高級感や格調高い雰囲気を演出する建築材として、ホテルやマンションなどのロビーに多く採用されている大理石ですが、近年は一般住宅の壁や床にも取り入られるようになっています。
豪華で美しい大理石の床も、経年による汚れの蓄積でくすんだり、物を落とした際に欠けやひび割れが発生したりすることがあります。
ここでは、大理石の特徴や性質、DIYでの補修方法と業者に依頼する場合の費用などを解説します。
大理石の補修前に特徴や性質を知っておこう!
大理石のDIY補修で失敗しないためにも、事前に大理石の特徴や性質を理解しておきましょう。
大理石には天然・人造・人工大理石がある
大理石というと天然の大理石のことを指しますが、大理石に似せて作られた人工大理石や人造大理石というものもあります。
人工大理石とは、アクリル樹脂やポリエステル樹脂を主成分として大理石の代用品として作られたもので、キッチンの天板や浴槽などに広く使用されています。
人造大理石とは、天然の大理石を粉砕しセメントや樹脂で固めた半人工素材のこと。セメントで固めたものはセメントテラゾー、樹脂で固めたものは樹脂テラゾーと呼んで区別されています。大理石の代用品として壁材・床材・テーブル材として広く使用されています。
天然の大理石の特徴や性質
天然の大理石は、石灰岩が高熱高圧で結晶化したもので、岩石学では「結晶質石灰岩」と呼ばれ変成岩に分類されています。
大理石は現在世界に出回っているものだけでも300種類以上あり、さまざまな色彩ものがあります。
よく見かけるものは斑入りの白系・ベージュ系・肌色系などですが、青・赤・緑・黄・黒など多彩な色やデザインのものが世界で産出されています。
大理石は磨くことで美しい光沢が出る岩石ですが、御影石(花崗岩)などと比較して柔らかい(硬度が低い)石種になり耐久性は中程度、酸に弱いという弱点があります。そのため酸性雨などの当たる屋外での使用は実際には適していません。
また、屋内の床の場合でもワインやジュースなどをこぼしてしまうと簡単にシミになってしまいます。
大理石の床を採用している場合は、日頃から注意を怠らずこまめなお手入れが必要です。
大理石によくある不具合
大理石の床でよくある主な不具合とその原因を解説します。
ひび割れ・欠け
大理石は硬脆(こうぜい)材料に分類されています。
硬脆材料とは、ガラスやセラミックなどと同じで、硬いが衝撃に弱く割れやすい素材のことをいいます。
大理石の床に、硬い物を落としたりぶつけたりすると、ひび割れや欠けが発生します。
シミ・汚れ
岩石には吸水性がありますが、大理石にも目に見えない微細な穴や間隙があり、水分や埃を吸収してしまいます。
大理石の表面に付いた汚れが水分と共に浸透し、シミとなって広がっていきます。
酸による化学反応
大理石は、ほとんどが方解石(炭酸カルシウム)でできており、酢や酸性の洗剤・カビ取り剤などが付着すると化学反応を起こし、溶解します。
目に見える変化としては変色(シミ)やくすみ、部分的な痩せが発生します。
間違って酸性の液体がかかった場合は素早く拭き取るようにしましょう。
経年変化
美しい光沢も経年変化により徐々に失われていきます。水がかかりやすいなど環境によっては経年変化が早くなることがあります。
石材補修セットを使用したDIY補修方法
大理石に発生した不具合は、全てDIYで補修できるというものではありませんが、軽微なものなら石材補修セットなどを使用して補修が可能な場合もあります。
DIY可能な補修の手順を以下に解説します。
ひび割れは石材シールで補修!
〈補修手順〉
①補修する面の埃や油・水分などをきれいに拭き取り乾燥させる。
②補修する割れ目の両サイドにマスキングテープを貼って、割れ目の周辺を保護する。
➂キャップの先端の突起でチューブの先端に穴を開ける。
④添付のノズルをチューブにセットし、補修する割れの大きさより一回り大きめにノズルの先をカットする。
⑤補修する箇所に押し込むようにシール材を充填し、必要に応じてヘラ(別売り)で仕上げる。
⑥充填後は1日程度そのまま静置する。
欠けは石材補修セットを使用!
〈セット内容〉
パテ・カラーパウダー・パウダー密着液・サンドペーパー2種類・ヘラ・筆・パレット・ビニール手袋
〈補修手順〉
①補修箇所(欠け)の大きさに合わせて石材用パテを切り取る。
②ビニール手袋を付けた手で切り取ったパテを色ムラがなくなるまで練り込む。
➂地色に合ったカラーパウダーを練り込んだパテに混ぜ、再度練り込み着色させる(パテの着色の際は爪楊枝などを使用して淡い色から少しずつパウダーを加える)。
④補修箇所にパテを盛り込み、余分なパテはヘラで取り除き、形を整える(パテが柔らかいうちに)。
⑤パテが初期硬化するまで待つ(初期硬化までは30~60分、完全硬化までは24時間程度)。
⑥パテの初期硬化後、付属の粗目のサンドペーパー(G-P240)で形を整え、細目のサンドペーパー(G-P320)で仕上げる。
⑦パレットにカラーパウダーを出し、筆にパウダー密着液を付け混ぜ合わせながら「地色」と「模様色」をつくる。
⑧補修箇所に地色を着色する(2~3回に分けて重ね描きする)。
⑨地色の乾燥後、模様を付ける(模様も2~3回に分け重ね描きする)。
⑩使用したパレットと筆はパウダー密着液を付けて不要な布などで拭き取る。
表面の汚れは石材専用クリーナーを使用!
