プラスチック製品はよく見ると家の中であらゆる場所に存在している。
キッチンのパネルやワークトップ、浴室の扉や、洗面台も樹脂の物が増えている。
プラスチックは、軽くて丈夫で使い勝手が良い素材である。しかし、割れたり、ひびが入ったりした場合、みなさんはどうしているだろうか?
テープを張って補修したり、ボンドで接着したりするだけなら簡単だが、見栄えは悪く、耐久性も悪いだろう。
今回は、プラスチックであっても欠けやひび割れ等を綺麗にDIY補修できる方法を解説する。
また、DIY補修で不可能な難易度の高い損傷に関しても安心してほしい。
プロのリペア職人であれば欠け・割れ・亀裂そのものがなかったような状態まで修復してくれる。
意外と多い?プラスチックの屋内製品や内装材とは
プラスチックは軽くて丈夫で非常に加工がしやすい便利な素材である。故に、屋内でも非常にたくさんの種類がつかわれている。
また、プラスチックと言っても多種多様な種類があるので屋内で使われているものを紹介する。
種類 | 性質 | 主な製品 |
ポリプロピレン | 熱に強い、艶がある | キッチン、バスルーム |
ポリスチレン | 透明で固い | PCやテレビの外側 |
アクリル樹脂 | 透明で強い | 風呂の扉、食器棚 |
AS樹脂 | 透明で傷つきにくい | 扇風機の羽 |
ABS樹脂 | 不透明で割れにくい・熱に強い | 家具、トランク |
ポリカーボネート | 透明で割れにくい・熱に強い | 携帯電話・ノートパソコン |
このようなプラスチック類が家の中でどのように使用されているか以下の項目で具体的に解説するので参考にしてほしい。
キッチンスペース
キッチンスペースは、特に多くのプラスチック製品が豊富に存在する。
この画像を参考に解説すると、アイランドキッチンの天板などは、人工大理石と推測できる。人工大理石には、樹脂を含むプラスチックが織り交ぜられている。
アイランドキッチンの扉や側面もプラスチックだ。また、椅子もプラスチック樹脂を加工したものだ、
壁面の戸棚は、樹脂でつくられているし、透明な窓はアクリル系である。
電球のカバーもアクリル樹脂だと判断できるし、フロアタイルも大理石調の樹脂製である。
この他にも食器類や調理器具など数え上げたら切りが無いほどキッチンはプラスチック製品で溢れている。
浴室・洗面所
浴室や洗面所にもプラスチック製品はたくさんある。この画像は海外のユニットバスだが浴室と洗面が一体になっているので、これをベースに解説する。
まず、浴槽の中も外側もプラスチック製だ。
壁や天井・床もプラスチック樹脂だと判断できる。洗面台はプラスチックをふんだんに使った人工大理石だ。
トイレは陶器かもしれないが、蓋などはプラスチック製だ。また、洗面所と浴槽を仕切るパーティションもプラスチック製品である。
化粧品の瓶や蓋など数えられないほど浴室や洗面所にはプラスチック製品が豊富にある。
家具・おもちゃ類
画像のリビングルームでは、フローリングとセンターラグ、本棚の本以外はすべてブラシテック製品であるといっても過言ではない。
例えば、センターテーブルやサイドボードは、樹脂製と判断できる。ドアや壁などは、合板の上に樹脂を張り付けている合成樹脂合板だと思われる。
正面の壁も合成樹脂合板であるし、細かいところでは、テレビの枠や置物もプラスチック製品である。
おもちゃはついては、ゲーム機を含めてそのほとんどがプラスチック製品である。金属や木製を探すほうが難しい時代となっている。
おもちゃに限らず、一見したら金属のように見えてもプラスチックが使われているし、木製に見えても樹脂が使われている。
プラスチックは、限りなく身近なものとなっている。近年はそのプラスチックゴミが社会問題となっているが、プラスチックの割れやひび割れを修復できれば廃棄されるものが減ると断言できる。
割れを自分で補修するおすすめグッズ!
種類が豊富で身近なプラスチックだが、割れたり、ひび割れしたりする弱点もある。しかし、自分でDIYできれば再度使い続けることが可能なものが多い。
ここでは、プラスチック製品のDIYグッズを解説する。プラスチックの補修と聞けば、アロンアルファのような接着剤が定番のように思われているかも知れない。
しかし、割れた場所もわからなくなるようなDIYも可能なグッズなので参考にしてほしい。
エポキシパテ プラ用
プラスチックの接着だけでなく穴埋めや破損箇所の成型までできる便利なパテである。浴槽や水槽には使用できないが、ほとんどの硬質プラスチックや金属・陶磁器を接着させることができる。
硬化したあとは、プラスチックのような程度な弾力と強度をもつので、ヤスリ掛けや穴あけ、塗装することも可能だ。
使い方
1.補修する面のゴミ・サビ・油汚れを落としてよく乾燥させる2.
