや管理会社に問い合わせれば教えてくれるはずです。
紫外線による色あせ
フローリングの色あせの最も多い原因が紫外線です。特に温暖化の影響で、年々紫外線が強烈になってきています。
紫外線が当たりすぎると人間は火傷のような日焼けになります。プラスチックなどはパリパリに割れてしまいます。
合板ならフローリングの塗装が破壊され色あせが起こり、突板やシートがダメージを受けて割れたりささくれたりします。
無垢材でも染み込ませたオイルやワックスが紫外線で干からびて、色あせが発生します。また、木材の含水率が極端に下がると割れやひび割れの原因にもなります。
ダメージが浅いうちは、簡単に補修できますが深いダメージならリフォームも選択肢に入れなければなりません。
水分の影響
無垢材や合板などの木質系フローリングにとって水分は天敵です。例え耐水性が高い広葉樹であっても水気を放置していると塗膜を劣化させフローリング本体に吸収されます。
また、継ぎ目から水が侵入しフローリング材に吸収される場合もあります。
いずれにしても、木質系フローリング材が水分を含むと劣化が早くなり変色や色あせが生じやすくなります。
化学的な反応
木質系フローリングをアルコール系のフローリングワイパーで拭いたり、ペットが尿をしたりすると変色や色あせが起こる場合があります。
特にペットの尿は、いつまでもアンモニア臭がとれなくなるので注意が必要です。フローリングの塗膜は、水分にも弱いですが、化学的な物質を含んだ洗剤や薬品にも弱いことを知っておきましょう。
黒い変色はカビが原因
画像の黒い部分は黒カビです。湿気の多い場所やペットの尿が原因で腐食が始まり黒カビを発生させてしましった例です。
黒い変色が現れたら黒カビだと判断しても間違いはありません。ここまでくればリフォームでフローリングの張り替えを考えるしか手段がないように見えますが、リペアで修復できる場合があります。
フローリングを張り替えることなく低額なリペアでここまで補修できます。これ以上の仕上がりを望む場合は高額なリフォームとなります。
フローリングの色あせをDIYで補修
昨今のDIYブームもあり、フローリングの色あせも自分で直そうと思われる人も少なくありません。確かに初期の色あせならばDIYで補修できる可能性は高いです。ここでは、その際に使える便利なDIYグッズを紹介します。
ただし、フローリングのDIYを行う前に、補修するフローリングの材質とフローリングに施されている塗装を調べてからDIYするように心がけてください。また、難しいと判断したらすぐにDIYを中止しプロに依頼するようにしましょう。
住まいのマニキュアで補修
フローリングの色あせで最も初期段階で最も簡単に補修できるのが住まいのマニキュアです。フローリングに限らず木製品なら家具や建具にも使用できます。
使い方
- フローリングに色にあったマニキュアを選び塗る
- 色が淡い場合は乾燥後重ね塗りする
- ツヤ出しが必要な場合はクリアーを重ね塗りする
塗って乾燥するのを待つだけなので、DIYの初心者でも難しくありません。ただし、広範囲の色あせを塗装することは難しいので、範囲が広い場合は他の方法を採用するかプロに依頼することを検討しましょう。
色あせも補修できるカラーワックス
カラーワックスは、着色剤が入ったワックスで、このメーカーからは3色がラインナップされています。特長は、軽度の色あせや色落ち・変色を補修できることと極浅い傷ならカバーできることです。
使用前の準備として、掃除機などでゴミやホコリを取り除いてください。その後、床用洗剤などで油分を拭き取り、水拭きして洗剤分を取り除いてよく乾かします。
使い方
- カラーワックスを専用のスポンジに垂らし、木目方向に軽く撫でるように塗ってから乾かします。
- 特に傷みの激しい部分に重ね塗りします。周囲との色調を調整しましょう。
- 全体をもう一度塗って乾燥させます。
厚塗りは失敗のもとになるので避けましょう。また、仕上げの乾拭きは不要です。それぞれの行程の乾燥時間は30分以上とるようにしてください。
色付けまでできるニススプレー