大理石の汚れ落としには、上図のような石材専用クリーナーがおすすめです。ワイマンマーブルポリッシュは、汚れを落とすだけでなく、艶出し効果や保護効果もあるクリーナーです。
〈使用方法〉
①床表面の砂やゴミ・水分をきれいに取り除き乾燥させる。
②使用前にクリーナーのボトルをよく振る。
➂柔らかい布にクリーナーを適量付け、大理石の表面に塗布し軽くなでるように汚れを拭き取る。
④再度クリーナーを全体になじませるように塗布する。
⑤余分なクリーナーを柔らかいきれいな布で拭き取り仕上げる。
DIYが難しい場合は「定額リペア」へ!費用相場もご紹介!
大理石の損傷が大きい場合や、長期間放置していたシミを取り除くのはDIYでは難しいケースが多く、損傷が拡大しないうちに専門業者に依頼することをおすすめします。
また、経年によって失われた大理石表面の光沢は、いくら丁寧に掃除をしたところで取り戻せるものではありません。
大理石の光沢を再生させるには研磨作業が必要で、ダイヤモンドを練り込んだ研磨パッドできめ細かく磨き上げていきます。
大理石の研磨作業には特殊な電動工具や高い技術が必要な繊細な作業です。
素人が誤った方法で研磨するとかえって表面に細かい傷が付き、さらに状態を悪化させる可能性があります。
「定額リペア」では大理石の補修や染み抜き、表面光沢の再生なども承っております。
弊社の施工事例と費用を以下にご紹介します。
大理石タイルの欠け補修 施工費用:65,000円
大理石のシミの除去 施工費用:45,000円
ひび割れの補修 施工費用:35,000円
表面の損傷補修 施工費用:45,000円
いずれのケースも、損傷の跡が全くわからなくなっていることがおわかりいただけると思います。
「定額リペア」の熟練の技術者が、大理石を元の美しさを甦らせます!
大理石補修にかかる費用は、傷1箇所につき、25,000円~65,000円(傷の大きさによって異なる)になっています。
弊社では、最低請負金額(35,000円以上)を決めさせていただいております。
例えば、小さな傷であっても補修箇所が2箇所ある場合は25,000円×2=50,000円になるため、補修を承ることができますが、1箇所だけの場合は承ることができません。あしからずご了承ください。
大理石床をきれいに保つ日常のお手入れ方法と注意点
大理石の床をいつまでもきれいに保つための日常のお手入れ方法や、普段から注意しておきたいポイントなどを解説します。
日常のお手入れ
大理石の床の日常のお手入れには、まず大理石に適した掃除道具を用意しましょう。
大理石に適した掃除道具とは、毛の柔らかいブラシ・柔らかいタオル(マイクロファイバーなど)・中性洗剤です。酸に弱いことは前記しましたが、アルカリ性洗剤も使用すると表面の光沢が失われてしまいます。
表面の細かい砂や埃は掃除機で吸い取ります。表面にゴミが付着していると傷付きやすいため柔らかいブラシを併用して丁寧に掃除機で吸い取りましょう。
普段は掃除機の後、硬く絞った雑巾で拭き掃除を行い、仕上げに柔らかいタオルで乾拭きして仕上げます。
水拭きで表面の汚れが取りにくい場合は、中性洗剤を水で薄めた液に雑巾を浸し軽く絞って拭き取ります。
洗剤成分が残らないように、きれいな雑巾で丁寧に拭き取り、最後に柔らかいタオルの乾拭きで仕上げましょう。
注意しておきたいポイント
・床に直接物を置かない
大理石の床に直接物を置くのはおすすめできません。重量のある物でなくても表面が擦れて傷が付くことがあります。
特に傘立ては置かないことをおすすめします。傘立てなどを置くと、傘を立てる際に水分が床面に付着することが多くなります。大理石は水濡れに弱い(表面の光沢が失われる)ということも承知しておきましょう。
また、傘立てが金属製の場合は金属の錆が大理石に付いて取れにくいシミを残すことがあります。
さらに、植木鉢などを置く際には充分に注意する必要があります。水やりの際に植木鉢から流れ出した水が茶色いシミになります。
・生ごみの入ったゴミ袋を置かない
大理石の床に生ごみの入ったゴミ袋は絶対に置かないようにしましょう。生ゴミの汁や果実の水分がビニール袋からこぼれてしまうと大理石は溶解して変質し、洗ったり拭き取ったりしてもくっきりとした損傷が残ります。
・適切でない洗剤は使用しない
洗剤を使用する場合は、必ず石材専用クリーナーを使用しましょう。適切ではない洗剤を使用すると大理石の損傷を広げる可能性があります。
カビ取りクリーナーや塩素系・酸素系漂白剤・クエン酸・重曹などは使用できません。インターネット上では、素人の誤った情報が散乱しています。くれぐれも注意されることをおすすめします。
・水をかけて洗うのはおすすめできない
玄関の床などは靴に付いた泥汚れも気になる場所ですが、水をかけて洗うのはおすすめできません。多くの水を使うことで、大理石の成分である炭酸カルシウムが溶け出してしまいます。また、目地セメントの成分も炭酸カルシムであるため水に溶けて出し、空気中の二酸化炭素と反応して白く固まる現象(白華現象)を起こします。
まとめ
ゴージャスなヨーロピアンムードを醸し出す大理石。
住宅でも大理石が敷かれた空間は特別なスペースとなっていることでしょう。
しかし、大理石に割れやシミ・汚れなどがあるとゴージャスさも半減します。
大理石をいつまでも美しく保つには特徴や性質をよく理解した上で、日常のお手入れや扱い方にも、細心の注意を払うことをおすすめします。
それでもうっかり傷を付けてしまったり、シミを付けてしまったりした場合は、早めに「定額リペア」にご相談ください!