2.サンドペーパーをかけて表面をザラザラにする
3.付属の保護手袋を着用し、エポキシパテを取り出しカッターなどで必要な量だけ切り取る
4.外側と内側の色むらがなくなるまで練り合わせる
5.混合したら、10分以内に作業を終わらせる
上手に作業するコツや注意事項
- 湿った布や水でぬらしたヘラで表面をならす
- 60分で実用強度に達するが、ヤスリ掛けや塗装は24時間経過後に行うこと
- 体質によってはかぶれることがあるので、硬化するまで皮膚にふれないこと
- 作業中、作業後は換気をよくすること
多用途補修パテ
プラスチック製品だけでなく額縁や浴室タイルなどの接着や穴埋め欠けた部分の成型までできるパテである。
湿った場所や水の中でも硬化するのが大きな特長だ。また、硬化後はヤスリ掛けや塗装が可能なので、着色すると破損箇所がわからなくなるほどの仕上がりにすることも可能である。
シリコン樹脂やナイロン・ゴムは接着できないので使用前に確認しておくとよいだろう。
使い方
1.補修面の汚れを落とし、油分を取り除き乾燥させる
2.サンドペーパーで施工面をザラザラにする
3.付属の手袋を装着してからパテを取り出す
4.パテをちぎり重ねるように練り合わせる
5.3分以内に補修面に埋め込むか成型する
6.15分ほどで固まるが、加工するには24時間必要
上手に作業するコツや注意事項
- 硬化する前に水で濡らしたヘラで表面をならすときれいに仕上がる
- 硬化中に高温になるので注意が必要
- 体質によってかぶれることがあるので硬化するまで素手では触らない
- 使用中及び使用後は換気をよくする
プラリペア
プロも使用するプラスチックの補修剤がプラリペアだ。高い効果が期待できて信頼性があるので認知度も高い。
プラリペアは、粉と液を必要な分量だけ混ぜて使用し、造形することも可能なので、割れ以外にも欠けや失ったパーツでさえ再生できる。
また、接着剤と異なり溶着するので、確実に接着補修できる点が最大の長所だ。
プラリペアそのものは、硬化するとアクリル樹脂となる。故に欠損部分も再生できる訳だ。
そして、プラリペア自身も固まると樹脂(アクリル樹脂)となる。したがって、欠けてなくなってしまった部分を再生復活させるという普通の接着剤では不可能なことも可能である。
プラスチック製品や木・石・アルミまで、対象物は幅広いがポリエチレン・ポリプロピレン・フッ素樹脂・エンプラ系樹脂には使用できない。
準備
1.洗剤を入れるための容器のキャップを抜く
2.液剤を容器に移す。できるだけ満タンに近い量を入れる
3.パウダーを小分けカップに移す。量は半分以上にする
4.ニードルを液剤容器にキッチリと差し込む
使い方(ニードル法)
1.ニードルの先端を小分けカップのパウダーの少し上にもっていく
2.容器をつまんで軽く押さえる
3.ニードルは針の途中に穴が空いているので容器を抑えると穴から液が出てくる仕組みだ。更に軽く抑えて針先に滴を作る
4.雫が落ちるとパルダート混ざり合って玉ができあがる
5.できた玉にニードルの先端を突き刺す
6.すばやく補修部分にもっていく
7.容器を抑えて液剤を出し、かたまりをドロっとさせて補修部に落とす
8.針先を使って伸ばし整える
はみ出した部分は硬化したあとでヤスリ掛けして修正する。塗装やメッキなどで仕上げれば割れや損失分もわからないようになる。
UVレジン
UVレジンは100均でも販売していてプラスチックの補修だけでなくアクセサリーも作ることができる。
接着だけでなく成型までできる樹脂で、UVライトを照射すると硬化するのが特長だ。
使い方
1.プラスチックの割れ部分をホコリやゴミを取り除く
2.UVレジンを塗布する
3.UVライトまたはLEDライトをあてて硬化させる
100均のUVレジンならUVライトを5分程度照射する必要があるが、画像のタイプだとすぐに硬化する。
硬化後は、ヤスリ掛けや塗装も可能なアクリル樹脂となるので、損壊した箇所を目立たくすることもできる。
また、塗布する前に着色材で着色してもきれいに混ざるので半透明の製品などは色合わせしてから接着や成型すれば素晴らしい出来栄えになるだろう。
リペア職人ならプラスチックの損傷もお手の物!
