木造住宅において家を支える基材である柱がダメージを受けると、家の耐久性や耐震性に影響します。安心して居住するためには柱を大事にすることが欠かせません。
「柱の傷はおととしの♪」とあるように、子供の成長を楽しめる家の象徴でもあります。また一家の稼ぎ頭を大黒柱といい、家だけでなく家族をも支える象徴となっています。
今回は柱の傷をメインに、汚れや変色まで、ダメージの種類毎に対応方法を解説します。柱の補修やメンテナンスの参考にしてください。
柱のダメージの種類
柱のダメージは経年劣化や水分、衝撃などで起こります。柱のダメージの中で最も多いのが「傷」です。ここでは柱の傷について解説し、傷以外にどのようなダメージがあるかを紹介します。
【柱の傷】
柱の傷は子供のいたずらや猫の爪研ぎが原因の1つです。子犬も乳歯が生え変わる時に柱をかじる場合があります。尖ったものをぶつけたり、鋭利なものが当たったりしても傷になります。
日本の家の柱では、床柱は広葉樹を用いますが、他の柱は杉や檜などの針葉樹を使うのが一般的です。針葉樹は広葉樹に比べて成長が早いため、柔らかい性質を持っています。傷ができやすいことを認識し、注意しておけば傷が増えることを抑えられるでしょう。
【傷以外の柱のダメージ】
・汚れや変色:日に当たりやすい場所の柱は日焼けして変色しやすくなります。角の柱は人が手で触りやすいため手垢が付きやすく、ストーブの近くの柱は熱や調湿作用で変色しやすいことも特徴です。
囲炉裏がある部屋の柱は炭素などを吸い込むため、黒く変色するケースがあります。端午の節句の背比べで、柱に線を引いて子供の成長を楽しむケースも多いのではないでしょうか。しかし、家の売却や賃貸住宅の場合は汚れと判断されることもあります。
・割れや亀裂:製品化された柱が十分に乾燥されていない場合は、割れや亀裂が生じるケースがあります。施工後に木材の調湿作用で水分を吐き出し、乾燥する際に起こる現象です。柱によっては最初から「背割り」などを施して、施工後の割れや亀裂を防ぐ方法もあります
・カビや腐食:結露などの水分により柱の調湿作用を超える水分が溜まると、柱の腐食が始まります。床下が腐っていて、腐食が柱にまで広がるケースも少なくありません。湿気の多い部屋の柱は水分を吸収しすぎているため、カビが発生する場合もあります。
・シロアリ被害:シロアリは湿気が多い場所に発生しやすく、腐食した建材を食べる厄介者です。柱の内部まで侵入すると柱の強度が保たれなくなるため、家が傾いたり、大きな事故につながったりする可能性があります。
柱の傷をDIY補修
家を支える大切な建材である柱のDIYは、傷の深さや大きさを考慮することが肝心です。柱の傷が強度に影響する傷があれば大きな問題となります。このような場合はDIYを諦めて専門業者に補修を依頼しましょう。
軽微な傷のDIYなら問題ありません。賃貸住宅でDIY補修して失敗した場合は貸主から、多額の費用を請求されるかもしれません。
補修に必要なツールと方法
柱の傷の補修には傷の状態やDIYの腕前によってツールと補修方法が異なります。ここでは3つのツールと補修方法を紹介します。
【傷を埋めてしっかり直す方法】
傷が比較的深く、しっかり埋め込んで補修しなければならない場合は、画像のような補修セットをおすすめします。
・使用方法
・傷の大きさ・深さに合わせてソフトスティックを削る
・削ったものを付属のスプーンにいれる
・スプーンの下からライターで温めて溶かす
(調色はこの際に行う)
・完全に溶けたら約10秒待つ
・溶けたソフトスティックを傷に流し込む
・スプーンの汚れを取りながら硬化を待つ
・約1~2分後に余分なソフトスティックを取り除く
・付属のスチールウールで仕上げ必要に応じて木目ペンで木目を書く
【テープで傷を隠す方法】
柱の傷の補修で最も簡単なのが補修テープで傷を隠す方法です。色や木目が合えば補修箇所が分かりにくくなります。画像のタイプは色が3色あるため、自宅の柱に合う色を選びましょう。本格的な補修を行う前の一時しのぎで使うケースも少なくありません。使い方は切ってから剥離紙を剥がして貼るだけです。
【補修用クレヨンで傷を埋める方法】
クレヨンで傷を埋めて補修する方法もあります。傷に補修用のクレヨンを埋めるだけなので、簡単にDIY補修できます。上手く調色できれば、違和感を覚えないほど補修箇所が分からなくなります。
【使用方法】
・柱の色に近いクレヨンで傷を埋める
・色が合わない場合は他のクレヨンと調色する
・付属のヘラで余分なクレヨンを取り除く
クレヨンは摩擦熱で色移りする可能性があるため注意してください。施工後はニス塗りなどの塗装はできません。
傷以外のダメージの補修方法
柱で最も多いダメージは傷ですが他にもダメージがあることは先に述べました。ここでは柱の傷以外の補修方法について解説します。
柱の汚れや変色