着色とニスが同時にできるスプレータイプのニスです。木目を活かし美しく仕上がり、カラーも豊富にラインナップされています。このタイプは、ウレタンニスで塗膜が硬いのでフローリングにも適応、スプレーして乾燥させるだけの簡単便利な補修剤ですのでDIY初心者でも問題なく使えます。
注意事項として、塗装前に補修箇所のゴミやホコリをキレイに取り除きましょう。フローリングのカラーに合わせたスプレーニスを購入してください。塗装中や乾燥中は、充分な換気が必要です。乾燥時間は3~4時間ですが、完全に乾燥して臭いがなくなるまで換気することを強くおすすめします。
フローリングニスでカラーも塗装
無垢材や突板合板の色あせや変色を補修するニスで、剥がれや傷んだ部分を目立ちにくくします。カラーは3色展開なので、自分のフローリング合った色を選びましょう。色が合わない場合は、ニスを混ぜ合わせることで調整できます。
また、水性なので臭いが少なくワックス以上の耐久性があるのもこのニスの特長です。
プリントシート合板やクッションフロアなどは使用できませんので、購入前にフローリングの素材や加工を確認してください。
使い方
- 補修箇所のゴミやホコリをキレイに取り除く
- ハケでニスを塗り拡げ乾く前にウエスで拭き上げる
- 乾燥後、周囲と調和がとれているか確認
- 色が薄ければ再塗装してウエスで拭き上げる
一部屋全て色変えする場合は、ハケやコテバケで塗装し拭き取らずにそのまま乾燥させます。水性で臭いはキツくはないですが、念の為に換気は充分行いましょう。
賃貸の場合はDIY補修をおすすめできない理由
賃貸の場合は、DIYで補修した跡が残っていて貸主に発覚した場合、トラブルになることが多々あります。それは、賃貸契約違反になる可能性が高いからです。
大抵の契約では、フローリングを含めて建具を補修する場合は、貸主が業者を手配して補修し借主が費用を負担するような賃貸契約になっています。
フローリングの補修については、貸主がリフォームを選択する可能性は非常に高いです。理由は、次の入居者のためによりキレイに仕上げるほうが良いからです。さらに、貸主が手数料を上乗せする場合もあるので、借主が補修するより高額になるケースが多く見られます。情報番組や週刊誌でも一時期取り上げられていました。
高額なリフォーム費用を抑えるために、優秀なリペア業者を見つけて事前に補修してもらう方法があります。しかし、補修したことが全くわからなくなる高レベルの業者を探す必要があります。
補修したことが判らなければ、リフォームの必要はないです。しかし、契約違反を免れるわけではないので、賃貸住宅の補修はリスクも考慮して判断するようにしましょう。
DIYでは難しい色あせ・変色はプロにお任せ
フローリングの色あせは、広範囲になって程度がひどい状態ならプロに補修を依頼することをおすすめします。
その場合、リフォーム業者に依頼するか、リペア業者に依頼することとなります。部屋のフローリング全て張替える場合はリフォーム業者で、損傷箇所だけを補修するならリペア業者となります。
リフォームでの補修と費用相場
リフォーム業者にフローリングの色あせを補修してもらうということは、全てのフローリングを張替えることになります。理由は、現在のフローリングに色を合わせることができないからです。
部分的な張替えだと現在のフローリングと同じ色や年季のフローリング材を用意しなければなりません。しかし、それは実質的に不可能なことです。
強度の問題や耐久年数の問題などを挙げて、全てを張替える提案をするのがリフォーム業者です。
もちろん、根太が腐っていたり下地が腐敗していたりすればリフォームするしか手段はありません。しかし、一部の損傷で全てのフローリングを張替えるのはもったいないと感じる人が多いようです。
リフォーム業者の価格相場は、部屋の広さや工法によって大きな違いがあります。また、無垢材を使うのか突板合板を使用するのかでも大きく違います。ここでは、一般的な無垢材と突板合板を使った場合の大凡の目安として相場を載せます。
- 根太工法によるフローリングの張り替え
4.5畳 | 6畳 | 8畳 | |
突板合板 | 12~14万円 | 15~18万円 | 19~22万円 |
無垢材 | 13~16万円 | 16~20万円 | 20~25万円 |
- 捨て張り工法によるフローリングの張り替え
