硬い物をぶつけたり擦ったりしたとき壁紙が破れてしまうことがありますが、何もしなくても剥がれやめくれが発生することもあります。
壁紙に破れや剥がれ・めくれなどがあると、どうしてもインテリア全体がイメージダウンしてしまいます。
小さな破れや剥がれ・めくれなどは酷くならないうちにできるだけ早く補修しておきましょう。
ここでは、壁紙の破れ・剥がれ・めくれなどを簡単に経済的に補修する方法を解説しています。
放置すると剥がれ・めくれが拡大する!
壁紙は湿気が多いと伸び、湿気が少なくなると縮みます。目に見えない伸び縮みでも、毎日繰り返すことにより剥がれやめくれが発生します。
特に窓周辺や洗面やキッチン周辺の湿気が多い場所では剥がれやすく、
また、剥がれやめくれは、壁紙自体の経年劣化や施工不良・壁紙の裏に発生したカビが原因になっていることもあります。
最初は部分的な剥がれでも、放置すると徐々に剥がれが広がり、ごっそりめくれ落ちる可能性もあり、そうなれば壁紙全体の貼り替えが必要となります。
当然ながら部分補修よりも張り替えの方が経済的な負担は大きいです。
壁紙の全面的な張り替えにならないためにも、小さな剥がれなどを見つけた際はできるだけ早く補修することが望ましいでしょう。
壁クロスのDIY補修法と便利グッズ
壁紙クロスの破れ・剥がれ・めくれなどの自分でできる補修方法や手順を以下に解説します。
剥がれやめくれはクロス専用ボンドで補修
壁紙の部分的な剥がれやめくれには、以下のような専用のボンドを使用します。
ご紹介するクロス補修キットは、刷毛付きのボトルになっておりローラーもセットされているため手軽に使用できて便利です。
①剥がれやめくれのある補修部分埃や汚れを、乾いた布などできれいに取り除く。
②補修部分のクロスの裏側の隅々まで接着剤を塗り、しばらく(2~3分程度)乾燥させる。
➂壁紙を貼り合わせ、付属のローラーを根元からしっかりかけて押さえる。
2-2:小さな破れはパッチで隠す
壁紙の小さな破れや穴には、貼るだけで簡単に隠せるパッチを使用してみましょう。
①壁クロスの破れや穴など補修部分の埃や汚れを、乾いた布などできれいに拭き取る。
②破れた箇所がクロスパッチの中心になるようにクロスパッチを貼る。
➂よく密着するまで手で押さえておく。
④クロスパッチ自体の凹凸感が他の部分と差があり違和感がある場合は、別売りの「クロス穴うめ材スーパー」や「クロスのすきまシール」を使用してクロスの凹凸を再生。また、色が異なる場合は別売りの「クロスタッチ」を塗って仕上げる。
大きい破れは「ちょっと壁紙」で補修
比較的大きく破れた壁紙の補修には、あらかじめ粘着剤が付いていて便利な「ちょっと壁紙」で補修しましょう。
①「ちょっと壁紙」の裏紙の上部(2~3cm)を剥がし、補修する箇所に合わせて仮止めする。
②同じように、下部分も2~3cm剥がして仮止めする。
➂「ちょっと壁紙」と下の壁紙を重ねてカッターナイフでカットする。
④「ちょっと壁紙」のカットした内側部分を一度外す。
⑤「ちょっと壁紙」を仮止めした周囲の部分を取り除く。
⑥重ねてカットした古い壁紙も取り除く。
⑦「ちょっと壁紙」の裏紙を2~3cm程剥がし、切り取った壁紙部分にはめ込み位置をきめる。
⑧位置が決まったら、裏紙を少しずつ剥がしながら貼り付けていく。
⑨剥がれないように、しっかりローラーなどで圧着する。
※古い壁紙を剥がさずに上から重ね貼りすることも可能ですが、その場合は段差が気になる場合があります。
クロスの隙間は「すきまシール」で埋める
壁クロスが剥がれていなくても、クロスの継ぎ目が目立ってくることがあります。
このようなクロスの隙間には「すきまシール」で補修しましょう。
①「クロスのすきまシール」のノズルを外して中栓を外す(中身が飛び出さないようにボトルに圧力をかけないよう注意する)。
②ボトルにノズルを取り付け、先端をクロスの隙間に当ててシール剤を押し出す。
➂はみ出した場合は、付属のヘラを使用して隙間に沿ってすき取り、水に濡らした布やスポンジではみ出した部分を拭き取る。
④周囲の凹凸に合わせて形を整え、乾燥後ドライヤーで温めると自然な凹凸が再生できる。
※「すきまシール」同士で調色することも可能です。その場合は容器などに絞り出して調色した後に刷毛塗りすると良いでしょう。
クロスや下地が劣化している場合はプロに依頼!
