「新築住宅なのに、壁紙の継ぎ目が目立ってどうしても気になる…」というトラブルは意外と多く発生しています。
新築住宅ならば、通常は1年目の点検の際にハウスメーカーや施工業者によって補修を受けることができるでしょう。
しかし、新築でない場合は自分で簡単に補修することもできます。
今回は、壁紙の継ぎ目が目立つ原因や補修方法・DIYで壁紙を張り替える際のジョイントの処理方法や注意点などを解説します。
壁紙の継ぎ目が目立つようになる原因は?
壁紙の継ぎ目が目立つようになる原因は、施工の際に糊を付けた状態の壁紙が乾燥していく過程で収縮が起きるためです。
クロスの材質も継ぎ目が目立ちやすくなる一因となります。表面に凹凸がなく薄い材質のクロスは継ぎ目が目立ちやすくなります。
また、クロス職人の技術が未熟な場合も継ぎ目が目立つことがあります。クロスのジョイントを施工する場合クロスを重ねてカットするのが一般的ですが、カッターの力加減が強すぎると、下地の表面まで切り込んでしまいます。
するとクロス糊の乾燥に伴って、切り込んでしまった下地が開き継ぎ目が目立つようになります。
さらに下地によっても、注意しなければならい点があります。石膏ボードやコンパネなどの上に壁紙を貼る場合、パテの上が壁紙のジョイントにならないように施工しなければなりません。
パテ部分は下地の継ぎ目になっているため、建物の振動によって多少動くことがあり、壁紙のジョイントと重なると継ぎ目が開くことが多くなります。
モルタル下地に壁紙を貼る際は、シーラー処理が重要になります。モルタル下地は水分吸収が早く壁紙糊の乾燥も早いため、ジョイントが開きやすくなります。
それを防ぐのがシーラーの役割。しっかりシーラーで下地表面に膜が張る状態になるように塗布量にも注意が必要です(塗布量が不足するとシーラーの役目を果たせない)。
壁紙継ぎ目の隙間を補修する方法
壁紙継ぎ目の隙間の状態によって、補修方法も異なります。それぞれのケースにおいて、準備する材料や工具、補修方法などを以下に解説します。
小さな隙間はかべシールで補修
〈準備する物:かべシール・マスキングテープ・ヘラ・濡らした布やタオル〉
①充填箇所に付着した埃や油汚れなどをきれいに取り除き、はみ出しを防ぐために充填箇所の両端にマスキングテープを貼っておく。
②充填箇所にかべシールを充填する(直接充填することもできるが、ヘラを使用して塗り付けも可能)。
➂充填したかべシールの表面をヘラや濡らした指で平らにならす
④マスキングテープを外す。
⑤周囲にシールが付いた場合は濡らした布やタオルで拭き取る。
剥がれがある場合はクロス糊とシール材で補修
〈準備する物:クロス専用のり・ローラー・濡らした布やタオル・シール剤〉
①剥がれている面の古い糊やゴミ・油分などの汚れを濡らした布やタオルできれいに除去し、乾燥させる。
②クロス専用のりのノズルを外し、中栓を外す。
➂ボトルにノズルを取り付け、キャップを外し、補修するクロス面に均等に塗布する。
④補修箇所を貼り合わせ、しばらく手でしっかり押さえておく。
⑤補修箇所をローラーで圧着させる(隙間方向に押さえながらローラーを転がす)。
⑥はみ出したのりは乾く前に濡らした布で取り除く。
⑦のりが乾燥し、クロスが完全に接着できた後、隙間にシール剤を充填する(シール剤の充填作業は2-1を参照)。
ちょっとしたクロスのトラブルを全て解決してくれる上図のような便利セットも市販されています。このセットさえあれば、隙間や剥がれだけでなく穴埋めや落書き・汚れを隠すこともできてとても便利です。
継ぎ目に発生した部分的な浮きは補修用注射器を使用
クロスの継ぎ目に部分的な浮きがある場合は、シール剤を充填する前に補修用注射器を使用して糊を注入し継ぎ目部分の浮きを補修しておく必要があります。
以下に作業の手順を解説します。
①補修箇所の周囲のゴミや汚れをきれいに除去する。
②注射器にクロス専用糊を入れ、クロスの浮いた継ぎ目部分から適量ののりを注入する(のりは薄めない)。
➂ローラーで補修部分を圧着する。
④はみ出たのりは乾かないうちに濡らした布などで拭き取る。
⑤まだ隙間が目立つ場合は、のりの乾燥後シール剤を充填する。