4.5畳 | 6畳 | 8畳 | |
突板合板 | 16~18万円 | 20~23万円 | 25~29万円 |
無垢材 | 17~20万円 | 21~24万円 | 26~30万円 |
ウォールナットやチークなどの高級無垢材を使えばこの相場の何倍もしますが、頑丈で強いです。また、杉やパインなどは安価ですが、柔らかく素足で歩くと気持ちが良いです。
リフォームの際は、自分のライフスタイルに合ったフローリング材を選ぶようにしましょう。
リペアでの補修と費用相場
リペア業者に依頼する場合は、色あせしている部分だけ修復することになります。
もちろんプロが補修するので強度も耐久性も回復させます。また、他の部分と調和をとりますので色あせていた部分が判らなくなります。
この画像は、【2-4:黒い変色はカビが原因】で解説した黒カビの変色ですが、難しいカビの変色でさえもキレイに修復できます。色あせならばさらに美しい仕上がりになります。
費用は、DIYに比べると高くなりますが、リフォームに比べると格安になり、使えるフローリングまで張替えることもありません。
リペア業者の費用相場は、補修1箇所につき技術料1万~2万です。(損傷サイズや状態によって変動します。)
出張料や必要になった補修剤は別途請求されます。フローリングの色あせのような補修箇所が広範囲なリペアの場合は定額リペアを選択してください。
時間内であれば、色あせだけでなく傷や凹みの補修まで行いワックスの再塗装まで行うことが可能です。
下記の記事では、フローリングの傷の修復やフローリング材の材質まで解説していますので、ぜひご参照ください。
フローリングの傷をDIY補修!あらゆる傷の直し方を解説
https://teigakurepair.com/flooring-diy-repair
優良なリペア職人を選ぶポイント
初めてリペア業者に補修を依頼する場合は、高い技術力をもっている業者なのか、高額な費用を請求されないかなどが気になります。
優良なリペア業者ならそのような心配は無用ですので、優良な業者を選ぶポイントを説明します。
まず、ホームページが有るかどうかと更新されているか確認しましょう。そして、施工事例を見てフローリングの色あせに適しているかを判断します。
そして、無料見積もりがあるかを確認して、あれば見積もってもらいます。適正な見積りが出れば、その業者は優良である可能性が高いです。高い見積りなら、理由を聴きましょう。プロならではの提案があるかもしれません。存外に安い見積りが出たなら要注意です。技術力がない可能性が高く、アフターフォローも期待できません。
フローリングは、毎日踏みしめる重要な建具です。良い業者にしっかり修復してもらって安全・安心で快適な暮らしを確保しましょう。
美しいフローリングをキープする秘訣
DIYで色あせを補修したりリフォームやリペアで補修したりしても、メンテナンスがいき届かなければ、しばらくするとまたフローリングに色あせが発生します。
ここでは、そうならないようにフローリングの普段のメンテナンス方法を紹介していきます。
- フローリングの手入れは乾拭きを基本とする。
- 乾拭きで落ちない汚れは固く絞った雑巾で汚れを取り除いたあとに乾拭きする。
- 皮脂汚れについては中性洗剤を水で薄めたものやフローリング専用クリーナーを雑巾につけ汚れを拭き取る。その後に 2回以上水抜きをして洗剤やクリーナーの成分をふき取り、最後に乾拭きで水分を拭き取り乾燥させる。
- フローリングに水や飲み物をこぼしたらすぐに拭き取る。
- フローリングにスチーム洗浄機を使用しない。
- 湿気の多い場所では換気を心掛ける。
- 紫外線があたる場合は、遮光カーテンや日焼け防止カーペットなどを使用して色あせを防止する。
- 温風ヒーターを使用する場合は温風が直接フローリングに当たらないように温風ヒーターの下にカーペットなどを敷く。
このようにフローリングの天敵である水分や熱・紫外線からフローリングを守ることによって、無垢材なら一生モノに突板合板でも長くフローリングの役目を果たすことでしょう。
木材の寿命は1000年を超えると言われています。大事に扱えばフローリングを張替えることなどなくいつまでも踏み心地の良いフローリングでいてくれます。