壁紙クロスにも当然ながら寿命があります。
賃貸物件でのトラブルを回避するための「原状回復ガイドライン」では壁クロスの耐用年数は6年になっています。
自宅の場合でも、6年~10年程度経過するとクロスの劣化は避けられません。
一般の住宅で最も多く採用されているビニールクロスは、主成分であるポリ塩化ビニルに可塑剤(柔軟性や耐候性を高めるため)が添加されてつくられています。
経年によってこの可塑剤が徐々に抜けていくと、クロスが硬化しパリパリになってクロス自体が割れたり剥がれやすくなったりします。
そうなってくると、補修よりもクロス自体の貼り替えが必要になるため、業者に依頼することになります。
また、カビなどの影響で下地が劣化している場合もやはり自分で補修することは難しいでしょう。
クロス自体はまだ新しくても、家具などをぶつけて下地まで穴が開いてしまった場合などは、下地の損傷の程度にもよりますが、自分で補修するのが難しいケースです。
そのような場合には、やはり専門の業者に依頼した方が安心です。
※可塑剤とは、成形や加工をしやすくするために合成樹脂などに添加される薬品類のことです。
多くの種類がありますが主成分はアルコールと酸です。壁クロスの劣化は、可塑剤が経年や紫外線によって次第に気化し抜けていき、硬化することをいいます。
依頼先はリフォーム業者?リペア業者?
専門業者といっても、クロスや下地の劣化や損傷の状態によって依頼先が異なってきます。
例えば、クロスを貼ってから10年程度経過し、クロス全体に不具合が発生している場合はクロスの全面貼り替えが必要になってくるため、リフォーム業者や内装業者(クロス施工業者)に依頼することになります。
下地にカビが発生している場合はカビの除去専門業者に依頼することも必要でしょう。
経年によるクロスの劣化ではなく、部分的な剥がれやめくれ、物をぶつけたなど思わぬアクシデントによりクロスや壁にダメージが残ったなどの場合は、リペア業者に依頼しましょう。
費用の決まり方と相場
クロスの貼り替え費用の相場は、壁紙のグレードによって異なりますが一般的な壁紙の場合、1,000円~1,500円/㎡程度。6帖(40㎡の壁紙を使用)の部屋では4万円~6万円程度となります。
さらに、古い壁紙を剥がした際に発生する廃材の処分費用が別途かかります。
リペア業者に依頼する場合は、補修箇所だけの費用となるため、部分的なクロスの傷や汚れなどの場合には経済的です。
リペア業者の補修費用の相場は、補修1箇所につき13,000円~です。
壁紙をきれいに保つ予防策
ペットや小さな子供のいるご家庭では、いたずらによる壁紙の破れやめくれ防止対策を行っておくと安心です。
市販されている壁紙の傷・汚れ・破れなどを予防する商品は以下のようなものがあります。
ペットから壁紙を守る傷防止シート
以下の商品はビニールクロスの上から簡単に貼ることができ、貼っていることが目立たずペットによる引っかきやクロスのめくれを防止します。
〈貼り方と手順〉
①貼り付ける壁面の埃や水分、油汚れなどをきれいに取り除いておく(油汚れがある場合は洗剤を使用する)。
②壁面をよく乾燥させる。
➂貼る位置を決め、10cm程度裏紙を剥がす。
④剥がした部分を貼る位置に当て、貼る面全体の位置を確認する。
⑤裏紙を少しずつ剥がしながら、タオルで圧着し全体を貼る。
⑥貼り終えた後、サイドタオルかスクイジーでつくられて強く圧着する。
※コーナー部分に貼る場合はまず片面から貼り付け、ヘラなどを使用してシートをコーナー部分にしっかり押し付けて残ったシートを貼ります。コーナー部分は浮きやすいのでしっかり圧着させましょう。
壁のコーナー部分を保護する「コーナーの保護材」
壁のコーナー部分は物などをぶつけやすく、ペットが仔犬の場合は噛み噛みする可能性もあります。また既に傷が付いてしまったコーナー部分を隠すために使用することもできる以下のような商品があります。
クロスとの接着面には両面テープが付いているため、剥離紙を剥がすだけで簡単に壁のコーナーに取りつけることができます。
貼り付ける際は、貼り付ける壁面の埃や汚れをきれいに取り除いておくことを忘れないようにしましょう(埃や汚れが付着したままだと粘着力が低下します)。
クロスの破れ・めくれ防止にも!3D立体壁紙
小さな子供やペットのいるご家庭では、壁の低い位置部分に汚れや傷が多くなります。
そこで子供部屋やペットのいる部屋に、3D立体壁紙シールを予め腰壁のように張っておくこともおすすめです。既に付いている汚れや傷を隠すためにも有効な商品です。
また、3D壁紙シールは10mmの厚みがありソフトタッチであるため、子供が衝突したときなどの安全対策にもなってくれます。
貼った壁紙に破れやめくれが発生してもシールタイプになっているため剥がすのは簡単です。ハサミやカッターで簡単に切ることができるので、再度部分貼り替えも可能です。
材質は高密度ポリエチレンです。保湿性・断熱性・防水性・抗菌性・防音・遮音効果など、機能面でも優れています。
※貼り付ける際は、貼り付ける壁面の埃や汚れをきれいに取り除いてから行いましょう。
まとめ
壁紙が破れたときや、剥がれやめくれを発見したときは、なるべく早く補修を行うことで簡単でより経済的にDIY補修が可能です。
近年は、壁クロスの補修キットも豊富にラインナップされており、以前のように補修のための工具などを別々に揃える必要がなく、また補修材も必要量を購入できるため大変便利になっています。
さらに、壁クロスが傷付かないように保護することができる商品も豊富です。
しかし、DIYが苦手な人やDIYを実施する時間のない人、下地の状態に不安がある場合や既にかなりクロスの破れやめくれが発生している場合などは、迷わずリペア業者に相談することをおすすめします。