リペア職人と聞けばフローリングやテーブルなどを修復するイメージがあるかもしれない。実際にリペア職人の求人募集でも住宅関連が多い。
しかし、靴やカバンの修復も革製品のリペアであるし、ギターやバイオリンの修復もリペア職人が行っている。
今回の主題であるプラスチックに関してもリペア職人なら驚くべき技術で修復することを知っていただきたい。
プラスチックリペアの技術を知る
上の画像はキッチンパネルが割れてしまったときのリペア作業だ。リペア職人の手にかかると破損も無かったことになるほど綺麗に修復できる。
DIYの上級者なら、穴の成型までは可能かも知れない。しかし、平面にならして塗装して補修箇所がまったくわからなくなるまでの仕上がりを望むことは難しい。
仮にできたとしても何日も時間を要することになり、休日返上の繰り返しでは本職に影響がでるかもしれない。
難しいプラスチックのリペアは、リペア職人に依頼することをおすすめする。無駄な費用や時間を抑えられる可能性が高く、仕上がりに満足できれば買い替えや交換などの必要がなくなる。
リペア業者の価格相場
リペア業者の価格場は、補修1箇所につき技術料1万5000円からだ。出張料や新規で必要な材料費は別予算である。
もちろん難易度が高くなれば価格も上がるが、愛着のあるものや高価なものなどを交換したり廃棄したりせずに済むならむしろ経済的だ。
価格に不安があれば、ホームページを開設しているリペア業者なら見積もりも簡単にとることができるので相見積もりを取れば良い。
優良なリペア業者の選び方
リペアするのであれば、できるだけ優良な業者に依頼したいと思うのは当たり前のことだ。しかし、初めて依頼する場合、どの業者が優良なのかを見極めるのは難しいかもしれないのでポイントを解説する。
1.プラスチックリペアの実績があるか
2.見積りが適正価格であるか
3.再修理や保証体制が整備されているか
4.自宅までの距離が遠すぎないか
遠すぎれば出張費がかさむし、保証体制が整っていなければ不安になるだろう。しかし、要注意なのは安すぎるリペア業者だ。
技術力のない業者はたいてい安価でリペアを請け負うし、安価なので保証もなければ再修理の技術もない。「安物買いの銭失い」にならないように注意が必要である。
プラスチック製品のメンテナンス方法
どんな建具でも素材でも同じだが、しっかりメンテナンスすることによって耐久年数が変わってくる。プラスチックは軽くて強度が高いので、家中のいたるところに使われている。安価なものでも長持ちさせることによってプラスチックごみの削減につながるし、建具などをリフォームしなくてすむので経済的である。
プラスチックの手入れ方法
水洗いすることで腐食を防ぐことができる。例えば、電球の傘などだ。年に数回程度で良いので水洗いして乾拭きし水分をとるだけで良い。
大きなものは水洗いが難しいので水拭きし、乾拭きして水分を残さないようにする。もし汚れが酷いようなら、中性洗剤を薄めて汚れを落としその後、水拭き・乾拭きで仕上げれば良いだろう。
アルカリ性や酸性の洗剤は、プラスチックの素材によっては酸化したり溶解したりする場合があるので避けたほうが無難である。
プラスチックの大半は、紫外線に弱いので、できるだけ直射日光の当たらない場所に置くほうが変色や割れを防止できる。
アクリル系は要注意
アクリルは傷がつきやすいので注意が必要である。基本的な清掃は、清潔で柔らかい布でホコリをとればよい。汚れを落とすにはぬるま湯か、ぬるま湯に中性洗剤を含ませた柔らかい布で拭いたあとで乾拭きをする。
小さな傷ができた場合は、研磨剤を使用すれば目立たなくなる。エチルアルコールや強い溶剤は使用しないことだ。
黄ばみの原因と落とす方法
プラスチックが黄ばむ原因は、おおきく分けて3つある。
- 材質の自然劣化
- 紫外線による変色
- 科学変化による変色
この中で材質の自然劣化と化学変化による変色は元に戻せない。しかし、紫外線による変色なら酸素系漂白剤で元に戻すことも可能なので手順を解説する。
1.ゴム手袋を装着する
2.容器に水と漂白剤を入れる。容器はできれば紫外線を通しやすい透明なものがよい。また、漂白剤はキャップ1杯から始める。
3.容器の中に黄ばんだプラスチックを入れる
4.プラスチックを浸したら日光が当たる場所で放置する
5.黄ばみが落ちたら取り出して水洗いする
大型のプラスチック製品だと容器に入らないものもある。その場合はラップを使う方法がある
1.ゴム手袋を装着する
2.黄ばみが目立つ部分に酸素系漂白剤を塗布しラップで包む
3.日光が当たる場所で放置する
4.黄ばみが落ちたら水洗いする
諦めないで!プラスチックリペアの可能性は拡大
プラスチック製品のリペアの可能性は、科学の進化とともに拡大の一途をたどっている。
身近なものではスマホだ。液晶画面の割れのリペアはできないが、ケースの割れなら修復可能だ。
テレビの側面や電話機などの電化製品の割れやひび割れも損壊も修復できる。
バイクのパーツやヘルメットもリペアできる。もちろんカー用品も可能であるしバンパーなど樹脂製なら修復できる。
思い入れのある玩具の損壊も今の技術ならリペアできるものが増えている。
このように、建具以外のプラスチック製品でも修復できる範囲が年々広がっている。簡単に廃棄せずに自分でDIYすることや、リペア業者に相談することから始めれば、諦めていたお気に入りのものも再生する可能性は大いにある。