壁紙の継ぎ目(ジョイント)の処理方法
壁紙はほとんどの物が90cm幅になっているため、広い壁面に貼る場合は複数枚の壁紙を横に並べて貼ることになります。
ジョイントを処理する方法は、「突き付け」と「重ね切り(重ね断ち)」の2種類があり、比較的簡単な方法が、「重ね切り(重ね断ち)」です。
「重ね切り」は、クロスの端部を数センチ重ねて貼り、重なったクロスを定規やカッターを使用してカットし、カットしたクロスの端部分を取り除き、貼り付けていく方法です。
このジョイントカットの際の力加減によって、強すぎた場合は下地まで切り込みが入り、後にジョイントの隙間が目立つ原因にもなってしまうため、近年は下図のような下敷きテープを使用するのが一般的になっています。
下敷きテープを使用したジョイントの処理の手順を以下に解説します。
〈ジョイント処理までの準備〉
①下地処理を行った後、クロスを割付けし必要な長さの枚数を切る。
②クロスの裏面にハケとローラーを使用してのりを付ける(端部分ハケを使用、真ん中部分はローラーを使用して厚く均等に2度付けする)。
➂下地と接する方に耳をずらして下敷きテープを貼る(右から貼る場合はクロスの左側になるため、裏から見ると「天」の右側)。曲がらずシワにならないように注意する。
④クロスの反対側の重ねる部分(裏から見て左端部分)には、のりが付かないようにカットテープを貼る。
⑤クロスの耳と耳を揃えながら「地(下になる部分)」の方向から糊を付けた面が内側になるようにたたんでおく(裏面の矢印方向が「天」)。
⑥のりの乾燥を防ぐために、施工に時間がかかる場合はたたんだクロスをクロス専用袋(クロスパック)に入れておく。
〈ジョイントの処理方法〉
①1枚目のクロスを右から貼っていく(撫でバケを使用して空気を抜きながらきれいに貼る)。
②地ベラとカッターを使用して縁部分の余分なクロスをカットする(左側の下敷きテープ部分は仕上がりをきれいにするために上下とも少し残す)。
➂切り口に付着したのりは、濡れ雑巾などできれいに拭く。
④1枚目のクロスの左端に4~5cm重ねて2枚目のクロスを真っ直ぐ貼る。
⑤地ベラとカッターを使用して、先に上下の縁部分の余分なクロスをカットする。
⑥重なった2枚目のクロスの右端から1cm程度を目安にして、地ベラに沿って重なったクロスをカットする(下敷きテープまで切らないように注意)。
⑦カットした上部分のクロスとカットテープを取り除き、上のクロスを少し剥がして重なった下部分の不要なクロスと下敷きテープを取り除く。
⑧左右のクロスが重ならないように注意し、ある程度指で押さえてからローラーで圧着させる。
⑨継ぎ目に隙間ができた場合は継ぎ目方向へローラーをかけて隙間を埋めるようにする。
⑩はみ出た糊をきれいに拭き取る。
⑪同様に3枚目・4枚目を貼っていく。
壁紙の継ぎ目の変色は何が原因?
クロスの継ぎ目だけが茶色く変色している場合は、施工時にクロス表面に付着したのりが原因になっている可能性があります。
ローラーで圧着した際にはみ出たのりの拭き取りが足りなかった場合、のりが付着した部分は粘着性があるため、埃を吸着しやすく変色を起こします。
のりの拭き取り不足が原因の場合は、濡らした雑巾で拭き取れば変色は落とせます。
落とせない場合は、下地(コンパネなどの場合)のアクがクロスの継ぎ目に出てきている可能性もあります。
この場合は下地のシーラー処理などが十分でなかったことが原因のため、クロスの張替えをして下地の処理からやり直す必要があります。
まとめ
壁紙の継ぎ目の隙間が気になっている人は、DIYでも比較的簡単に直すことができるので、自宅の隙間に合ったシール剤や補修アイテムを準備して補修してみましょう。
しかしながら、全体的に継ぎ目の隙間が目立っている場合や浮きや剥がれた箇所が多い場合は壁紙の張り替え時期かもしれません。
ビニールクロスは経年によりだんだん硬くなり縮んでいきます。
ビニールクロスの寿命は10年~15年程度といわれていて、環境によってはさらに劣化が早くなることもあります。
DIYでクロスの張り替えを行う際は、ご紹介した下敷きテープを使用して上手にジョイント処理を行っていただけたらと思います。