柱は、木材の調湿作用や日焼け、経年による汚れ、手垢などの理由で変色や汚れが生じる建材です。特に白木は変色や汚れが生じやすい建材です。
白木は塗料を塗らず、木の皮を削っただけの地のままの木材です。ワックスやニスなどで塗装されていないため漂白ができます。
画像の白木専用の漂白剤なら白木の汚れや変色を落とし、白木本来の風合いを取り戻せる薬剤です。アルカリ性であるため皮膚に薬剤がかからない服装や手袋などを準備し、使用上の注意を守って汚れや日焼けを落としましょう。
柱の割れや亀裂
柱の割れや亀裂は柱の木質によって補修が異なります。無垢材の割れや亀裂に関しては余程のダメージでない限り強度に影響しないため、見た目が気になるのであればパテなどで補修しましょう。
問題は集成材の柱でありながら、割れや亀裂が出る場合です。集成材は乾燥による歪みや割れ、亀裂が出ないように計算されて製造されています。室内から見える表面は突板といわれる薄い無垢材が貼り付けられています。
集成材で割れや亀裂が生じる場合は、強い衝撃を受けたときと想定されます。そのような衝撃による柱のダメージは、柱の強度を下げる影響を与えていると想定されますのでDIY補修はさけるほうが賢明です。
柱のカビや腐食
柱にカビが発生すればできるだけ早く対処しなければなりません。カビが発生しているだけなら木材用のカビ取りスプレーで対応できます。使い方はカビにスプレーし放置した後、水拭きして乾燥させるだけです。
ただし、このカビ取り剤は白木や無垢材の場合は使用できないため確認と注意が必要です。
カビだけではなく柱が腐食している場合は、柱の強度や耐久性が弱まっているため、DIYでの補修は不可能です。早急に専門業者に相談しましょう。
柱のシロアリ被害
柱がシロアリの被害を受けている場合は、迷わずシロアリ退治の専門業者へ依頼しましょう。放置すれば家中の建材が被害にあいます。その後、柱を補修することになりますが、シロアリ被害により強度が落ちていると想定されるため専門業者に相談することをおすすめします。
柱の保護は日頃の手入れや塗料で
柱は、日頃の手入れや塗装により保護できます。塗装すれば、塗膜が柱を守ってくれるため、木材に応じた塗装でメンテナンスしましょう。
【柱の仕上げ方法とメンテナンスによる塗装の相性】
オイルステイン | 水性ニス | 油性ニス | 水性ペンキ | 油性ペンキ | |
無塗装の柱 | ○ | ○ | △ | ○ | △ |
オイル・ワックス仕上げの柱 | ○ | ○ | △ | △ | △ |
ニス仕上げの柱 | △ | ○
|
☓ | ○ | ☓ |
ペンキ仕上げの柱 | △ | △ | ☓ | ○ | ☓ |
柱の木目は自然と心を和ます効果があり調湿作用があります。よって、ペンキで加工済みの柱以外は、後からペンキ塗装を行う事は避けるほうが無難です。水性ニスの柱は、ニスが剥がれる前に塗装することを心がけましょう。剥がれた後では色合いや質感の統一が難しくなります。
生活動線によって塗装を変えると柱の保護に役立ちます。人がよく通る場所の柱に、耐久性の高い塗料で塗膜を作れば、柱の保護力があがり、擦り傷等が減るでしょう。
柱の補修専門業者はリフォームとリペア
木材はメンテナンス次第ですが、1,000年を超えても強度を保ち、耐久力が衰えません。
柱も1,000年を超えて家を支え続けることが可能です。強度や耐久性が求められる柱を補修する専門業者はリフォームとリペアになります。
柱をリフォームするケース
リフォームは、基本的に建材や建具などを新しいものに交換する業者です。柱のリフォームについても古い柱を新しい柱に交換することになるため、腐食が進んでいたり、シロアリ被害にあったりして強度が低くなった場合に依頼します。
柱をリペアするケース
リペアは、元の建材や建具を交換せずにダメージ部分だけを修復します。画像はフローリングのダメージですが、ひび割れや変色などを見事に修復しています。DIYでは難しい補修を行うのがリペアです。
DIYで補修できる目安は一般的にダメージの長さが15㎝以下の傷などで、深さが1㎜未満とされています。この目安を超えるようなダメージはリペアに相談しましょう。高級な木材の柱の傷などを完璧に修復する場合も、リペアに依頼すると安心です。
柱の修復も定額リペアを検討しましょう
画像はペットによるドア枠のダメージをリペアで修復したものですが、ダメージ部分がどこなのか分からなくなっています。柱にもこのようなダメージが生じるかもしれません。DIYが難しいダメージですのでリペアへの相談を検討しましょう。
通常のリペアは、補修箇所1つにつき技術料と出張料が発生します。本サイトの定額リペアであれば、決まった時間内であれば定額料金で柱のダメージだけでなく、他の建具や建材、家電など複数箇所の修復が可能です。
柱のダメージをはじめとした家の修復を検討しているのでしたら、次の「無料見積もりフォーム」を活用してください。家の悩みごとがスッキリ解決するでしょう。